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転職体験記 シリコンバレーのベンチャー企業に その11 必須アイテム ドライバーズライセンス 当たり前過ぎて意識しなくなっていること

 時は昭和のバブル時代真っ只中。

 車を買い、アパートも用意して家族を待つだけになった私生活。ベンチャー企業での仕事も立ち上がりお次は…

 国際免許証から現地の免許証の取得。

 米国では運転免許証は身分証明書代わり。パスポートは持ち歩かないけれどドライバーズライセンスはクレジットカードと同じく必帯アイテム。

 ロサンゼルス、アナハイムのディズニーランドでビールを注文したら30歳超え私にの何と年齢確認。笑えるのですが、勿論ドライバーズライセンス提示で事なきを得たのです。こんな感じで身分証明書としてとても重宝。

 国際免許証からだと筆記試験と実地試験だけで大丈夫。

https://www.us.emb-japan.go.jp/j/certificate/Drivers-handbook_for_DC_MD_VA.pdf

DMV(Department of Motor Vehicles)に行って先ずは筆記試験。
日本と違うのは…

カープールレーン 
 渋滞緩和の為に2名以上乗車している車は専用レーンを使えて、渋滞を横目に朝晩の移動が快適にできます。

夜間照明
 夜間信号で停止してもヘッドライトを消灯してはいけません。

スクールバス
 黄色いスクールバスば最優先。
赤い標識やランプが点灯していたら付近の交通は完全にフリーズ、停止。

スクールゾーン
 スクールゾーンも指定速度、歩行者優先など厳しい。

なんて感じだったかと。州によってはシートベルト装着不要とか、各州毎にローカルルールが有るのが面白いところ。正に連邦なんだなあと感じました。
 
閑話

 州毎の個性と言えば、カリフォルニアエミッションってのが有ります。排気ガス規制はカリフォルニア州はが最も厳しくて、カリフォルニア州専用の排気ガス浄化装置を別途取付ける必要が有りました。

 でも禍福は糾える縄の如し。
 現地で買ったアメリカ車を2台日本に持って帰ってきたのですが、このお陰で日本の排気ガス規制は余裕を持ってクリアできたのでした。サンダーバードのロケットミラーを可倒式のドアミラーへ取替るのと、赤の点滅ウインカーを黄色に変更する程度で日本仕様にできたのでした。

閑話休題

 実地試験では、自分の車を使って試験官を助手席に乗せて路上を運転します。なんてことはないのですが、日本と異なるのは

Kターン
 Uターンは一気に転回しますが、こちらは一旦車を道路に対して直角にして後退、切り返して方向転換します。これができるかを必ず試されます。

交差点右折は規制が無けれはいつでも可能
 左側通行なので右折が道なりに曲がる事になるのですが、これも合理的ですよね。

横断歩道付近の徐行
 これもスクールゾーンやスクールバス同様に規則を厳格に守る事を躾けられます。

てなところかなぁ…

 笑えるのは、私が試験停止になってしまった…

アヒルの親子の横断。試験の終わり、駐車場に車を駐める際にアヒルの親子が駐車場を横断して居ました。その行進の手前を曲がって駐車場に入るので特に進路には関係なかったのですが、手前で一旦停止しなかった為にその場で試験停止、不合格となってしまいました。きっと他に理由があったのだと思いますが、同じ路上コースでの次の試験では満点で合格しました。今でも腑に落ちない…

 因みに吾妹は、義理の父と私が送った試験問題を予習。元々体育会系なのでキビキビした運転ながら違反、事故も無く安全運転。ですからカリフォルニアのドライバーズライセンス試験も、筆記、実地何方も満点合格。しかも実地試験では自分の車、サンダーバードスーパークーペ、スーパーチャージャー付きの5速マニュアルで、
「レディ… ホントにこの車での試験で良いのか… 」
と言わしめるほど試験官を驚かせ、しかも完璧な運転でまた驚かせての満点合格でした。今でもこの件では頭が上がらない(笑)
 何れにせよ脅かされていた割には比較的スムーズにカリフォルニア州の運転免許証を手に入れられました。

 自動車の運転絡みでは、飲酒運転にも面白い話が有って…

 当時は結構基本的に何も無ければ飲酒運転で停められることは有りませんでした。ですから現地の日系の半導体の販売協力会社の方も会食後夜中までカラオケに行くこともしばしば…
 また法律の建付けも多少(ビール2~3杯)の飲酒ての運転は許容することになっています。

