ヤス

あんたジャージでどこ行くの

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アトムへ

空の星の光なんて ぜんぶ嘘だよ 遠い昔の輝きだよ 宇宙は孤独に歪んでいる 十万馬力なんかじゃとても アトムへ 科学の力は未来に 心に何をもたらしただろう いくつもの選択肢が 黒く塗り潰される 平和っていつも 戦争への入り口に過ぎなかったね やさしさや正しさなんかが 博物館でひっそりと眠り アトムへ 錆びついた鉄の体は まだ脈打っているかい 七つの天使が外で 君の出番を待っているよ ※ 詩人の谷川俊太郎氏がお亡くなりになられました。 「ひも」とか「しぬまえにおじいさん

    • 雑草魂

      いつか化学肥料も除草剤も尽きた頃 我らは再び繁殖するだろう 貴様らに雑草と呼ばれ 名前も顔も消し去られ 十把一絡げ 刈り取られようとも 貨物列車の夜  根の一本も残すまいと 積み込まれた我らの同胞 喉が渇いたと言って女は死んだ 鉄路のその先へ 明日を探そうとして男は死んだ いつか黒色火薬も戦術核も尽きた頃 我らは再び繁殖するだろう まっさらな荒地を前に 子に語り継ぐのだ かつてここには人間がいたと 人間と名乗るけものがいたと

      • 一滴の星

        河を流れる 一滴一滴の星にも 無数の想いは込められているが それらが河の 流れを変えることはない せいぜいが 美しく輝くだけ 迷える誰かの 道標になるかもしれないだけ

        • おやすみって誰かに 言ってもらいたかったの 全てを肯定するように 優しく頭を撫でられながら 棺桶に入れられた月が 花に埋もれていく あんなに痩せ細ってしまって 明かりのない夜は寂しい 甘えさせてあげればよかった もう来ないと知っていたら 空にはすっかり穴があいて 君のいない朝がまた来る

          夏の亡霊

          本当の夏は もうとっくに死んでいて 今 空にぶら下がっているのは あれは 夏の亡霊 蝉の鋭い鳴き声も ビー玉のような眩しさもなく ただぼんやり 同じ言葉を繰り返し やり残した事があった気がする 汗の滲んだ額を拭って 振り返っても誰もいない あれは 夏の亡霊

          夏の亡霊

          風邪

          耳が聞こえなくなるくらいの静寂が 夜の隙間から忍びこんでくる 小さな不安はやがて嵐になって 喉と胸を焼き尽くしていく 林檎をください 声にならない声 届かないメッセージに意味はあるのか 何もかも飲みこめないまま 無為の日々は重ねられ 返したい本があったのに 出したい手紙もあったのに 熱を帯びた体が脈打っている 命ってなんだろうね 余計なことを考えてしまう 明日こそは自分を 憎しまずに済みますように

          先週からの風邪が長引いてます。 皆さんもお気をつけあれ。

          先週からの風邪が長引いてます。 皆さんもお気をつけあれ。

          喜びとは橋を架けること 繋がりのなかった岸と岸とを 行き来するたくさんの風、鳥、願い 何ひとつ他意のないアーチを作る 光の行為を目にして人間は 愛し合う以外に何が出来るでしょう ほら 雨雲さえ あんなにも悲しみを湛えているのに 祝福の形を捨てられずにいる

          アバンチュラ

          そこで 晴れたこころと 海はつながっていった 港の歌も もはや 船を引き留めることはできない 旅の支度をしておきなさい 向かい風が止まぬうちに

          アバンチュラ

          特別でない日のために

          とくべつなひなんてないよ はなにかざられたひも くちびるにふれたひも あやまちをおかしたひも ゆるしあえたひも しをおくったひも いっさつのほんをとじたひも とくべつなひなんてないよ やめるひも すこやかなるひも ふたりのむねに あたらしいほしがやどったひも とくべつでない さんびゃくろくじゅうごぶんのいちにちだよ そうしていつか きちんとぜんぶが あたりまえになるように あたりまえのひになるように とくべつでないひのために ぼくらはいのり なき たまにわらうよ

          特別でない日のために

          未完成な天使

          飛べなくなって何年経った 地に満ちて何年経った 答えをくれる人はもういない みんな夢の国へ帰っていった 夜明け前の空を見ると 涙が出るのはなんででしょうね 天使はこころなんてないから 胸が痛くなるはずないのに 人間になれたらよかった 天使がそう願って それから7日過ぎた頃 名前をもらえなかった子供は死んだ

          未完成な天使

          バベル

          タワーマンションの群れが 天を突き刺す 逃げ場を無くした鳥たちが 競うように身投げする 復讐せよ 都市計画は いよいよ取り返しがつかない いきている人間はいるか こころは理解できるか 誰にも叱られることなく 大人になってしまった 回線が根を張り 都市は繁殖していく 人々は統一された言語で 混乱と炎上を繰り返す

          夏の放物線

          夏の喧騒に紛れて 不意に魔法が途切れた 穏やかな波がそっと 踝を濡らしている そうね もっと自然に 頷ければよかった 傷つけるものが 一つでも少なくなるように 潮風にもてあそばれて 視線は泳ぐ 交差することもなく 着地できる場所もなく 仕草のそれぞれに 別の意味を見出しながら いつか 息もできなくなって 重力には逆らえない 投げ捨てられた小さな暮らしは きれいな放物線を描いて 海へ 藻屑へ

          夏の放物線

          親知らず抜いたところのあたりが痛くて困っちゃう。抜歯したのもう一ヶ月半くらい前なのに。 ロキソニンが手放せない生活。ぐふぅ。

          親知らず抜いたところのあたりが痛くて困っちゃう。抜歯したのもう一ヶ月半くらい前なのに。 ロキソニンが手放せない生活。ぐふぅ。

          とうめいにんげん あらわる

          とうめいにんげん あらわる だけど とうめいだから れつには わってはいられるし はなしかけても もらえない とうめいにんげん かおがある だけど とうめいだから みつめてたって めはあわないし ないてたって ふりむかれない とうめいにんげん こころがある だけど とうめいだから くもってたって かさはないし いたんでたって しらんぷり とうめいにんげん せいかつがある だけど とうめいだから こまってたって たすけはないし しんじゃったって きづかれない

          とうめいにんげん あらわる

          ブローティガン/夢の話

          君の詩なんか誰も読みやしないよ と会ったことのない友人に言われ アメリカの鱒釣り ニュー・オーダー 娼婦 酔っ払い ゲイ 牧師 全てを手放して、それからやっと得られるもの コルト・デリンジャーに弾を込めろ 気をつけな 外したら次はないぜ (「ブローティガン」) …という夢を見ました。リチャード・ブローティガンの顔がどんなのか知らないし、アメリカの鱒釣りも読んだことないけど(でも夢の中に出てきたのはリチャード・ブローティガンだったはずだ)。 詩は、夢の情景をそのまんま

          ブローティガン/夢の話