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短編小説「アンディ・ウォーホル展」
※本編は、実際に開催されていた展覧会を題材にした作り話です。
明日あいてる?
ウォーホル見に行かへん?
京セラ美術館
気が向いたら簡単に京都に出てこられるのが、僕たち関西人の特権である。彼女とはここのところ忙しくて会えていなかったが、昨夜LINEしてひさびさの美術館デートの約束を取り付けた。
彼女とは大阪の高校の美術部で出会い、僕が部長、彼女が副部長だった三年生から付き合い始めた。今年25
王様がきつい王様ゲーム
ある落語家に聞いた話。有名な落語家がイベントに呼ばれていたが、個人的な都合で当日キャンセルしたのだそうだ。しかし後日、興行主に出演料の請求書を送ってきたという。
普通の感覚なら「仕事もしていないのに、なんと非常識な」だろう。その話をしてくれた落語家も「師匠の破天荒エピソード」として披露したのだから、一般人が呆れることを想定していたはずだ。しかし、少しでも興業というものに関わったことがある身として
夢のような日々の一日目
彼女と同じ部屋で住み始めた最初の日は、仕事が終わると一目散に退社した。一本でも早い電車に乗るために、会社から駅までは走った。駅の階段は駆け上がった。電車の中で息を整え、降りた駅から自宅までまた走った。おかげで、まだ日が沈む前にワンルームマンションのドアの前に立っていた。汗びっしょりになっていた。
彼女の顔を一秒でも早く見たかった。というのはもちろんだが、僕を走らせたのは愛情というよりも、「帰った