 因みに現地の販社さんは私達から見れば大切なパートナー企業さん。ですからこちらが接待することもしばしばでした。私達現地駐在員のカラオケでのお作法と言えば、笑えるのは演歌縛り。当時は洋楽(英語の歌)や日本のポップスを私達が歌う事はご法度。特にお店による接待サービスを伴う店でのカラオケでは、女性とのデュエット曲は厳禁でした。
 その意味では、まだまだデビューしたての坂本冬美はギリギリオッケーって感じで、まぁ演歌についてはカリフォルニアの空の下で百戦錬磨…

 日本人がカラオケで飲酒しているのは現地警察も知っていて、駐車場から出る時にウインカーを出さないとか、ストップランプの球切れなどの整備不良等の別件で停止させて、飲酒のチェックをします。当時は丁度血中のアルコール濃度0.15%(1.5mg/mL)以上から同0.08%(0.8mg/mL)以上に飲酒運転の定義が変わった直後で特に取り締まりが強化された時期でした。

最近の事情はこんな感じ…

在サンフランシスコ日本国総領事館
Consulate-General of Japan in San Francisco

在サンフランシスコ日本国総領事館
Consulate-General of Japan in San Francisco
カリフォルニア州で「犯罪者」「違反者」とならないために
令和3年7月26日 在留邦人・旅行者の皆様へ

https://www.sf.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/anzen_15_1013.html#:~:text=%E8%A1%80%E4%B8%AD%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E6%BF%83%E5%BA%A60.08,%E3%81%8C%E7%BE%A9%E5%8B%99%E4%BB%98%E3%81%91%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82


 当時は、後に事故が多発してなくなったのですが… 飲酒運転違反者はオレンジの服を着て高速道路の掃除をさせられるという罰がありました。この規制が発効して多くの人が取り締まりを受けて、高速道路で良くこの罰則を実施している場面に出くわしました。そんな時期…

 このネタの主の営業さん。かなりの酒豪で会食時からいいピッチで飲み進み、本人曰く酩酊に近い状態だったとのこと。魔が差してウインカーを出すのを忘れて待機していたパトロールカーに停止指示を受けることに。
 ウインカー忘れを指摘され、酔ってませんよね。と言われつつ定番の白線往復を指示されたそうです。これは飲酒の判断として使われる試験。道路の白線をフラフラせず、かつ踏み外すことなく往復できれば放免というもの。その方は何とそれをやり切って飲酒運転の違反にはならなかったとのことで、大いに自慢、笑いを取る営業ネタとして使っていました。

 まぁ何ともおおらかな時代…

 ということで米国への転職では、現地の運転免許証は必須ですので、それに纏(まつ)わる話も色々有りました。

つづく


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経緯

 シリコンバレーにある高速半導体メモリを開発·製造している会社に転職となったのです。
 形式的には鉄鋼会社の米国駐在員で、鉄鋼会社の社員としての給与を貰い、その米国ベンチャーの社員としても給与を貰い、日米の年金保険料はダブルで払い、税金は日米の給与と駐在員手当(住居費、自動車購入費、交通費など)も含めた全収入に対して米国の税金を支払うという形でした。 渡米に際しては先ずは米国大使館でのビザの取得。形式的に半導体技術開発のエンジニアという建付けでの渡米でしたので、取得したビザは、H-1B。ビザ取得に際しての大使館での面接、その後の手続きとそれなりに面倒でした。


 その2は渡航前の明るく楽しいひと時の話。

 その3は、予防接種の重要性と就労ビザのご利益の話でした。

 その4からは現地での流れ。

 レンタカー、ホテル、外食で仮に生活を立ち上げ、仕事が可能な体制に。そして銀行口座開設、年金、健康保険の手続きをして入社した会社の社員としての基礎的な手続きを完結させました。

 その5は仮生活からの脱却です。
 今ならスマートフォン手配は必須ですが、当時は携帯電話すら無く会社支給のポケットベルという時代でした。

 ということで、先ずは空港で借りたレンタカーは高いので、急いで自動車を購入ということに…。レクサスLS400は狭くて保留。
 戯れにシボレーカマロを見に行ってプレミアがついていたのに驚くといった感じ…

 その6もその続き。

アメリカでは車は極めて重要なアイテム

 折角アメリカに駐在するのだからアメリカ人に成り切って楽しもうと私自身車好きだしね。日曜日昼下がり道に迷い、Lincoln Mercury販売店に入って道を尋ねがてら車も…

 米国での自動車購入の実況中継です。

メキシコ系販売員の丁寧な対応で、不人気なアメ車のフルサイズセダンの最高級グレードの車、リンカーンタウンカーを選びレクサスとは別格とその場で契約を決めました。
 アメリカ専用に作られ、熟成し続けられただけ有って、この国には最適解ということで…。

