創作舞台はおもしろい
舞台はいいですね。
やっぱり生が良い。
僕はマジックのコンテストが好きなのですが、なぜかというとこれはコンテストという名の、創作舞台だからです。
脚本も演出も演者も自分。
1人のクリエイターとしての総合力バトルなんですね。
個人的にはマジックは嫌いですが、まぁ老若男女が楽しめる芸能ですから。
能みたいに間口が狭くないので、恵まれてはいます。
でね、マジックのコンテストって面白いんですよ。
よく一般の方にマジックのコンテストって何を競うの?
どんなコンテストなの?と聞かれますが、
簡単に言えば「一番オモシロい演技をしたヤツ」を決める大会です。
一番感覚として近いのは、お笑いのコンテストですね。
M-1の審査基準は「とにかくおもしろい漫才」と明記されています。
例えばお笑いの審査員は幾千もの漫才を見てきた玄人ばかり。
ボケのパターン、システム、ツッコミのワードを知り尽くした審査員に「面白い」と思わせなければいけない。
マジックもそうで、しかも観客席は全員マジシャンです。
基本的には、マジシャンを驚かせないといけない。
M-1は一般客のウケを考慮して審査するので、僕ら素人も納得の点数であることが多いですが、マジックのコンテストは如何に「マジシャンが見て面白いか」が審査の基準です。
デパートで売っている売りネタをそのままやっても、拍手すら起きません。
一般客の前では阿鼻叫喚の大ネタであってもです。
だからコンテストで勝つ為には、30年前のスペインの書籍に1ページだけ書かれてあるような、誰も知らないマジックをしたりだとか、
新しく「タネと仕掛け」を発明したりしなければいけません。
あとは、マジシャンの誰もが知ってるけど、誰も出来ないめっちゃムズカシイテクニックを使ったりとかね。
マジシャンに評価される、っていうことがとても大事になってきます。
だから、ちょっとコンテストはマニアックで、テクニカルで、独創的なネタがとても多いのです。
でも、どんな大会でも結局、「一番オモシロい演技」が優勝します。
マジシャンの永遠のテーマである「一般ウケをとるかマニアウケをとるか」みたいな問題があるのですが、世界大会になってくると、一般の人が見ても面白いと思えるものばかり。
例えばこちらは世界大会FISM2012で優勝したYann Frischの「その年で世界一面白いテーブルマジック」です。
非常に独特。
普通に、面白くないですか?
ちょっと陰鬱な臭いがするのが独創的で、流石フランスのマジシャンという感じがしますよね。
喋らず、しかも無音というのが僕らの常識からしてあり得ないもので、非常に異質でした。
マジシャンから見ても、ちゃんと不思議。
初見は流石に騙されまくります。
世界大会のwinnerにしては大したことはやっていないので、大体2回目みたらわかるんですけどね。
この2012年の大会には、世界中のマジシャンが「何回観ても分からない」という演技をするコンテスタントは沢山いました。
純粋な「不思議さ」だけで言うと、このYann Frischは他のマジシャンより劣るのですが、
結局最後にモノを言うのが「雰囲気込みの面白さ」だというところが、僕がコンテストを好きな理由です。
純粋に「不思議なネタ」勝負では面白くないですからね。
だってマジック好きじゃねーし。
パフォーマンスと、演出の総合力が試される創作演技が見られるマジックの舞台は、基本的にコンテスト以外ありません。
だから、コンテストというよりそういう一つの創作舞台をやるのが楽しみなのです。
2月になっちゃったけど。
【お知らせ】
2023年8月から、「4か月前の記事」の一部を有料化することにしました。
といっても多分120円かそこらだとはおもいますが。
4月の記事は特段力を込めて書いていますので、是非今のうちに読んでみて下さいマセ。
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