おのしゅんすけ

はじめまして。こんにちは。今はお休みです。

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マガジン

  • おのしゅんすけの知恵の輪

    火曜土曜更新のブログです。自分の勉強のために綴っています。ぜひ。

  • おのしゅんすけの小さな世界

    木曜更新短編小説(一話完結)のまとめです。楽曲を元に小説化することが多いです。ぜひ。

  • 貴方の小説に合う珈琲を

    代々マスターの趣味に彩られた町外れの変わった喫茶店。小説と珈琲好きのマスターがここを訪れる読書家達をこだわりの珈琲でもてなす。さて、今日も1冊の小説を抱えたお客様がやって来ました。今日はどんな小説に出会えるのでしょうか。 不定期連載短編でおのしゅんすけが読んだ小説を紹介するマガジンです。

  • 生存報告日記(2022年7月1日より)

    船乗りの卵が練習船での日々の成長を赤裸々に綴った…と言えば聞こえが良いですが、要は実習であったあれやこれやをヌルッとサクッとまとめたものです。 電波状況次第では穴を開けたり、精神状態次第ではサボったり… 暇つぶし程度に、ぜひ。

  • 生存報告日記(2022.4より)

    航海士を目指す大学生が2022年4月からの実習のあれこれを綴る日記です。サボったりやる気を無くしたりしながら日々を生きています。ぜひ。 (4/5〜4/14は実習が中断していたので日記はありません)

最近の記事

4杯目 リバース

代々マスターの趣味に彩られた町外れの変わった喫茶店。小説と珈琲好きのマスターがここを訪れる読書家達をこだわりの珈琲でもてなす。さて、今日も1冊の小説を抱えたお客様がやって来ました。今日はどんな小説に出会えるのでしょうか。 ーーーーーー からん、からん…… いらっしゃい。お好きな席へどうぞ。 今日はどんな小説を? 「『リバース』って、ご存じですか?湊かなえ先生の」 えぇ、もちろん。作中に出てくるコーヒーでもご用意致しましょう。 ーー いかがでしたか? 「ちょっ

    • 3杯目 ペスト

      代々マスターの趣味に彩られた町外れの変わった喫茶店。小説と珈琲好きのマスターがここを訪れる読書家達をこだわりの珈琲でもてなす。さて、今日も1冊の小説を抱えたお客様がやって来ました。今日はどんな小説に出会えるのでしょうか。 ーーーーーー からん、からん…… いらっしゃい。お好きな席へどうぞ。 今日はどんな小説を? 「今日は『ペスト』でも読んでみようかと」 少し話題になった小説ですね。ごゆっくり。 ーー いかがでしたか? 「難しい話ですよ。読みにくい」 洋書は

      • 地獄の人事異動

        「災難だったな。地獄の中の地獄で有名だぞ、あの部署」 仲のいい同期が肩を叩きながら慰めてくれた。 「作業量がべらぼうに多いって噂だぜ。大丈夫なのか」 「大丈夫じゃねぇよ。でも仕方ない。俺が悪いんだ」 そう言って大きめのお猪口を煽る。 「ほんと。上のやつも責任取ればいいのにな」 「そうだけど。ちゃんと規定の人数を誘導しなかった俺が悪いんだ」 「まぁお前の仕事は単調だったもんな」 そう言って同僚は高らかに笑った。俺も一緒になって笑った。 その翌日。 「本日から

        • なんてことない朝

          「いってきます!」 彼は元気よく家を飛び出した。今日も今日とてなんてことない朝…… ……なんてことはない。 今日は月曜日。それもただの月曜日ではなかった。2月15日。そう、バレンタインの翌日である。 世の男子高校生はウキウキソワソワ、しかしその面持ちは平然を装っていた。彼、この話の主人公ももれなくそうであった。 いつもの通学電車。いつもと同じ時間、いつもと同じ扉から彼が乗り込んだ駅の2駅後に乗り込んで来た女子高生が少し狭い車内を押し分けて彼の元へ。 『あの、これ。

        4杯目 リバース

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          68本
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          5本
        • 生存報告日記(2022年7月1日より)
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        記事

