柿沼オヘロ

詩を書いたりふざけたり。

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    詩も100を超えたので自分で気に入ってるものをまとめました。随時更新?予定

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そして近づいてくる

某詩誌で落選した詩です。良かったら読んでいただけると嬉しいです。 後半は少しだけ画像のものから改稿しました。 地図のめくれた場所から 近づいてくる人がいて いつもこぼしている 服はだいたいシミだらけで 口元にケチャップが付いていて かんできたのだと 乾いてきたのだと やがて結石のように生えるだろう街には イワシのぶら下がる電線 逆光のさかり場 そんな場所から近づいてくる人がいて 支流でいっぱいになるように 深いシミを作っている 「あんたは消えたがり屋だね  そして 増えた

    • 詩:前うで

      すうっと抜いた この頬紅で 画用紙をうめてみたかった ラム酒は冷たく 瓶の味しかしないし パン屑も舌を砂場にした 筋張った前うでの獣は ある完全な風景を走りたかった 通りを埋める 青草だったものは 今では風も見逃すほどだし わたしも絵筆を持たなかったから いつも頬杖には 熱がこもりっぱなしだ

      • 詩:うにうき

        雲丹がういているとして この一歩目からすでに 戦いがはじまっているわけだ だからぼくは何食わぬかおで 血の歩兵のマントになるだろう はくいき すういき 全てのいきに遺る 白亜の振動 たたかいはもうはじまっていた 指のうごき すいめんを撫でる、叩く、込める そこにもぼうっとして 野蛮なうにが まとわりついてるわけだ ちょうどのものを見ることができない 耳も、鼻も、味蕾も、発声も、 発生もたたかいのさなかにある マントのほつれに むらがるわけだ 鏡には反転をゆるそう ち

        • 詩:春分

          換気扇が まわる 花々の芽は 立ちくらみを起こし 刃こぼれの風と もつれ合っている どこにいても 鏡に吸われるようだった うねる白髪を 銀色と笑い合った人は 弱々しい影に 上塗りされていた 春の空は仮縫いのよう 冷たい切り口の空 肉 昨日のサイレンの赤が窓に貼り付いている またひとり 人が攫われていくのだ

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        そして近づいてくる

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        記事

          詩:おりんが鳴りやまず

          ふぉぉぉん と また鼓膜が震えている おりんの音に波打ちながら 線香のにおいが いつも灰いろの祖父に集まっていく 僕は 緑いろのじゅわ、とあまい 缶詰が食べたかった 白黒写真のなか 戦地からもどってきた祖父は 大八車で野菜を売っている 路らしくなってきた そのみちで はずむ車輪に埃がまう 赤子の父は 目を大きくして じっとしていた 写真は濾紙のようにに いろをこちらへ留めてしまうから 白黒になってさかのぼる街は いつも灰いろで 埃っぽい 金いろメッキのそこは ありがたい像

          詩:おりんが鳴りやまず

          詩:あまだれ

          ねこみたいだね 手話さばきだけ しっている くびわのない迷よい子 といをつたう あまだれは ふせいみゃくの おとみたい そのきまぐれな嗚咽が なんだか きみがそこで 生きているみたいだった 素焼きのはちに しみを拡げてる 葉にくからも あまだれて きまぐれに揺れる 花にくも 今は かげり ちらして 天井のつぎめが はりがねむし みたいだね 宿主をかえてしまえば もう かべに支えがきかないから じっとりとおもい あまもようが こうえんをくるんでいる あぁ 赤さびた遊具の どう

          詩:あまだれ

          詩:口がいっぱいだ

          某誌にて選外佳作を頂いた詩です。 たんこぶがいっぱいだ 毛穴ばっかり膨らんで 口がいっぱいなのに わたしの 頭がぼこぼこで言葉をじょうぶに結べない あり余った枝毛の先っぽには あらゆる埃が光源のような 白い部屋 思い返してしまったろう? きみはときどき すぐに恥ずかしそうな顔をした 花小金井駅南口 駅にだって 口がいくつもあるんだね 噂話もいっぱいだ ロータリーに結ばれた桜並木も 花の炎症がまだ残っているみたい あちこちで口がいっぱいだ わたしの ひと穴ひと穴に 鳥の巣が

          詩:口がいっぱいだ

          詩/ミディアムポエム:重油

          街にメロディがこだまして からすは山に帰ったよ 鋭い羽根に空が撫でられて 傷口が開いたみたい もれてくる重油 もうとっくに 藁半紙は破れているのに きみは呪いの上書きをやめられない 走るペンを止められない 頭の中で赤ちゃんは 湧き出る重油を乳にして またそれを産湯にして なんだか 宇宙飛行士のようだね

