マガジンのカバー画像

ごはんモグモグ倶楽部

26
ほっこり心が温まるフードエッセイを書いていません。
運営しているクリエイター

記事一覧

とっておきの思い出にとっておきたい

とっておきの思い出にとっておきたい

学生時代を振り返ると、若気の至りな思い出ばかりだ。

若気の至りとは言っても、悪事を働いた訳ではない。
ただ寒いことばかりしていた。

北海道に行った高校の修学旅行は、若気の至りのベストアルバムだ。

初日の夕食はジンギスカンだった。
関西の女子高生がジンギスカンを食べる機会はほとんどない。
同じテーブルの友達全員、ジンギスカン初体験だ。

ジンギスカン用の鍋は、あまり見ない珍しい形だ。
山型で、

もっとみる
一心不乱のホットサンド

一心不乱のホットサンド

パンが好きだ。
朝はパン派。

休日の朝はゆっくりできるため、いつもより張り切って、食パンに卵とチーズを乗せてトーストし、黒胡椒をゴリゴリかけたりする。

パンはフワフワよりもサクサクが良い。
コッペパンは底が好き。
トーストは耳が好き。

全面が耳になっている食パンの端っこは、切り落とされることが多いが、それこそが食パンの醍醐味だ。
耳好き界隈では、それを「初耳」と呼ぶらしい。

サンドイッチも

もっとみる
婚活カオマンガイ

婚活カオマンガイ

もう数年前のことになるが、30歳を目前に控えた頃、友人と婚活パーティに行った。
メンバーは自らのことを「四天王」と称するこの4人。

イェイ子(仮名)
病院勤務。
婚活経験なし。
休日は引きこもりがち。
たまの外出で昼飲みすることも。
趣味のゲームでは、オンラインで見知らぬ誰かと繋がり、インカムで話しながら何時間も闘う。

マミィ(仮名)
商社勤務。
婚活経験なし。
恋愛には奥手なくせに、阪神タイ

もっとみる
父・母・私 それぞれの料理スタンス

父・母・私 それぞれの料理スタンス

お味噌汁を飲んで、父親が作ったのか、母親が作ったのか分かる。

うちは昔から両親とも料理をする。
ただ、そのスタンスは異なる。

父の料理スタンスは、「とことん追求する」。

だし巻き卵に命を燃やし、週末はせっせと器用に巻いている。
食卓では決まって「どや?遠くに故郷が見えるやろ?」と、感想を求めてくる。

父は遠くに故郷が見えるだし巻き卵を追い求めているらしい。
ガリ(生姜の甘酢漬け)の汁を入れ

もっとみる
チキン南蛮定食での洗礼

チキン南蛮定食での洗礼

数年前、全国会議があり、会長(仮名)、副会長(仮名)、事務局長(仮名)に連れられて、ペーペーのわたしも参加することになった。

新幹線に乗って大都会東京へ出張だなんて、今までほとんど経験がなかったので、楽しみだ。

行きの新幹線で軽く打ち合わせするので、4人で近い座席を取り、会場まで一緒に行く。
会議は2日間行われ、1日目は13時開始なので、午前中に関西を出発した。

わたしたち4人にとって、大都

もっとみる
餃子の王将に胸キュンはある

餃子の王将に胸キュンはある

芸能リポーターが、ワイドショーで熱愛報道について
「焼肉デートをするっていうことは、よっぽど気を許した親密な関係ということですよ」
とコメントしているのをよく聞く。