          シン・始皇帝

          シン・始皇帝。そう呼ばれる英雄が数百年前にいたとかいなかったとか。そんな伝説がぼんやりと年寄りの間で口伝えに受け継がれていた頃の話。 シン、と表記しているのはどんな漢字なのか誰もわからないからだ。新時代の幕開けとして『新』という説。真の皇帝という意味で『真』という説。神に最も近づいたということで『神』という説。 そして最も有力なのが、かつて治めていた時代のこの地の名前を取って『秦』という説。 まぁともかくその皇帝が何故今さらになって話題になったかというとその皇帝の莫大な

          シン・始皇帝

          タイトル見つからず

          椅子に座って早20分がたっただろうか。 何かをふと思い立って机に向かってペンをとったのだが、座ったころには何を思い立ったか忘れてしまった。 椅子に座ってからは思い立ったことを思い出すというけったいな作業をかれこれ続けている。 そもそも思い立った事って考えついたものじゃないんだから、思い出そうにも脳みそのどこの引き出しに入っているか分からない。 見失ったリモコンを「どこかで見た気がする」とリビングを探し回る、そんな感じだ。 何を書こうと思ったのか、それすらも思い出せな

          タイトル見つからず

          寒さ

          寒さ、と一言で言っても様々な寒さがあると私は思っている。 私には好きな寒さがある。『寂しい寒さ』だ。 休日明けの月曜日。鉄筋コンクリートのオフィスに朝早くに1人、もしあなたが学生なら講義室でもいい、部屋の奥の窓際の席に腰掛ける。 エアコンの唸り声は聞こえるが、雪男の腹の中に入ったかのように冷たく重たい空気が少しずつ自分の体に染み込んでいく。 手の親指の付け根辺りが少しずつ薄く紫色になり始め、ものを書いたりパソコンを叩いたりするのが難しくなってくる。 気づけば肩に変な

          危なっかしい計画

          大都会。そこで暮らす若者たちが集まる渋谷の中心は日本中の喧騒が集められたのかと思うほどに騒がしい。 そのノイズに飲まれないように声を張り上げ、でも軽い口先から吐き出される声が聞こえてきた。 「ねぇ。お姉さん、いま暇?」 私は眼鏡越しにその気持ち悪い髪型をした男を睨みつけた。 「……忙しいですけど?」 「えぇ?そんなこと言わないでさ、こんな時間にこんなところにいるなんて暇でしょ?」 「ごめんなさい。急ぐんで」 それからもしつこく声をかけてきたがしばらくすると諦めた

          危なっかしい計画

          あの日僕は咄嗟に嘘をついた

          パシャッ…… 僕は何も無い青空をフェンダー越しに覗いた。 僕はいつからか、景色だけをカメラに収めるようになっていた。その写真は枚数だけが溜まっても画角は何ひとつ変わっていない。 その理由はわかっていた。写したい「被写体」が無くなってしまったからだ。 僕がファインダーを覗くようになったのは大学1年生の夏休み前。大学の中庭のベンチに腰掛ける彼女を思わずスマホのカメラに収めたあの日だった。 カシャッ…… 「え?」 「あ、ごめんなさい。すぐ消します」 「ううん。どうし

          あの日僕は咄嗟に嘘をついた

          風が吹けば桶屋が儲かる2020

          風が吹いた。 カタカタッ…… 散歩に出ようと思い立ち、その支度をしている男の部屋の窓が風によって音を立てた。 「随分と強い風だな」 男は窓際に立ち、外を見た。 道路には落ち葉が舞い、風が運んできた砂が飛び交っていた。 「……眼鏡にするか」 男は普段使わない眼鏡を探してあちらこちらの引き出しを開けてはひっくり返した。 「どこにしまったかな。ここかな?」 普段あまり開けない引き出しを開けると、そこに埃を被った眼鏡ケースがあった。それを持ち上げると皺のついた紙切れ