 その7もその続編、契約手続きの実況中継です。
日本では味わえないレアな体験なので…

 渡米して間もないので自動車保険は基本的にコンサバな車しか掛けられません。勿論リンカーンタウンカーなら文句なし。
 ということで販売店で契約書3セットを読み合わせ。各項目ごとに読み上げて私が理解したらイニシャルを書いて各詳細項目までも説明済みということを記録に残し、1セットが終わると同じ契約書3枚にそれぞれイニシャルではなくフルのサインをすると言う作業。その後詳細な車の操作方法の説明と同様の確認作業。流石リンカーン。
·トランクからの緊急脱出装置
 (トランクの中に閉じ込められても内側から自力で脱出可能)
なんて装備まで…。アメリカの高級車らしい。
 ナンバープレートが出来上がるまで仮ライセンスの紙をフロントガラスに貼ってその場で乗って帰れるのがアメリカ流。合理的なんです。
 これで自分自身用の車の件はおしまいなんですが、ちと奮発した感じ。でも、予定通り35年後の今でも使っているので良いか… 

 仮生活からの脱却のお次は…
その8は、住む場所の話。ホテルからアパートへ。

 私は初めての駐在なので大人しく人事が用意したアパートから部屋を選ぶと言うスタンダードな流れを選びました。しかし、駐在慣れした方や気の利いた方は、駐在員手当を活用して不動産を買って、帰国時に売却して売却益を得たり、そのまま賃貸に出す何て兵(つわもの)も…

 人事ガソリン用意したアパートはこんな感じ…

 アパートの管理棟が敷地のど真ん中に有り、塔の下は大きなホールになっています。ラウンジの様な感じ。居住者の親交を目的に月一回週末ブランチが振る舞われると言うまぁアメリカらしいオ・モ・テ・ナ・シ。
 建物の左がオフィス。右はジムでセキュリティの問題で夜中は閉まります。建物の前にプールが有り、塔の真ん前がジャグジー。夜間はプールの中の水中照明が点灯してとても美しい…

 中庭もいくつか用意されていて、噴水も有りとても落ち着いた雰囲気…

 敷地内の散歩が楽しくなるような小径の景色…

 で、私は…

 部屋は異型の広いリビングと子どもと私達用の2ベットルームを選びました。兎も角アメリカらしい、ならでは感の有る間取りにしました。表紙の間取り。

 もちろんお風呂はバスタブとシャワーが一緒になっていて、石けんのお風呂に入って、シャワーで仕上げるタイプ。それを各人が楽しむという何ともアメリカンなタイプ。
 
 パティオも広いし、1700ドル程度と割高だったけど選んでしまいました。

 その10は、住む場所の話の続編。

 住居は大事なので少しだけ家族も揃って住み出した後の話も雑然とした感じでご紹介しました。

 デッキでのバーベキュー。
 バーベキューが下手で上の階のイラン系の方がベランダから赤外線で焼けばきれいに中まで火が通るとのアドバイス。生まれて初めての中東の方との会話でした。

 小鳥の餌箱をパティオの一番奥の門の前の樹に…。
 リス(chipmunk)もそのへんを彷徨(うろつ)いていました。

 建物の半地下が全て駐車場と倉庫。正倉院のように高床式になっているので風通しが良くとても過ごしやすいアパートでした。何と冷房は無く、ヒータのみ。真夏も涼しく高原の様な気候でした。

 ご近所さんからFurnished(家具付き)は割高と言われ、契約を変更。家賃を約半額強の月額990ドルに。

 郊外のハイウェイはガラガラヘビに遭遇。


 部屋のカーペットは、床から突き出している鋭利な釘で留めてあるので裸足は避けた方が無難でした。

 自然豊かなので蟻が出ます。

 アパートメンテナンスの屋根洗浄でパティオが水浸しに。基本的にアメリカのアパートでは天日干しするというのは想定外。洗濯機室で乾燥までしちゃいます。

 機械物が故障するのは想定内。洗濯機や乾燥機、プールの浄水装置や夜間照明のライト等も。もまぁそんなもんですという感じで皆さん大人の対応でした。

 また、ゴミは少し離れた場所にある普通自動車がすっぽり入る位大きな大型トラックの荷台の様な金属製の箱に分別せすいれる感じ。分別なんかしない。

 とまぁこんな感じの日常がシリコンバレーのアパートには有りました。

 その10はオフィスの雰囲気を。
 シリコンバレーのベンチャーでの仕事は、呆気ない程簡単に立ち上がりました。唯一ドキュメント管理にトリックが有って、行間のノウハウを言葉に起こす作業に少し時間が必要でしたが。エンジニア同士の人間関係構築も手慣れてましたので特に問題有りませんでした。まぁ、私達は彼らの仕事を増やす事は有っても減らす事は無いので。寧ろ株式公開が早まり彼らの人生の上がりが早まる…

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つづく






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