ヤス

あんたジャージでどこ行くの

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あんたジャージでどこ行くの

最近の記事

アバンチュラ

そこで 晴れたこころと 海はつながっていった 港の歌も もはや 船を引き留めることはできない 旅の支度をしておきなさい 向かい風が止まぬうちに

    • 特別でない日のために

      とくべつなひなんてないよ はなにかざられたひも くちびるにふれたひも あやまちをおかしたひも ゆるしあえたひも しをおくったひも いっさつのほんをとじたひも とくべつなひなんてないよ やめるひも すこやかなるひも ふたりのむねに あたらしいほしがやどったひも とくべつでない さんびゃくろくじゅうごぶんのいちにちだよ そうしていつか きちんとぜんぶが あたりまえになるように あたりまえのひになるように とくべつでないひのために ぼくらはいのり なき たまにわらうよ

      • 未完成な天使

        飛べなくなって何年経った 地に満ちて何年経った 答えをくれる人はもういない みんな夢の国へ帰っていった 夜明け前の空を見ると 涙が出るのはなんででしょうね 天使はこころなんてないから 胸が痛くなるはずないのに 人間になれたらよかった 天使がそう願って それから7日過ぎた頃 名前をもらえなかった子供は死んだ

        • バベル

          タワーマンションの群れが 天を突き刺す 逃げ場を無くした鳥たちが 競うように身投げする 復讐せよ 都市計画は いよいよ取り返しがつかない いきている人間はいるか こころは理解できるか 誰にも叱られることなく 大人になってしまった 回線が根を張り 都市は繁殖していく 人々は統一された言語で 混乱と炎上を繰り返す

        アバンチュラ

          夏の放物線

          夏の喧騒に紛れて 不意に魔法が途切れた 穏やかな波がそっと 踝を濡らしている そうね もっと自然に 頷ければよかった 傷つけるものが 一つでも少なくなるように 潮風にもてあそばれて 視線は泳ぐ 交差することもなく 着地できる場所もなく 仕草のそれぞれに 別の意味を見出しながら いつか 息もできなくなって 重力には逆らえない 投げ捨てられた小さな暮らしは きれいな放物線を描いて 海へ 藻屑へ

          夏の放物線

          親知らず抜いたところのあたりが痛くて困っちゃう。抜歯したのもう一ヶ月半くらい前なのに。 ロキソニンが手放せない生活。ぐふぅ。

          親知らず抜いたところのあたりが痛くて困っちゃう。抜歯したのもう一ヶ月半くらい前なのに。 ロキソニンが手放せない生活。ぐふぅ。

          とうめいにんげん あらわる

          とうめいにんげん あらわる だけど とうめいだから れつには わってはいられるし はなしかけても もらえない とうめいにんげん かおがある だけど とうめいだから みつめてたって めはあわないし ないてたって ふりむかれない とうめいにんげん こころがある だけど とうめいだから くもってたって かさはないし いたんでたって しらんぷり とうめいにんげん せいかつがある だけど とうめいだから こまってたって たすけはないし しんじゃったって きづかれない

          とうめいにんげん あらわる

          ブローティガン/夢の話

          君の詩なんか誰も読みやしないよ と会ったことのない友人に言われ アメリカの鱒釣り ニュー・オーダー 娼婦 酔っ払い ゲイ 牧師 全てを手放して、それからやっと得られるもの コルト・デリンジャーに弾を込めろ 気をつけな 外したら次はないぜ (「ブローティガン」) …という夢を見ました。リチャード・ブローティガンの顔がどんなのか知らないし、アメリカの鱒釣りも読んだことないけど(でも夢の中に出てきたのはリチャード・ブローティガンだったはずだ)。 詩は、夢の情景をそのまんま

          ブローティガン/夢の話

          そうやって巡っていく

          光を辿るとあなたがいた 私もきっと  どこかに繋がっていて 誰もが誰かの光であるように 世界は そうやって巡っていく

          そうやって巡っていく

          ガラリヤ

          祈りに言葉は要らないと言ったのは誰だったか そうだね言葉を持たない者たちにも 祈りは必要だろう 斃した獲物を隅々まで食べる行為が 蒔いた種に土を被せる手の動きが 熱病に冒された子供を抱き寄せる姿が 風に煽られ空を仰ぎ見る身振りが 乾いていく唇に水を分け与える仕草が あらゆる清潔な所作 その全てが 祈りでありますように

          ガラリヤ

          川にて

          川には小舟が一艘 船頭は不在 水が冷たくて気持ちいいと 見知らぬ子供たちが川遊びをしている 夏至を過ぎても 日はまだ長い 天気予報じゃ快晴だって 日傘を持ってくればよかったかな 風が吹くたび 草花が笑う 空ってこんなに広かったのかと 寝転んで気付く 船頭はまだ来ない もう帰っちゃおうかな せっかく貰った六文銭だ どっかの屋台でお団子買ってこ

          言ってはならない言葉を

          言ってはならない言葉を 耳に吹き込まれて あれは昭和のはじめ頃 整列された靴が鳴り あのひとらつれてかれて どこいくん あれから幾度夜が割られ 人々は灰をかぶり あるいは焦げた土地の上に 新しい表札を掲げ 私はといえば 言ってはならない言葉を言わないように ひたすら口をつぐみ 必死に手を動かして ぼんのためにひとつ いいことおしえたる そうして得られたものは 何だったのだろう あの日の言葉がまだ 腹の内をぐるぐる回っている

          言ってはならない言葉を

          ルートビア

          何度も撃墜されては 赤い屋根の上で目が覚める 人生は甘くないね 知ったふうな口でルートビアを飲み そうさウッドストック 甘いってだけじゃダメなんだ 悲しみの一粒くらい 連れてったって怒られやしないよ 彼方にたゆたう雲が見える まだ何も終わっちゃいない

          ルートビア

          万座毛

          誰が座するのか 誰でも 人も 獣も 花も 歌も 雲も 波も 厳かな地の果て その先まで 世界はまだ青い

          こだまさない

          曇天 瓦礫のような山の頂 誰かの大切な人が 横たわっているのが目の端にうつる どうすれば正しくあれたのか そんな問いが虚しく思えるほど 世界は間違え続けていく おーいと呼んでも返ってこなかった ただ破裂音が鳴る そんな未来ばかりが見えて

          こだまさない

          父の背中

          夕焼けを見たか 太陽の あの背中を うなだれたまま とぼどぼと沈んでいくしかなかった あの後ろ姿を見たか 優しさは無尽蔵ではない 空から降り注いでいるものでさえ あんなに広かった背中が 今はもう遠くの向こう 影は夜に伸びて 我々は言わずもがな 太陽だって必死に生きている 君の血がまだ温かいのなら 君は君の道を行け 太陽の手を引いてやれ

          父の背中