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詩 「ポストカード」

差出人不明の絵葉書から 斜めに生える海辺の街が 私がこれから暮らす街 傾くホテルのてっぺんで 見下ろす角度が決まったら あなたとふたり飛び降りる 着地地点は坂道で 斜めに栄える商店街を ステップ踏んで歌いましょう 空に浮かんだ気球から 写真に収めたその街は 名前のつかない葉書となって どこかのポストへ届くでしょう

    • 詩 「性格診断」

      0. 次からの質問に はい か いいえ  でお答えください 1. どちらかというと 頭はおかしいほうだ (はい/いいえ) 2. わけもなく突然 見ず知らずの人の 脇毛をむしりたくなる (はい/いいえ) 3. 長ネギを武器に 戦争する夢を見る (はい/いいえ) 4. ポッキーを食べるときは 最初にチョコを全部なめてから 棒だけをポキポキやるべきだ (はい/いいえ) 5. 鳩が首を振る姿が DJに見えることがある (はい/いいえ) 6. サンタクロースのような 西洋の

      • 詩 「牛丼怪談」

        あれはたしか 私が高校二年生の頃でした。 当時私は剣道部に所属してまして その日も夜遅くまで練習して 帰路についたのは夜八時くらいでした。 帰り道の途中、 あまりの空腹に耐えられず 牛丼をテイクアウトで買って 歩きながら食べてたんです。 当時、学校から家までの道中には 地元で有名な心霊スポットがあって その廃病院の前を通るルートでないと とても遠回りになってしまうので その日も「怖いな〜なんか嫌だな〜」 と思いながら牛丼歩きしてたんです。 それで、ちょうど その廃病院

        • 詩 「ひとりの女」

          女は泣くのに疲れると 布団に潜り、目をつぶった そして思った わたしはどうしてこんなに 孤独が苦しいのだろう 人はどうしてこんなに ひとりぼっちなのだろう その例えようのない さみしさを潤すには 毎夜の涙では足りなかった ともだちと会っても 好きな人がとなりにいても 母の声を思い出しても どこにいても なにをしていても 孤独が虚しさとなって 心に付きまとうのだった 女にはもう、流す涙もなく ただ乾いた孤独があるだけだった 今日は女の二十代 最後の一日であったが

        詩 「ポストカード」

          詩 「しおり」

          題名のない 今日という日の目印に しおりを挟んでおきましょう 題名のない 今日という日を忘れぬよう しおりを挟んで閉じましょう やがて 題名のない 今日という日が めくるページのどこよりも 大切だったと気づくでしょう

          詩 「しおり」

          詩 「別名」

          恋という名の性欲 愛という名の純粋 アホという名の天才 神という名のご当地キャラ 謝罪という名の保身 議論という名の屁理屈こねこね選手権 お金という名の紙きれ 価値という名の差別 ご近所さんという名の監視カメラ 記者という名のストーカー 自己啓発本という名の自己喪失本 泥棒という名の貴重品回収業者 くしゃみという名の奇声 教養という名の社交ひけらかし術 音楽家という名の空気独裁者 詩人という名の言語翻弄人 小説家という名の冗長人 多様性という

          詩 「別名」

          詩 「時の記憶」

          時間は わたしから あらゆるものを奪う 若さや 人生や命や 昨日や今日や 明日までも このままずっと 明けないでほしいと願う 長くて短い夜も カーテンの隙間から差し込む シワひとつない洗いたての朝陽や まだ手つかずの新しい木曜日も なにもかも ここにあるのに なにもかも ここにあったのに なにもかも この手でつかめない もしも 時間が止まったら わたしは何も失わずに済む もしも 人生に限りがなく 時間を巻き戻せるのなら わたしが懐かしむ日はいつだろう わたし

          詩 「時の記憶」

          詩 「つんぽこぱか」

          つんつん ぽこ。 ぱか。 えっさ ほいさっ あっ ぽとん。 しーん。 ぽつぽつ とぼとぼ てくてく すん。 しょぼ しょぼ しょぼぼん ん? ん! ぬぬぬ。 ぬぬぬぬぬ。 つん つん つん ぽこ。 ぽこ。 ぽこ。 ぱか。 ぱか。 ぱか。 ぎゅっ

