柿沼オヘロ

詩を書いたりふざけたり。

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そして近づいてくる

某詩誌で落選した詩です。良かったら読んでいただけると嬉しいです。 後半は少しだけ画像のものから改稿しました。 地図のめくれた場所から 近づいてくる人がいて いつも…

柿沼オヘロ
6か月前
40

日本現代詩人会、投稿欄にて拙作「タービン」を入選(うるし山千尋さん選)、
「太陽に夜更けがくる」を佳作(雪柳あうこさん選)で採っていただきました!評もとても嬉しいものでした。
まだまだまだまだ頑張ります!
https://www.japan-poets-association.com/contribute/

15

詩:前うで

すうっと抜いた この頬紅で 画用紙をうめてみたかった ラム酒は冷たく 瓶の味しかしないし パン屑も舌を砂場にした 筋張った前うでの獣は ある完全な風景を走りたかった 通…

柿沼オヘロ
1か月前
24

詩:うにうき

雲丹がういているとして この一歩目からすでに 戦いがはじまっているわけだ だからぼくは何食わぬかおで 血の歩兵のマントになるだろう はくいき すういき 全てのいきに…

柿沼オヘロ
1か月前
23

詩:春分

換気扇が まわる 花々の芽は 立ちくらみを起こし 刃こぼれの風と もつれ合っている どこにいても 鏡に吸われるようだった うねる白髪を 銀色と笑い合った人は 弱々しい…

柿沼オヘロ
1か月前
25

詩:おりんが鳴りやまず

ふぉぉぉん と また鼓膜が震えている おりんの音に波打ちながら 線香のにおいが いつも灰いろの祖父に集まっていく 僕は 緑いろのじゅわ、とあまい 缶詰が食べたかった …

柿沼オヘロ
1か月前
22

詩:あまだれ

ねこみたいだね 手話さばきだけ しっている くびわのない迷よい子 といをつたう あまだれは ふせいみゃくの おとみたい そのきまぐれな嗚咽が なんだか きみがそこで …

柿沼オヘロ
3か月前
30

詩:口がいっぱいだ

某誌にて選外佳作を頂いた詩です。 たんこぶがいっぱいだ 毛穴ばっかり膨らんで 口がいっぱいなのに わたしの 頭がぼこぼこで言葉をじょうぶに結べない あり余った枝毛の…

柿沼オヘロ
3か月前
37

詩/ミディアムポエム:重油

街にメロディがこだまして からすは山に帰ったよ 鋭い羽根に空が撫でられて 傷口が開いたみたい もれてくる重油 もうとっくに 藁半紙は破れているのに きみは呪いの上書き…

柿沼オヘロ
3か月前
22

詩/ミディアムポエム:拝島

島拝み はいじま よった よったと 飛脚の ぶすくれたふくらはぎ 島畳み うちの孤島のかびくささ 貴様 ひざこぞうの穀潰しめ ひらり りり と小虫鳴き 肩が寄りました…

柿沼オヘロ
4か月前
24

詩/ミディアムポエム:テーブル

テーブル 夕日を洗うような 四つの滝の真ん中は いつも とおい記憶のはきだめだ 水煙は立ち上がり 子どものからだは霞んでいる 白鍵のないピアノは きっと遊戯にはむかない…

柿沼オヘロ
4か月前
27

詩:うすみどりのとほうより

散る  目のうらの 星つぶみたいに    うすみどりの 影   それは ぼくの  まうらから かつて   アマゾンの ふかみどりの 風が  さまざまな 息をまとって …

柿沼オヘロ
4か月前
18

ミテイナリコさんとのコラボ

noteで知り合ったアーティストのミテイナリコさんとのコラボです。 ぼくが作った曲と詩の朗読を見事に再構築してくれました。 めちゃくちゃカッコいいので是非聴いてみて…

柿沼オヘロ
4か月前
16

詩+川柳2句の合成

   新しい墓があるいつもの道に あ  あなたを誰も 透きとおせない     い た  たのしい会話でした 路のような みち ち ら  羅紗布の下でのやわらかい営…

柿沼オヘロ
5か月前
25

詩:イガラ岩

喉に貼り付くイガラ岩があり それは 瞳の膜にもぐるようでもあり 空に点描を打つようでもある それはまた 岩が破れるような強い音であり 岩が崩れる刹那に弾ける火花であり…

