詩:よし よし

うどんこ病の
おけしょうに身をひそめて
かおをまっ白にした はだにの卵たちは
葉脈のなだらかな脈うちかたを
そのまま固めたみたいで
それに 日かげもしんみりとした
だんらんを とどめているね

ざらざらの葉ぐちに
石灰みたいな黴がつまって
ほそい息が 指にこそばゆい
はんしゃ終わりの窓が
寒天みたいな
ぼくらの食卓を透かしているね
硝子のあちらがわが
はんしゃ越しでしか こちらを
見られない ばんだね

きみが死んじゃった日のまえみたいに
 かていしてみようか
 家 庭 の 沈んだおとも
まんてんをふるわせる 木霊だってこと
 仮 定 してみよう
 かりぎめのまま詰まった根っこも
土虫がほどけば ただの匂いだってこと
ゆぅら、ゆぅら、と波うつ
脈のしずけさのうえで
また庭をやってみたい ね

ぼくら
のげしや あざみの棘を知ってた
よしや どくだみの繁るぬかるみに
そのまま沈むやり方も
逆さまにぶらさがる
 こうもりのまばたきは
 酵 母のしずかな光みたい
ゆぅら、ゆぅら、とくすぐって
ぼくら お互いのあやしかたを
もう ずいぶん知っているね

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