sakurai

書かなければ明日には忘れてしまうような些細なことを文章にするのが好きです。趣味はピアノ…

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書かなければ明日には忘れてしまうような些細なことを文章にするのが好きです。趣味はピアノの練習。愛猫はソマリ。むかしむかし、リンスはお湯で溶いていた世代です。

マガジン

  • 三十一文字日記

    三十一文字で書けることを、後から薄めて広げてみたり。

  • Sakuraful Stories

    過去に書いたショートストーリー

最近の記事

ほっとした(300字未満日記)

場所見知りっていうの? 初めての所に行くのは緊張する。その施設の人がどんな人か、どんな人たちが集まるのか、果たして私は期待通りの先生役ができるのか。 行きの電車の中、頭の中ではずっとシミュレーション。行き慣れた教室ならそんなことはないけど、「最初」は説明も多い。 でも、行ってみればどうということもなく、明るい施設に親切な職員、何をやるんだろうと好奇心満々の参加者さんが待っていて、同じ区内の馴染みの生徒さんもふたり来てくれて心強く、あっという間に教室は終わった。 そして私

    • 安心安全鑑賞(3行日記)

      いい人ばかり出てくる映画(配信)を観た。主人公(女)の産みの母はもう亡くなっているけれど、父親は3人もいて、みんな大人な「いい人」たちだ。 彼女は素直に育ち、意地悪な同級生もすぐに考えを改め仲の良い友達になるし、唯一ハチャメチャだった育ての母には、ハチャメチャになるだけの納得できる理由があった。 そして、ラストは初恋の人との結婚式。ブラボー! である。

      • 笑顔で笑顔

        バスの一番前の席に座るのが好きだ。そこだけ他より高くなっていて、子どもは一人で座らせないで下さいとか、危ないので深く腰掛けて、とか書いてある。 よいしょと勢いをつけてそこに座る。この席に上ったり下りたりがスムーズに出来る間は、まだまだ老化していないよなと思う。 すぐに降りるので、降りやすいように一番前に座る(本当は立っていてもいい)のだが、今日は後から乗って来た人が、ぴったりと横に立った。私より年配のご婦人で、体温が感じられるほど近い。 降りる停留所が来たら、声をかけて

        • 夜店の賑わい15分散歩

          今日も冷え冷えの事務所を出て、汗ひとつかかずに帰宅した。 が、その後の体調が悪く、昼寝をするにも足がだるくてたまらなかった。 夕方、かすかに聞こえたお囃子の笛の音に外を見ると、道路の隅をぞろぞろと御輿が通っていた。もわーっと、紗がかかったような景色だ。まだまだ暑いんだろう。 神社はすぐ近くにあるのだが、地元民ではないせいか、あまり馴染めず足は向かない。なんとなく遠い世界のお祭りだ。 …と思っていたら、勤めから帰ってきた娘が、お祭りだからちょっと散歩に行こうという。夕食

        ほっとした(300字未満日記)

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        • 三十一文字日記
          33本
        • Sakuraful Stories
          15本

        記事

          見たことない数字(3行日記)

          ピアノのレッスンに行く為に外に出て車に乗るまで、ほんの僅かな間でも耐え難い暑さだった。 車に乗って外の気温を見たら38度と表示されていて、さもありなんと思う。天気予報を見ていても、今まで見たことのないような数字が並ぶのが怖い。 暫く前に読んだSFでは、ある理由から地球がどんどん冷えていってしまうのだが、それまでの温暖化のおかげで人類の生存期間がいくらか長く保たれる…という皮肉な設定になっていたのを思い出した。

          見たことない数字(3行日記)

          静かな夏(3行日記)

          夏が静かだ。窓を閉め切っているから、蝉の声だって遠い。 夏休みになるといつも煩いなーと思っていた近所の学校の部活動の声もない。猛暑で活動休止のようだし、楽器の音も、互いに窓を閉め切っていれば聞こえない。プールも汚れたまま、使う様子はない。 静かすぎてふと、自分以外に世の中にはだーれも人が居ないんじゃないかと、想像してほんの少しだけ寒くなってみる。

          静かな夏(3行日記)

          おへそ(3行日記)

          空が光り、ゴロゴロと雷が鳴る。そんなに激しくはないけれど、いつまでもゴロゴロゴロゴロ… 一人で泊まりに来ている息子の子(4歳)が、「雷様におへそを取られるよ」と娘から言われ、片時もお腹からクッションを離さない。 ああ、懐かしいな、そういうの。いつの間にか、信じちゃくれなくなるんだ。

          おへそ(3行日記)

          もう週末か(3行日記)

          週末はあまり楽しみではない。それが終わればまた月曜日だし…って思う。 そういうのは、「今」を生きていない証拠なんだってね。今、目の前のことを全力で楽しんだ方がいい? ああ、楽しみ楽しみ! 今から朝まで眠れるの楽しみー! どんな夢みるんだろう、わくわくしちゃうー!

