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マイインスピレーション💛国際コンピテンシーについての話

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どんな能力やスキルがあれば日本の子どもたちがもっと自由に革新的な考えを持って生きていけるか考えるのが目標。
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記事一覧

批判的思考 VS 空気を読む力

批判的思考 VS 空気を読む力

「批判的思考が低い日本の教師に、批判的思考を育む授業はできない」という記事を見たことがある人も多いのではないでしょうか。ニューズウィーク日本版に出ていた以下の記事です。私も同様のことに問題意識を持っていたので、そういう視点を発信している方がおられることに驚きました。

そして、今日またこの記事を二度目に目にしてまたはっとしました。
それはこの箇所↓。

風変わりなことや批判めいたことを言うと嫌われ

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What did you do on the weekend?" に答えられない日本の生徒をどう考えるか

What did you do on the weekend?" に答えられない日本の生徒をどう考えるか

長期休暇や連休後の英会話の授業で良くあるのが、お休み中に何をしたか?というやりとり。

もちろんこれは日常会話では雑談の一種で、コミュニケーションのとっかかりになるようなたわいもないものでもあります。

でも、それが言えない生徒が本当に多い。

そして、私の問題意識は、それは英語の能力の問題だけでないと言うこと。

もちろん文化的な違い(月曜日や休み明けに週末の話や休みに何したかなんてまず話さない

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日本でしか生きられない大人たちを作らないために

日本でしか生きられない大人たちを作らないために

勤務校は中間考査期間になりました。テスト中の専らの仕事はテスト監督!カリカリと鉛筆を動かしながらテストに向かう生徒を眺めていたら、生徒たちの将来を考えずにいられません。

どんな、大人になるのかな。
将来のこと、どう考えているのかな。
どんな職業観を持ってるのかな。

この子たちが将来、自分の人生を選ばないといけない時に、できるだけたくさんの選択肢を用意してあげたいなと思います。
授業では英語を学

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空気を読む力と共に育むべき力

空気を読む力と共に育むべき力

空気を読む力。日本人にはありますよね。

これって、海外の人からしたら超能力でしかないと思うのですが、さすが日本文化はハイコンテクストと言われるだけあって「空気を読む」ということを特別だという意識もないままに日常的にしていています。

私は日本にいると使うエネルギーの量が海外にいる時の3分の1ぐらいだなと思いっています。特に公立の学校現場では勝手がわかると言うのももちろんありますが、ぼーっとしてい

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「自分が何者か」を考える時間を学校でもっと作ろう!

「自分が何者か」を考える時間を学校でもっと作ろう!

アメリカの大学院の授業で「文化」について考える時間が続いています。文化の認識には「他(the other)」の存在が不可欠で、誰に対して説明する必要があるのか、そしてそれはなぜかなど、根本的な言語の定義をする作業です。以下はその作業に連動したメモです。

例えば、私の興味関心であるコンピテンシーの考えは西洋的な考えかもしれませんが、それが日本でなぜ必要かといえば基本的には対外的に必要になる能力だか

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サコさんとともこさん対談〈その1〉

サコさんとともこさん対談〈その1〉

先日、といってももう2か月近く前になってしまったのですが、京都精華大学のウスビ・サコ学長と去る6月16日に対談させて頂きました!
これまで、何度かサコさんのインタビュー記事や映像を拝見して、共感することが多く、またマリ共和国、アフリカ、フランス、中国、京都/日本といった様々な文化圏でのご経験を背景に、とてもクリアな目で日本や世界を見つめておられて、大きな刺激を受けています。
ずっとお話を伺いたいと

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学校現場におけるロールモデルを考える

学校現場におけるロールモデルを考える

皆さんは、職場にロールモデルとなる人物がいますか?
今、「います」と即答できる方は大変ラッキーです。

私は、教員になって初めて「自分の人生にロールモデルがいない時間」を経験しました。教師になる前は学生時代も社会人時代もロールモデルが身近にたくさんいたので、教師になってから「こんな先生になりなたい」という人が身近に見つけられないことは随分とショックでもあり、戸惑いでもありました。

