連載短編

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「奥様は発明家でございます」
 クレール男爵の邸宅の応接間でダベンポートとグラムにお茶を淹れながら、クレール家の執事は自慢げに胸を張った。
「百貨店に並んだ発明品もございます。当家の収入も奥様の発明品によるところが大でして……」

 執事が話したところでは、王国随一の発明家であるクレール男爵夫人の業績は多岐に渡るようだった。
 例えば、今では多くの家庭のキッチンにあるオーブンの輻射熱を反射す

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続きも読んでニャー❤️コメントも待ってるニャー❤️
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「ここだな」
 ダベンポートは一旦馬車を停めると、窓から外の邸宅を眺めた。
 それはセントラルからほど近い、街の郊外に建てられた邸宅だった。
 さほど大きな邸宅ではない。セントラルに近いため、あまり大きな地所は維持が大変なのだろう。
 邸宅は金属とガラスを多用した、超近代的な作りの屋敷だった。まるでクリスタルでできた城のようだ。窓は大きく、外の日差しを多く取り入れる作りになっている。二階建て

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 その日の夕刻、ダベンポートは王立騎士団の中隊長グラムの訪問を受けていた。
 とりあえず書斎に通し、話を聞く。
「で、どうしたんだい?」
 ダベンポートは向かいに座ったグラムに訊ねた。
 ダベンポートの書斎の椅子は身体が分厚いグラムには少々小さそうだ。いつものように何やらもそもそと窮屈そうにしている。
「……もっとデカい椅子はないのか、ダベンポート」
 まだもそもそしながらグラムが文句を言う

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君の顔がみたいから-第8話:お誕生日なんてどうでもいい

 昨日からマミの様子がおかしい。
 昨日の朝はマミが迎えに来なかった。おかげで学校には遅刻したし、なんでか知らないけど母には叱られた。

「雄介、あんたマミちゃんに何をしたの?」
 慌ただしく家を飛び出す僕を送り出しながら母が僕に訊ねる。
「何もしてない」
 本当に何もしていない。していないから正直に申告した。
 ところが、それで叱られた。
「あんた、だからダメなんじゃない? 男の子なんだからもっ

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あたちからスキのお礼❤️飼い主がコメントも下さいって言ってました❤️
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『柚子ひとつ』

そういえば冬至にからめてあの子の話を書いたことがあるなと思い出して発掘したので載せてみるの巻です。これだけじゃ前後関係がわからないとは思うのですが、折角なので……(って、何が折角なんだか!)
*語り手は夜店ですくった(すくわれた)金魚なんです。

                           「レーコさんとアタシ」その17

「いいとか悪いとか、わたしに言わせるのはずるいよ」
 電話でレ

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「美しい」ということば

小学校の時に恩師から国語の授業で、「美しい」という言葉を使わずに美しさを表現しなさいと言う課題を出されたことを今でも覚えている。覚えているだけではない。この小さな課題が、いつの間にか生涯に渡って私の課題となった。なぜかと言えば、それが自分の持ちうるすべての創造性に働きかける作業だと分かったからである。これほどまでにスリリングな挑戦があるだろうか?

その時の授業から今に至るまで、文章を書くときに「

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メルシー!!これからもどうぞよろしく!パリから愛を込めて。
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【短編⑨】言葉は脆く、されど踊る

「で、どうだった?人の心を読んだ感想は」
「もう本当に、最悪だね。本当に碌でもない力だよ」

「その割にはずいぶんすっきりした顔してるわね」
「元々だよ」

「嘘。全部見えてるよ」
「おー、怖い怖い」

 純喫茶のテーブルで他愛もない会話が続く。
 アイスコーヒーは氷が溶ける間もなく消化され、すぐさま2杯目をおかわりした。
 時刻がちょうど14時を指し、壁掛け時計がボーンボーンと古めかしい音を鳴ら

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【短編⑧】言葉は脆く、されど踊る

「ふぅ、疲れた……」

 ガチャリと玄関のノブを引き、真っ暗な部屋の電気をつける。
 片手にぶら下げたコンビニ弁当と発泡酒をテーブルの上に置き、スーツを着替えないまま、ベッドへと寝ころんだ。

 明日で、あの少女と出会って一ヶ月が経つ。
 人の心を読むだなんてすごい能力じゃないかと浮かれていた自分が阿呆のようだ。

 本当に碌でもない。
 私は少しばかり感じていた会社という組織への恩義も、新卒で入

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【短編⑦】言葉は脆く、されど踊る。

「おぉ、売上が伸びたじゃないか」
 加藤部長は自分のデスクに私を呼び出し、売上数字についての報告を聞いていた。

 あの少女と出会ってから、すでに2週間が経っていた。
 少女が言っていた「人の心を読む」というのは、たいそう便利な力で、飛び込み営業においてはほぼ無敵と言っていいほどの力を発揮していた。

 顧客が何を考え、何を欲しているのかが、手に取るように分かってしまう。
 押しどころと引きどころ

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【短編⑥】言葉は脆く、されど踊る。

 足を踏み入れると、そこはまるでレトロな箱庭であった。

 薄暗がりな照明に、クラシックジャズの音色、きらきらと極彩色を反射するステンドグラスのはめ込まれたアンティーク。

 そのどれもが、私の感性を魅了した。

 そんなアートとも呼べる店内を、私は子供のようにキョロキョロと見渡しながら、自分が寛げる席を探した。

 まず目に入ったのは、焦げ茶色の古い木製のカウンターであった。
 余白が残るほどに

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