柿沼オヘロ
5か月前
27

詩:てんせん

にくたいも れいこんも なんだろう点線みたいだから ボンドでごまかすように 絲にすることがある いびきとむこきゅうの枕も ほぐしてほぐして ぼくら編み物になるために …

柿沼オヘロ
6か月前
22

そして近づいてくる

某詩誌で落選した詩です。良かったら読んでいただけると嬉しいです。
後半は少しだけ画像のものから改稿しました。

地図のめくれた場所から
近づいてくる人がいて
いつもこぼしている
服はだいたいシミだらけで
口元にケチャップが付いていて
かんできたのだと
乾いてきたのだと
やがて結石のように生えるだろう街には
イワシのぶら下がる電線
逆光のさかり場
そんな場所から近づいてくる人がいて

支流でいっぱい

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日本現代詩人会、投稿欄にて拙作「タービン」を入選(うるし山千尋さん選)、
「太陽に夜更けがくる」を佳作(雪柳あうこさん選)で採っていただきました!評もとても嬉しいものでした。
まだまだまだまだ頑張ります!
https://www.japan-poets-association.com/contribute/

詩:前うで

すうっと抜いた
この頬紅で
画用紙をうめてみたかった
ラム酒は冷たく
瓶の味しかしないし
パン屑も舌を砂場にした
筋張った前うでの獣は
ある完全な風景を走りたかった
通りを埋める
青草だったものは
今では風も見逃すほどだし
わたしも絵筆を持たなかったから
いつも頬杖には
熱がこもりっぱなしだ

詩:うにうき

雲丹がういているとして
この一歩目からすでに
戦いがはじまっているわけだ
だからぼくは何食わぬかおで
血の歩兵のマントになるだろう

はくいき

すういき

全てのいきに遺る
白亜の振動
たたかいはもうはじまっていた
指のうごき
すいめんを撫でる、叩く、込める
そこにもぼうっとして
野蛮なうにが
まとわりついてるわけだ

ちょうどのものを見ることができない

耳も、鼻も、味蕾も、発声も、
発生もた

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詩:春分

換気扇が まわる
花々の芽は
立ちくらみを起こし
刃こぼれの風と もつれ合っている

どこにいても
鏡に吸われるようだった
うねる白髪を
銀色と笑い合った人は
弱々しい影に 上塗りされていた

春の空は仮縫いのよう
冷たい切り口の空 肉
昨日のサイレンの赤が窓に貼り付いている
またひとり
人が攫われていくのだ

詩:おりんが鳴りやまず

ふぉぉぉん と
また鼓膜が震えている
おりんの音に波打ちながら
線香のにおいが
いつも灰いろの祖父に集まっていく
僕は 緑いろのじゅわ、とあまい
缶詰が食べたかった

白黒写真のなか
戦地からもどってきた祖父は
大八車で野菜を売っている
路らしくなってきた そのみちで
はずむ車輪に埃がまう
赤子の父は
目を大きくして じっとしていた
写真は濾紙のようにに
いろをこちらへ留めてしまうから
白黒になっ

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詩:あまだれ

詩:あまだれ

ねこみたいだね
手話さばきだけ しっている
くびわのない迷よい子
といをつたう あまだれは
ふせいみゃくの おとみたい
そのきまぐれな嗚咽が なんだか
きみがそこで
生きているみたいだった
素焼きのはちに
しみを拡げてる
葉にくからも あまだれて
きまぐれに揺れる 花にくも
今は かげり ちらして

天井のつぎめが
はりがねむし みたいだね
宿主をかえてしまえば
もう
かべに支えがきかないから

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詩:口がいっぱいだ

詩:口がいっぱいだ

某誌にて選外佳作を頂いた詩です。

たんこぶがいっぱいだ
毛穴ばっかり膨らんで
口がいっぱいなのに わたしの
頭がぼこぼこで言葉をじょうぶに結べない
あり余った枝毛の先っぽには
あらゆる埃が光源のような
白い部屋
思い返してしまったろう?
きみはときどき
すぐに恥ずかしそうな顔をした

