ホームルームが終わると同時に、担任が座る教卓へと向かった。担任は先程集めた進路希望調査書の束の角を揃えている。 「野上先生すみません、私、進路希望調査書まだ提出…
私がこの世に残せる物はきっと、何も無いのではないだろうか。 親指でスクロールして現れる美しい美少女。手指の形だけわかずかに歪で不自然であったものの、それ以外は完…
私が生まれた日 喜んでくれた人がいた それだけで一生を生き抜ける 活力になり得ればいいのに 身に降りかかる偶発的な不幸と 遺伝や環境による宿命的な欠陥 まちがい…
その背負ってる重そうな荷物、 あの棚に置いておけばいんじゃない ついでにその重そうなコートも脱いで 布団の中で温まればいんじゃない ベルトとかブラジャーとか 締め…
季節は世界を彩るが 夜は等しく黒に染まる けれど、君は雪国の夜を知っている? あたりが真っ白だから 夜でも、世界がほんのり明るくなる この夜には希望がある 果て…
あなたは今 優しい人 昨日は違ったけれど。 あなたの殺気立った視線と言葉で生まれた 私の切り傷は むごい赤黒さのまま 痛みもまだ残っている 私は今 悲しい人 一昨日は…
衝動に任せて手繰り寄せる 愚かな手腕 成功しないものと バッドエンドだとわかっても 勝手に動くその指を止められない それは愛ではなくてエゴ 報酬と恍惚が欲しいだけ…
美しい絵画に込められた怨念 剃刀の先に付く雫の煌めき 数日後の枯れた花束 あの日のふんわりとした肌艶と 何の濁りもない瞳は 今やざらりとした皮膚と光を失った目 美し…
そして今日もひっそりと 息を殺して微笑んだ 喉に絡んだ細い糸を ほどくことはできないと。 日々伸びてゆく前髪が 私の視界を狭めては 彼の背中を滲ませて その余命を…
青い鳥を一生懸命に探していた けれどこの指先にとまったのは 美しく鮮やかな青い鳥ではなく 同じ体温のなめらかな肌色 空に向かって掲げた手を あなたの手がそっと下に…
如月
2023年6月27日 21:04
ホームルームが終わると同時に、担任が座る教卓へと向かった。担任は先程集めた進路希望調査書の束の角を揃えている。「野上先生すみません、私、進路希望調査書まだ提出できていません」1年生の時からの担任だった野上先生は、それを聞くなり眉間に皺を寄せた。「お前、美大行くんじゃなかったのか」彼は英語教師だったが、私が美術部に所属して、既に大なり小なりいくつかの賞を貰っていることは知っていた。1年生の時
2023年6月26日 22:19
私がこの世に残せる物はきっと、何も無いのではないだろうか。親指でスクロールして現れる美しい美少女。手指の形だけわかずかに歪で不自然であったものの、それ以外は完璧。端正で色気のある顔立ちと健康的そのものの肉感の体つき。誰もが口を揃えて「美少女」だと認識するそれは、AIが生成したこの世に存在しない人物である。またスクロールすれば、今度は美少女の絵が現れる。繊細なタッチと淡い色合い、口角や目尻の
2023年2月17日 13:41
私が生まれた日 喜んでくれた人がいた それだけで一生を生き抜ける 活力になり得ればいいのに 身に降りかかる偶発的な不幸と遺伝や環境による宿命的な欠陥まちがいさがしの正解に生まれた人間が歌う人間讃歌なんて何も届かない 何も響かないそんな果てしない瞬間をどうやり過ごすか生き残れるかはそこにかかっているのでしょう辛いのは、上手に生きる方法がわからないから何が幸せかわからないか
2023年1月26日 12:21
その背負ってる重そうな荷物、あの棚に置いておけばいんじゃないついでにその重そうなコートも脱いで布団の中で温まればいんじゃないベルトとかブラジャーとか締め付けるものも外してさついでに頭も空っぽにしたらその頭痛も良くなるんじゃない君たちは働きすぎただけ考えすぎただけ適度にゆっくり休めたらいんだろけどつい頑張りすぎちゃう君たちには難しいのかもねだから、頑張りすぎたのなら
2022年12月23日 13:53
季節は世界を彩るが夜は等しく黒に染まるけれど、君は雪国の夜を知っている?あたりが真っ白だから夜でも、世界がほんのり明るくなる この夜には希望がある果てしなく降り積もる雪にはすべての道を塞ぐ恐ろしさがあるけれどその白さには夜を照らす輝きも孕んでいるすべての物事もそうであるらしい道を見失った時 雪国の夜を思い出してまだ、万策は尽きていない
2022年11月1日 23:14
あなたは今 優しい人昨日は違ったけれど。あなたの殺気立った視線と言葉で生まれた私の切り傷はむごい赤黒さのまま痛みもまだ残っている私は今 悲しい人一昨日は違ったけれど。くしゃりと顔面をしぼってぼたぼた涙が流れ出る赤黒い切り傷が いつ癒えるのかと不安がる 明後日はどうか、明明後日はどうかあなたは常に優しい人であれるか私は常に優しい人であれるか常、なんて。途切れ途
2022年10月27日 23:02
衝動に任せて手繰り寄せる 愚かな手腕成功しないものと バッドエンドだとわかっても勝手に動くその指を止められないそれは愛ではなくてエゴ報酬と恍惚が欲しいだけの寂しがり屋泥だらけの服に気づかず化粧に命懸け結局化粧は涙で溶けてぐしゃぐしゃその頃にようやく服の泥に気づくのだ鏡を見て よおく よおく見て私はもうすぐわかる 自分の愚かさ再起をかけるためのしかめ面とくと目に焼き付けて
2022年10月24日 22:18
美しい絵画に込められた怨念剃刀の先に付く雫の煌めき数日後の枯れた花束あの日のふんわりとした肌艶と何の濁りもない瞳は今やざらりとした皮膚と光を失った目美しさと恐怖は隣り合わせで時とともに距離が近づきいつしか同じものになるあなたは仲良くしてはいけないどうか決別しておいてくれいつか近寄られてしまったら 気付かぬふりして生きてくれそしたらあなたは純真な美しさを永遠に纏う
2022年10月23日 09:30
そして今日もひっそりと 息を殺して微笑んだ喉に絡んだ細い糸を ほどくことはできないと。日々伸びてゆく前髪が 私の視界を狭めては彼の背中を滲ませて その余命を告げていた。そして今日もひっそりと 彼は棘を残してく私はそれを踏んづけて 痛みで瞳を潤ませる愛おしいその背中赤ら顔して見つめてる※学生時代に書いたもの
2022年10月16日 21:35
青い鳥を一生懸命に探していたけれどこの指先にとまったのは美しく鮮やかな青い鳥ではなく同じ体温のなめらかな肌色空に向かって掲げた手をあなたの手がそっと下におろさせてその温かな指が私の指を強く包む青い鳥は居ないが私の両目を強く見つめるあなたが居るそれがどんなに哀しくてそれがどんなに幸せなことか