【小説】第二話 少女は名を憎む
ホームルームが終わると同時に、担任が座る教卓へと向かった。担任は先程集めた進路希望調査書の束の角を揃えている。
「野上先生すみません、私、進路希望調査書まだ提出できていません」
1年生の時からの担任だった野上先生は、それを聞くなり眉間に皺を寄せた。
「お前、美大行くんじゃなかったのか」
彼は英語教師だったが、私が美術部に所属して、既に大なり小なりいくつかの賞を貰っていることは知っていた。1年生の時、確かに私は進路希望調査書に美大を第三志望まで書いていた。
この生徒は美大行き