          もう週末か(3行日記)

          お気をつけください

          連休明けの日、駅の構内は人の流れが激しく、走る人も多かった。繰り返し繰り返し、「歩きながらのスマホは危険です」「思わぬケガの原因になります」とアナウンスが流れていた。でも誰も、特にスマホに夢中な人は誰も、聞いていないんだろう。 電車に駆け込み乗車をする人があると、「駆け込み乗車は危険です云々」の車内放送がこれ見よがしに流れるけれど、あれ、駆け込み乗車した当人はどんな気持ちで聞くんだろう。「いや、いつもやってるわけじゃないんですよ、今日はたまたま、どうしてもこの電車に乗らなき

          お気をつけください

          タワー

          外国人が立ち止まってスマホを構えている方向を見たら、真っ直ぐな道のずっと先の突き当たりに、ニョキっとスカイツリーが見えていた。 あれがあのまま道を塞ぐようにこちらに向かって倒れて来たら、どの辺まで届くんだろう。634メートルだっけ、流石にここまでは届かないか。 実際にそんなことがあったら大惨事だが、脳内のスカイツリーは積み木のように、上手に真っ直ぐコテンと道に倒れてくる。倒れて来そうに思える。コテーーン、かな。 同じタワーでも、東京タワーは倒れそうにない。怪獣にへし折ら

          タワー

          登れない梯子(300字未満日記)

          お仕事中、「昔はね、孟宗竹で梯子こしゃえたもんでよ。」という文章(ルビが振ってあった)を入力したら、「昔はね、妄想だけで梯子こしゃえたもんでよ。」になり、ふつふつと静かに可笑しさが込み上げたので、こっそりと「孟宗竹」シリーズを考えた。 「妄想だけの竹の子」とか「妄想だけの返礼品」とか「妄想だけの器」とか…? ふむ、なんだか最初の面白みが減ってくるばかりだ。 そこで、もっと破壊的な妄想(孟宗竹製品)はないものか! と、検索窓に「孟宗竹」と入れてみたら、 ああ、はいはい、モ

          登れない梯子(300字未満日記)

          過去の自分よ忘れてごめん

          昔ブログに書いていた記事はどこに隠したんだっけと、PCの中やネット上を探してみたが見つからない。でもまあ、無いなら無いでいいか、残しておいたって仕方がないのだ。 ……と、諦めてスッキリした時に見つかるのが探し物の常というものでありまして、折角なのでそれらをちらちらっと読んでいたら、こんな日記があった。 ーーー2013/07/31 23:14:00  レッスン中の何かの話から転がり転がって先生が、「結局ね、弾いているのが楽しそうに見えるのが一番だと思うんですよ」と言った。「

          過去の自分よ忘れてごめん

          運を動かす

          昨日のUber、今日の昼頃に見たらまだ受付カウンターの上にあった。これはもう、誤配確定でしょうか。 それはともかく、気づけばわたくし、木曜日から4日間、ずっとほとんど家に居るのである。夕方になって急に危機感を覚えたので、YouTubeにある「室内散歩」などを参考に、身体を動かしてみた。 猫の視線は気になるが、今日は家にひとりなので気兼ねとか恥ずかしさはない。音楽に合わせて10分間とか、連続で動いて汗をかくのは気持ちがよかった。何より、ちょっとした疲労感が、ぐうたらの罪悪感

          運を動かす

          お気配

          午前10時過ぎだったかな、娘を車で送るためにマンションのエントランスを通ったら、オートロックの真下に中身の入ったスーパーの中くらいのプラスチックバッグが置いてあった。床に、直に。 帰って来た時もそれはあって、見ると、Uberの長いレシートが貼り付けてある。ということは、置き配? ここに?よくは見なかったけれど、カップ麺のようなものが入っているようだった。 配達を頼んだ人は配達されることを知っているはずだから、そのうち取りに来るんだろうな、くらいに思って、私はそのことをすっ

          お気配

          どこかにあるはずの(3行日記)

          かつて、私は心の中に誰にも知られない泉を隠し持っていた。言葉やお話はそこから、こんこんと生まれていた。 もう枯れちゃったのかな。それとも、放ったらかしの草ぼうぼうで、見つからなくなっただけなのかな。 草をかき分けて探し回れば見晴らしのいい場所に出るけれど、夢はそこで終わる。

          どこかにあるはずの(3行日記)

          昨日、この夏初めて蝉の声を聞いた。ああ、夏なんだなーと思うのも今だけで、じきに蝉の声は当たり前のBGMになり、そしてある日、ぱたっとその声がしなくなっていることに気づくんだ。……ってなことを毎年書いている気がする。近くの中学のプールはまだ汚いままだ。

          昨日、この夏初めて蝉の声を聞いた。ああ、夏なんだなーと思うのも今だけで、じきに蝉の声は当たり前のBGMになり、そしてある日、ぱたっとその声がしなくなっていることに気づくんだ。……ってなことを毎年書いている気がする。近くの中学のプールはまだ汚いままだ。