          詩 「つんぽこぱか」

          詩 「その人」

          その人を その人たらしめる その人らしきものは その人が どんなことを しているか よりも その人が どのように それをするか に宿る その人が どこにいて なにをして どんな外見で どんな家に住んで どんな人生だったかを いくら聞かされたとしても その人を みつけることはできない その人が どのように それを感じ どのような 考えを歩いたか その答えは その人だけが 知っていて その答えの 外側だけが その人をみつける 手がかりになる その人は そのようにし

          詩 「その人」

          詩 「テキトークッキング」

          おはようございます テキトークッキングの時間です 今日作るのは 「キャベツとなんとか肉の とろ〜り卵でうんたらかんたら」です 皆さんお忙しいでしょ? 暇でも料理なんて面倒でしょ? いつも言ってるように 料理なんてものはね チャチャっとテキトーに 作ればいいんですよ まずはキャベツ これは、えーと 何人分とは申しませんが 半分にしておきましょう それで足りなかったら我慢 多過ぎたら無理して食べる これでいきましょう キャベツをテキトーに切ったら フライパンに油を「トゥル

          詩 「テキトークッキング」

          詩 「ひとりのあなた」

          百人中 九十九人が はい、と言って あなたがひとり いいえ、と言う あなたの いいえ、が きこえる耳を わたしは育てたい いつか あなたが ひとりのあなたに なったとして そのとき あなたは いいえ、と 言えるでしょうか いいえ、を 殺すでしょうか そのとき わたしは あなたの いいえ、が きこえるでしょうか かすかな声でも ひとりのあなたを やめないで なんども なんどでも わたしの耳に とどくまで

          詩 「ひとりのあなた」

          詩 「noteプロフィール提案集」

          0. ※この記事は、noteのプロフィールに何を書いたらいいか分からず、悩んでいる方へ向けた、私からの提案集です。どの案も汎用性が高いので、どなたでもお使いいただけると思います。微力ながら皆様のお役に立てれば幸いです。 1. フォロバ100です! どなたのどんな記事も 一文字も読んでいませんが 日々親指の運動を欠かせないため スキとフォローをポチポチする目的で 毎日noteを継続中 2. 主にうんこにまつわる 記事を投稿していきます まだまだ未熟なクソ野郎ですが うんこ的

          詩 「noteプロフィール提案集」

          詩 「さがしもの」

          わからないものを さがしています なんど 読んでも わからない 本をさがしています なんかい 聴いても わからない 音楽をさがしています なにを 考えているか わからない 人をさがしています かんたんなのに わからないものを さがしています わからないものを じっと覗いてみると そのずっと奥のほうに いつかわたしの心を 豊かにしてくれる ゆたかさんが 眠っています わからないながらも 心のゆたかさんを 叩き起こすため わからないものを さがしています

          詩 「さがしもの」

          詩 「天才」

          天才は 100%才能でできている 天才が 努力という 概念を持っているのか ぼくにはわからない 天才は やりたいことを 死ぬほどやっているだけのように ぼくには見える 凡人は やりたいことを 死ぬほどやることができない 圧倒的に 残酷なまでに 天才は天才なのである 天才ではない ぼくにできることは 自分が天才ではないと 自覚すること 自分のやっていることを 徹底的に批判しながら 自己満足を目指し けっして満足しないこと 自分のやっていることが どのくらい天才の足

          詩 「天才」

          詩 「人さま」

          人さまから 恥ずかしいと 思われるような 人間になっても 話しかけてくれますか おはよう おやすみって 返事をしてくれますか いっしょに 街を歩いてくれますか ふつうの人とするように 目を合わせてくれますか 人さまから かわいそうと 思われるような 人間になっても 憐れまないでください かわいそうで 恥ずかしい私を 笑ってください そのあとで むかしの話をしたり 明日の晩ごはんを決めたり 靴下にあいた穴を見て 大笑いしたりしましょう そんな夜を 一晩だけでも

          詩 「人さま」

          詩 「メモ」

          スマートフォンが生み出した アプリの最高傑作は〈メモ〉 アプリにこれ以上の洗練はない このアプリのすごいところは このアプリにすごいところが ひとつもないってこと このアプリは わたしに何もおすすめしないし わたしを誰かに繋げようとしない メモがたのしいとき メモがおもしろいとき それはたぶん〈わたしが〉 たのしさをつくりだしているとき おもしろさをつくりだしているとき  ほら       こんなふうに      ほら             ほら   ほら

          詩 「メモ」