          風が吹けば桶屋が儲かる2020

          2杯目 ニホンブンレツ

          代々マスターの趣味に彩られた町外れの変わった喫茶店。小説と珈琲好きのマスターがここを訪れる読書家達をこだわりの珈琲でもてなす。さて、今日も1冊の小説を抱えたお客様がやって来ました。今日はどんな小説に出会えるのでしょうか。 ーーーーーー からん、からん…… いらっしゃい。お好きな席へどうぞ。 今日はどんな小説を? 「今日は『ニホンブンレツ』を」 懐かしいですね。最近、文庫化されたようで。ごゆっくり。 ーー いかがでした? 「少し、辛いですね」 山田悠介先生の

          2杯目 ニホンブンレツ

          音楽室に片思い

          キュッ……キュキュッ…… リノリウムの床と上履きの擦れる音が人が少なくなった廊下に響いている。 僕は答え合わせをしていた赤ペンを置いて立ち上がり廊下に出た。 グラウンドからはまだ部活動に励む生徒のかけ声が聞こえてくる廊下を僕は奥へ奥へと歩いた。 廊下の角を曲がり、夕陽が差し込まない肌寒い廊下を抜けて渡り廊下に出ると音が聞こえ始めた。 ピアノの音だ。 いつもこの時間になると音楽室のピアノが響き始める。 僕は壁にもたれかかって目を閉じた。僕はこの時間を誰にも取られた

          音楽室に片思い

          結局、じゃあねしか言えない

          1枚の枯葉が風に押されて冷たいアスファルトの上を滑っていく。笑う君の顔がぼんやりと霞み始めた。 「わ、もう真っ暗だ」 「ほんとだ。寒くなって来たし、帰ろうか」 「そうだね。じゃあまた明日ね」 「うん、じゃあね」 僕と彼女はそれぞれ反対方向に歩き出した。 僕はすぐに足を止めて振り返った。金木犀の木がある曲がり角。そこに自転車の君が消えていくまで見送った。 暗くなった夕暮れの空を見上げて僕は小さく息を吐いた。そして、自転車に跨ってペダルを踏んだ。 ーーー 「なぁ

          結局、じゃあねしか言えない

          もう森へ帰ろうか?

          ザッ…… 僕は暗い路地裏から大通りを覗いた。そこには溢れんばかりの人が行き交っていた。 僕が育った故郷ではこんな噂があった。 『トウキョウに行けば何でもある。あの地こそ我々のユートピアだ』 僕らは小さい頃からその噂を信じて育った。そして、オトナの仲間入りをした頃に僕はこの街に出てきた。 しかし、それは風の噂による洗脳で僕が想像していた世界は蜃気楼のように存在しないものだった。 確かにこの街では美味しいご飯もあれば故郷よりも快適な寝床もあった。 しかし、この街に暮

          もう森へ帰ろうか?

          I'm out

          ギギッ… 手にくい込むほど強く握ったフェンスは錆だらけで今にも切れてしまいそうだった。 下から煽るように強い風が吹き上げて、フェンスにぶら下がった看板がガンガンと音を立てる。 フェンス越しに見える街にはこの建物の影が伸びていく。ここからの景色はあの頃見てた景色とすごく似てて懐かしく思えた。 俺は噛んでたガムをフェンスに貼り付けるとそのすぐ横に左足をかけた。 「おい!落ち着けって!」 後ろでチームメイト達が騒いでいる。 「……知るか」 俺は吐き捨てるように言って

          ブレスレットと恋人繋ぎ

          さっきまで手に持っていた箸を置いて代わりにジョッキを握るようになった頃。僕は居酒屋の喧騒の中でさくらの横に座っていた。 さくらは桃色の口角を上げて僕に話しかけた。 「ねぇ、いぶき。耳貸して?」 「なんだよ」 僕が差し出した左耳をさくらは甘噛みした。 「っ!なんだよ、急に」 「へへ、びっくりした?耳、噛まれると気持ちい?」 「気持ちいいも何も。びっくりしたよ」 「ごめんごめん、冗談。もっかい貸して?」 僕はさっき噛まれた所を少しさすって、また恐る恐る耳を貸した

          ブレスレットと恋人繋ぎ