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詩56/ 違和感ある日常

「違和感」は
僕のことが好きで
「違和感」は
いつも僕にじゃれついてくる
「違和感」は
べとべとしていて
ごろごろ転がりながら
まわりの「違和感」も
くっつけながら
巨大な「違和感」の塊になっていく
そして
自分の大きさも顧みず
いつも通り
じゃれるつもりで
僕のほうに転がってくる

こいつに関しては
よくあることだ
好かれているからといって
相手にしてはいけない
こういう時は
逃げるに限る
塊が入ってこれない
狭い小道に
僕は逃げ込む

塊は
小道に入れず
壁に身をぶつけ続けて
ヒビが入ってもぶつかり続けて
最後まで迫る意志を持ったまま
砕け散る

その砕け散る音を
背中越しに聞きながら
僕は小道を辿って裏路地へ

ちょっとだけ
余所の家の庭先も
住人に「違和感」を持たれつつ
くぐらせてもらい

町裏をすり抜けて
いつの間にか元の場所に戻る

あれ
あいつって
ずっとここにいたっけと
周りに「違和感」を持たれても
何食わぬ顔で僕は
自分の定位置で
今日も
生臭いキャットフードを食べるのだ




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