出会った当初、口説きたい・口説かれたい、という関係の時期は、お洒落なカフェやバー、イタリアン、創作和食など、気取ったお店に行くものだろう。

それがだんだん気心が知れて、焼肉になり、ゆくゆくはラーメンや牛丼になっていく。

それで言

もっとみる
インドカレー屋との攻防

インドカレー屋との攻防

しばらく前に再放送されていた常盤貴子主演ドラマで、豊川悦治が煙草を吸うシーンが新鮮に感じた。

最近のドラマでは喫煙シーンをほとんど見ない。
禁煙、受動喫煙対策が広まるあまり、ドラマの喫煙シーンも悪影響とされているのだろうか。

ドラマや映画で、人を刺したり撃ったり埋めたり、薬物使用や詐欺などの犯罪シーンはよく見るのに、煙草なんてかわいらしいものではないか。

役者さんって本当にすごい。
演技で涙

もっとみる
怒りのポイントを探れ

怒りのポイントを探れ

わたしは喧嘩が好きではないし、得意でもない。
人に対して直接怒りをぶつけたりしたことはあまりない。

ただ、しょうもないことで密かに怒ってしまうことが、ごくたまにある。
口に出すか出さないかは相手による。

アンガーマネジメントという言葉を最近よく聞くようになったが、自分が一体どんな時に怒ってしまうのか、把握しておいて損はないだろう。

金曜日の仕事終わりに待ち合わせて、食事に連れて行ってもらった

もっとみる
わたし、結婚したい和食屋さんがあるの。

わたし、結婚したい和食屋さんがあるの。

好きな男性のタイプは?と聞かれると「クッキングパパ」と答える。

見た目が好きというわけでも、料理の腕前に惹かれるわけでもない。
わたしはクッキングパパの性格がタイプだ。

 
漫画「クッキングパパ」の主人公、荒岩一味(あらいわかずみ)は、私が読んでいた平成初期は、商社の主任さんだった。
新聞社勤めでバリバリ働く妻の虹子さんと、息子のまこと、娘のみゆきの4人家族。

 
「ごめーん、今日も遅くなっ

もっとみる
カツオの説明

カツオの説明

以前、友達の知り合いのドイツ人と話す機会があった。

日本人のわたしと友達、そしてドイツ人のマーカスとルーカス。
4人の共通言語は英語だ。

とは言っても、わたしは中学高校6年間も英語の授業を受けてきたのに全く英語が話せないという、ニッポン教育界の問題点の縮図のような人間だ。

会話の不自由さは否めない。

マーカスとルーカスは、日本が大好きで、日本語を勉強中という。
日本の漫画やアニメはドイツで

もっとみる
グチの煮付け

グチの煮付け

普段お世話になっているスーパーでは、火・土・日曜は鮮魚が豊富だ。

ある日曜日、スーパーでグチが安かった。

魚を見たら、煮付けずにはいられない。
全然知らない魚だが、知ったふうな顔をして2尾買って煮付ける。

煮付けに合わせて今日は和食だ。
かぼちゃの煮物を多めに作り、翌日以降のお弁当のおかずにもしよう。

わたしは、週の中で一番外に飲みに行きたくない曜日は日曜日だ。
早めにお風呂に入ってから、

もっとみる
Happy Birthday to KISS

Happy Birthday to KISS

大学時代、ケーキ屋さんでアルバイトをしていた。

お祝いや特別な記念日にケーキは付き物。
来店されるお客さまは、みんな幸せそうな表情をしている。

薔薇の花束を抱えてケーキを買いに来られた男性は、今夜プロポーズをするのかな。
人生の節目に少しでも携われるこの仕事が、わたしは好きだった。

大学2回生からアルバイトしていたケーキ屋さん、
ザッハトルシエ(仮名)。

ザッハトルシエではデコレーションケ

もっとみる
バスの運転手さんに穀物の名前を呟いてしまう

バスの運転手さんに穀物の名前を呟いてしまう

マイルールというか、いつの間にか当たり前だと思ってやってるけど、そういえばもしかして自分だけ?という事ってあると思う。

特に、多感な子供時代は普段の生活に独自のエッセンスを放り込んでいることが多い。

中でも、少年少女時代の兄弟姉妹というのは、共に漫画やアニメの影響を受けたり、たいして面白くもないことが面白く感じたり、大人に内緒でイタズラをしたりと、本当にしょうもないことをしているものだ。

もっとみる
満員電車で子連れに迷惑とは似て非なる感情を抱く

満員電車で子連れに迷惑とは似て非なる感情を抱く

私には子供がいない。
 
 
 
例えば、電車に赤ちゃん連れのお母さんが乗っていて、赤ちゃんがギャンギャン泣き叫ぶもんだから、他の乗客からの視線を気にしてお母さんが申し訳なさそうにしているとする。

そこへにっこり笑って寄って行って、お母さんに
「すみません、うるさくしちゃって」
と謝られても、

「そんなん謝らんでええよ。
(赤ちゃんに向かって)なぁ、泣くのが仕事やもんなぁ。
どないしたんや、ご

もっとみる