花小金井駅南口 駅にだって
口がいくつもあるんだね
噂話もいっぱいだ
ロータリーに結ばれた桜並木も
花の炎症がま

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詩/ミディアムポエム:重油

街にメロディがこだまして
からすは山に帰ったよ
鋭い羽根に空が撫でられて
傷口が開いたみたい
もれてくる重油
もうとっくに
藁半紙は破れているのに
きみは呪いの上書きをやめられない
走るペンを止められない
頭の中で赤ちゃんは
湧き出る重油を乳にして
またそれを産湯にして
なんだか
宇宙飛行士のようだね

詩/ミディアムポエム:拝島

島拝み
はいじま
よった よったと
飛脚の ぶすくれたふくらはぎ

島畳み
うちの孤島のかびくささ
貴様 ひざこぞうの穀潰しめ

ひらり りり と小虫鳴き
肩が寄りました
まぼろし 
ころされたじかんの

きっさきに炎が群れ合って
夕べの化石がこびりつく
お茶碗 あかあく 
うるかした

詩/ミディアムポエム:テーブル

テーブル
夕日を洗うような
四つの滝の真ん中は
いつも
とおい記憶のはきだめだ
水煙は立ち上がり
子どものからだは霞んでいる
白鍵のないピアノは
きっと遊戯にはむかないよ
目のくぼちに手を伸ばせば
水のひと粒ひと粒がいま
渇いていくところだ
砂時計の滝
きみは
いつからそこに
埋まっていたのかな

詩:うすみどりのとほうより

詩:うすみどりのとほうより

散る
 目のうらの 星つぶみたいに
   うすみどりの 影
  それは ぼくの
 まうらから かつて
  アマゾンの ふかみどりの 風が
 さまざまな 息をまとって
 雷雨の あいま や
  がいこつの隙をぬって
 ようやくうみに届いた ころには
   せおった荷物が 重すぎちゃって
     どこまでも沈んでいった なら
 知らなかったな ぼく
   深海で
  ぬるぬるの魚の
  げっぷになっ

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ミテイナリコさんとのコラボ

noteで知り合ったアーティストのミテイナリコさんとのコラボです。
ぼくが作った曲と詩の朗読を見事に再構築してくれました。

めちゃくちゃカッコいいので是非聴いてみてください!

また機会があればミテイさんとコラボしてみたいなあ。

詩+川柳2句の合成

   新しい墓があるいつもの道に

あ  あなたを誰も 透きとおせない     い
た  たのしい会話でした 路のような みち ち
ら  羅紗布の下でのやわらかい営み     み
し  しなりを受けて 盗賊は去り      り
い  石は研がれつるつるの夜の       の
は  はめ殺し 空に朝 骨だけになった傘  さ
か  かんたんなことだったよ 独り言を聞き き
が  画鋲を抜き そのあとの

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詩:イガラ岩

喉に貼り付くイガラ岩があり
それは
瞳の膜にもぐるようでもあり
空に点描を打つようでもある
それはまた
岩が破れるような強い音であり
岩が崩れる刹那に弾ける火花であり
岩が永遠の方角へすじ撒きをする
ひかりの小さな種でもある

わたしは
わたしたちを覆う
砂ぼこりの一粒のなかに
土踏まずを昇る
砂つぶのちいさな爪のなかに
いつか思い出してしまうだろう
瞳を区切る鳥たちの影があり
声をなくすほどの逆

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詩:てんせん

にくたいも れいこんも
なんだろう点線みたいだから
ボンドでごまかすように
絲にすることがある
いびきとむこきゅうの枕も
ほぐしてほぐして
ぼくら編み物になるために
よって のばして

ぎんがけいのかぞくしゃしんも
くっついて光の束にする
ぼくらもいつかは
それを観測していようね
ていがくねんの声をどこか
おいてきたから
ひとつだけ度数のたかい
せきばらいをして

風も立てずに
カーテンがひるがえ

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