          詩/ミディアムポエム:重油

          詩/ミディアムポエム:拝島

          島拝み はいじま よった よったと 飛脚の ぶすくれたふくらはぎ 島畳み うちの孤島のかびくささ 貴様 ひざこぞうの穀潰しめ ひらり りり と小虫鳴き 肩が寄りました まぼろし  ころされたじかんの きっさきに炎が群れ合って 夕べの化石がこびりつく お茶碗 あかあく  うるかした

          詩/ミディアムポエム:拝島

          詩/ミディアムポエム:テーブル

          テーブル 夕日を洗うような 四つの滝の真ん中は いつも とおい記憶のはきだめだ 水煙は立ち上がり 子どものからだは霞んでいる 白鍵のないピアノは きっと遊戯にはむかないよ 目のくぼちに手を伸ばせば 水のひと粒ひと粒がいま 渇いていくところだ 砂時計の滝 きみは いつからそこに 埋まっていたのかな

          詩/ミディアムポエム:テーブル

          詩:うすみどりのとほうより

          散る  目のうらの 星つぶみたいに    うすみどりの 影   それは ぼくの  まうらから かつて   アマゾンの ふかみどりの 風が  さまざまな 息をまとって  雷雨の あいま や   がいこつの隙をぬって  ようやくうみに届いた ころには    せおった荷物が 重すぎちゃって      どこまでも沈んでいった なら  知らなかったな ぼく    深海で   ぬるぬるの魚の   げっぷになっちゃうんだよ ね  ゆっくりのぼった   泡 ひとつ    小ぶりな風を産んだよ

          詩:うすみどりのとほうより

          ミテイナリコさんとのコラボ

          noteで知り合ったアーティストのミテイナリコさんとのコラボです。 ぼくが作った曲と詩の朗読を見事に再構築してくれました。 めちゃくちゃカッコいいので是非聴いてみてください! また機会があればミテイさんとコラボしてみたいなあ。

          ミテイナリコさんとのコラボ

          詩+川柳2句の合成

             新しい墓があるいつもの道に あ  あなたを誰も 透きとおせない     い た  たのしい会話でした 路のような みち ち ら  羅紗布の下でのやわらかい営み     み し  しなりを受けて 盗賊は去り      り い  石は研がれつるつるの夜の       の は  はめ殺し 空に朝 骨だけになった傘  さ か  かんたんなことだったよ 独り言を聞き き が  画鋲を抜き そのあとの痛みも     も あ  あさき あさきゆめをみし       し る  累進税

          詩+川柳2句の合成

          詩:イガラ岩

          喉に貼り付くイガラ岩があり それは 瞳の膜にもぐるようでもあり 空に点描を打つようでもある それはまた 岩が破れるような強い音であり 岩が崩れる刹那に弾ける火花であり 岩が永遠の方角へすじ撒きをする ひかりの小さな種でもある わたしは わたしたちを覆う 砂ぼこりの一粒のなかに 土踏まずを昇る 砂つぶのちいさな爪のなかに いつか思い出してしまうだろう 瞳を区切る鳥たちの影があり 声をなくすほどの逆光のゆらめきがあり なれの果ての途上があり 太陽はどこかイガラ岩に似ていた

          詩:イガラ岩

          詩:てんせん

          にくたいも れいこんも なんだろう点線みたいだから ボンドでごまかすように 絲にすることがある いびきとむこきゅうの枕も ほぐしてほぐして ぼくら編み物になるために よって のばして ぎんがけいのかぞくしゃしんも くっついて光の束にする ぼくらもいつかは それを観測していようね ていがくねんの声をどこか おいてきたから ひとつだけ度数のたかい せきばらいをして 風も立てずに カーテンがひるがえり どうも よふかしのお偉いさんは 筆にあてられて ほんとに夜かもわからない

          詩:てんせん

          詩:よし よし

          うどんこ病の おけしょうに身をひそめて かおをまっ白にした はだにの卵たちは 葉脈のなだらかな脈うちかたを そのまま固めたみたいで それに 日かげもしんみりとした だんらんを とどめているね ざらざらの葉ぐちに 石灰みたいな黴がつまって ほそい息が 指にこそばゆい はんしゃ終わりの窓が 寒天みたいな ぼくらの食卓を透かしているね 硝子のあちらがわが はんしゃ越しでしか こちらを 見られない ばんだね きみが死んじゃった日のまえみたいに  かていしてみようか  家 庭 の 

          詩:よし よし