もちろん、尊敬

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イギリスの教育アドバイザー、ケン・ロビンソン卿

イギリスの教育アドバイザー、ケン・ロビンソン卿

今日、イギリス人の教育アドバイザーで有名なSir Ken Robinsonさんの訃報を知りました。以下、彼のご冥福をお祈りすると共に、今後も忘れたくない知識として記録しておきます。

彼は書籍も多数ありますが、日本ではTED Talk 「学校教育は創造性を殺してしまっている」 でご存知の方も多いかもしれません。

私が大好きだったのはこの動画。イラストがついていて、わかりやすくまとめられています。

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「日本人が親切な理由」はアメリカでは教えられない?

「日本人が親切な理由」はアメリカでは教えられない?

アメリカで日本語教師の研修会に出席した時に、これを答えとしてアメリカの生徒に教えるのはNGだと言われました。

以下は「なぜ日本人は親切なのか」という知恵袋のベストアンサーだそうです。

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日本人は困っている外国人を見ると助けます。日本人はとても親切なのです。これは日本の国民性です。日本人は小さな島に住んでおりお互いが平和に過ごさないといけないので、でお互いに親切にしています。その結果、日本

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踊るSTEM /STEAM教育

踊るSTEM /STEAM教育

21世紀型の教育として注目を浴びているのがSTEM(ステム)教育。日本ではまだ認知度は低めですが、民間企業では取り組みも多く、また自治体でも取り組みを始めるところも増えてきています。

STEM(ステム)教育とはScience(科学), Technology(テクノロジー), Engineering(エンジニアリング), Math(数学)のそれぞれの頭文字をとったもので、科学やテクノロジーがさらに

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BOOK REVIEW ❽:21世紀型スキルとは何か〜コンピテンシーに基づく教育改革の国際比較〜

BOOK REVIEW ❽:21世紀型スキルとは何か〜コンピテンシーに基づく教育改革の国際比較〜

国立教育政策研究所の統括研究官をされている松尾智明氏の著書。21世紀コンピテンシーに関する世界的な流れ(PISA/P21/ACT21sなど)と世界各国におけるコンピテンシー教育改革についての国際比較と、日本への示唆が書かれています。

個人的に学ぶことがとても多かった一冊で、再読したいと思いますが、取り敢えずは今の段階で理解した事や、面白かったことをメモしておきます。

取り扱われていたのは以下の

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グローバル人材って、何だ?

グローバル人材って、何だ?

グローバル人材とは具体的にどのような能力のことなのでしょう。みなさんはすぐに答えることができますか?

高校や大学でも学校案内を見れば「グローバル人材の育成を目指す」などと売り文句がよく出ています。特に、海外研修を実施していたり、外国人教師が授業を担当していたり、英語に力を入れている学校ほどそうです。学校現場では、結構軽々しく使われている感があるなと思っています。

文科省の定義は、概ね以下の①〜

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学びの3つのモード

学びの3つのモード

アメリカの学校で勤務して初めて知りましたが、学びにはVAKと呼ばれる3つのモードがあります。

Visual Learner (視覚タイプ)
Auditory Learner(聴覚タイプ)
Kinesthetic Learner(体感タイプ)

それぞれ何を通して学習するのが得意かということで視覚タイプは目で見た方がわかりやすいタイプ。私はこれです。絵や写真などビジュアルエイドがあった方が理解が進

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グロースマインドセットが低くてもPISAで高得点の中国

グロースマインドセットが低くてもPISAで高得点の中国

幻想のPISAで取り上げたカンザス大学のZhao教授が2020年1月のブログで書いていた以下の記事に、Why doesn't growth mindset work for Chinese students?【グロースマインドセットが中国の生徒にはうまくいかないのはなぜか】というタイトルでPISAの批判記事がありました。

結論から言うと中国の生徒の能力の話ではなく、結局はPISAで測れる能力には

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