詩:春分

換気扇が まわる
花々の芽は
立ちくらみを起こし
刃こぼれの風と もつれ合っている

どこにいても
鏡に吸われるようだった
うねる白髪を
銀色と笑い合った人は
弱々しい影に 上塗りされていた

春の空は仮縫いのよう
冷たい切り口の空 肉
昨日のサイレンの赤が窓に貼り付いている
またひとり
人が攫われていくのだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?