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歴史読本 呉·江田島 書評 当たり前過ぎて意識しなくなっていること

 至近の世界情勢は、平和について強く意識されされる状況になっています。秋の夜長に昔一読した歴史に関する書籍を再度紐解いてみました。

 明治時代からの呉·江田島の歴史という切り口で現代の状況を見直してみたいと思ったらからです。特に人間魚雷回天等、断末魔の指導者が人命を使い捨て制御機器として使ってしまったという事実までもう一度向き合ってみました。

別冊歴史読本62
呉・江田島歴史読本 (別冊歴史読本 62)
‎KADOKAWA(新人物往来社) 
発売日 ‎2013/3/21

ISBN-10 ‎4404036620
ISBN-13 ‎978-4404036629

 呉市海事歴史科学館(通称大和ミュージアム)に関する館長戸高さんの思いの記述は、同館を訪れるにあたり展示の意味を深く理解できる助けとなる内容です。私は理系なので技術的な視点での理解も。特に戦後の復興との連続性という観点からの理解が深く進みました。過去の過ちの無念さをしみじみと感じつつ、それを整理した上で前向きに生きてきた戦後の方々の思いを咀嚼して如何に次世代に繋いて行くか、とても考えさせられました。

 また網羅的に編集された歴史的展示のある周辺施設の記述も良く、写真付きで丁寧に紹介されています。見学時の記憶を呼び起こすのにとても役立ちました。

 例えば私は海上自衛隊第一術科学校の教育参考館の資料見学をさせて頂いた経験があります。とても印象深い経験でした。特に今でも鮮明に記憶に残っていた回天乗組員の記録の実物の展示に触れた時の衝撃を、リアリティーを持って今この瞬間に蘇らせる事ができました。

 また、古代からの伝承、平家や瀬戸内海の水軍、江戸末期からの明治そして昭和に続く歴史が要領よくまとめてあることで現代に繋がる系統的歴史観を整理することができました。

 歴史資料の写真の鮮明さも秀逸で、特に明治30年代の写真は驚くべき解像度なのでその瞬間を生きた方々に思いを馳せながら長時間鑑賞できます。

 久しぶりにこの本を読み返して至近の世界情勢に微力ながらも如何に関わっていくべきなのか、整理が進みました。

 ご一読され機会があれは現地にも訪問されることを強くお勧めします。

蛇足
 今noteにこれを作品として出させて頂いているのことも上述の私の関わり方の1つです。

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