詩:前うで

すうっと抜いた
この頬紅で
画用紙をうめてみたかった
ラム酒は冷たく
瓶の味しかしないし
パン屑も舌を砂場にした
筋張った前うでの獣は
ある完全な風景を走りたかった
通りを埋める
青草だったものは
今では風も見逃すほどだし
わたしも絵筆を持たなかったから
いつも頬杖には
熱がこもりっぱなしだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?