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展示の解説をします。入館料無料。

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  • 東西断片収集

    6月10日~12日に文翔館ギャラリー7で開催する「東西断片収集展」の解説です。

記事一覧

「東西断片収集」展終わりました

「東西断片収集」展、無事終えることが出来ました。沢山の方々にお世話になりました。本当にありがとうございました。 企画は2月から始まりました。通常は最低でも半年は…

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2日前
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展覧会が始まりました

「東西断片収集」展が文翔館ルーム7で始まりました。 午前中は展示作業を初見の展示室でバタバタしながら行いました。すっかり忘れていたのですが、展示作業は体力を使いま…

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4日前
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或る少女の断片収集

先日、骨董市に行きブラブラ店を見ていると軍事郵便の手紙と一緒に大量の雑誌の切り抜きが並んでいました。手に取った瞬間、これはいいぞと思いました。切り抜きは戦前の少…

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11日前
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展示の開催場所は文翔館

展示を開催する文翔館をご紹介します。現在の文翔館は大正15年に県庁舎として建設されました。昭和50年に県庁が移転するまでの約60年間県庁舎として使われました。国指定重…

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2週間前
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展示のチラシとポスターを作りました。

文翔館の担当者さんからA4とA3のポスターを作ってきてください。とのことだったので作ってみました。 A3の大きさでと指定はされましたが、縦なのか横なのかわからなかった…

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2週間前

展覧会のお知らせ

展覧会の場所と日時が決まりました。場所は「山形県郷土館 文翔館」のギャラリー7で、日時は2024年6月10日から6月12日です。 建物は大正2年に建てられた山形…

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3週間前
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断片結婚式

『Le Japon』の挿絵と「結神末松山」のどちらにも結婚式の絵があるのを見つけましたので外国人が見て描いた日本の結婚式と日本人が描いた結婚式の絵を比較してみたいと思い…

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1か月前
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謎の断片

まずはこちらをご覧ください。 初めて見た時、謎の記号といいますか暗号のようなものが書かれていて大変興味をそそられました。SNSで「これはなんでしょう」と呟きました…

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1か月前

モダンの断片

商店の販促用の団扇に描かれているのは3人の美女とラジオです。 日本でのラジオ放送の始まりは、大正14年です。当時の最新のモダンアイテムに着物を着た女性がポーズを取…

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1か月前
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断片の鳥類学

植物画をご覧いただきましたので、鳥類の絵もご覧ください。 本資料はドイツ語で書かれていますので、ドイツ製で間違いないと思います。上部に書かれているのは「在来の鳴…

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1か月前
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断片の植物学

昨年、朝ドラの「らんまん」を大変興味深く観ていました。「日本の植物学の父」牧野富太郎がモデルでした。私も植物が好きなので、集める断片に植物画を加えたいと常々思っ…

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1か月前
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聖なる断片

ラテン語で書かれた聖書の一片です。ラテン語の教養が無いので、断片的にわかる部分を解読しますと“Evangelium Secundum Lucam(ルカによる福音書)“と書かれている箇所…

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1か月前
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断頭台の女王

   16世紀のスコットランド女王メアリー・スチュアートの肖像画です。エリザベスⅠ世の王位を脅かす存在として捕らえられ、19年間の幽閉の後に1587年に処刑され…

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1か月前

遺作の断片

 「東海道中膝栗毛」で有名な十 返舎一九作の本の表紙です。上下巻合わせると一枚の絵になります。本資料は序文に「十返舎一九遺稿」とあり、一九の死後に出版された作品…

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1か月前
3

日本の発見3

『Le Japon』の挿絵の続きです。  なんだか立派な葬式の様子です。奥に武士がいて、6人の僧侶が楽器を奏でています。ヴィルタールが空想で描いたのではないかと思ってい…

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1か月前

日本の発見2

『Le Japon』の挿絵の続きです。 明治5年、国民の初等教育の充実を第一の急務と考えていた政府は学制を発布し、学校教育が始まりました。学制はフランスの制度をモデルと…

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1か月前
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「東西断片収集」展終わりました

「東西断片収集」展終わりました

「東西断片収集」展、無事終えることが出来ました。沢山の方々にお世話になりました。本当にありがとうございました。

企画は2月から始まりました。通常は最低でも半年はいろいろ調べてたり、展示構成を考えたりしますが、今回は4ヶ月という急ピッチで展示を作りました。初めての場所での展示でしたので、どのくらいの資料を展示すればいいのかわからず手探りでの作業でしたが、なんとか形にできました。文翔館は観光目的のお

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展覧会が始まりました

展覧会が始まりました

「東西断片収集」展が文翔館ルーム7で始まりました。
午前中は展示作業を初見の展示室でバタバタしながら行いました。すっかり忘れていたのですが、展示作業は体力を使います。

作業中、お客さんが来てチラッと覗かれていきましたが結構好評でした。
午後から展覧会が始まり、さすが文翔館。観光客がついでに覗いていっていただけます。
外国の方もチラホラ入室していただきました。オーストラリアからのお客さんは熱心に展

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或る少女の断片収集

或る少女の断片収集

先日、骨董市に行きブラブラ店を見ていると軍事郵便の手紙と一緒に大量の雑誌の切り抜きが並んでいました。手に取った瞬間、これはいいぞと思いました。切り抜きは戦前の少女雑誌の切り抜きだったからです。

切り抜きには1922年と記述があるものもあり、販売していた店主に話を聞くと同じ場所で仕入れたとのことだったので、年代はその頃と見て間違いありません。1922年は大正11年です。一括で買うことに意味がありま

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展示の開催場所は文翔館

展示の開催場所は文翔館

展示を開催する文翔館をご紹介します。現在の文翔館は大正15年に県庁舎として建設されました。昭和50年に県庁が移転するまでの約60年間県庁舎として使われました。国指定重要文化財です。今回は内部の様子をご紹介します。

このステンドグラスが特にお気に入りです。ステンドグラスは当時のものをクリーニングしてそのまま使っているそうです。建物は「英国近世復興様式」です。

そしてなんといっても時計塔が素敵です

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展示のチラシとポスターを作りました。

展示のチラシとポスターを作りました。

文翔館の担当者さんからA4とA3のポスターを作ってきてください。とのことだったので作ってみました。

A3の大きさでと指定はされましたが、縦なのか横なのかわからなかったので、横向きのポスターで作ってしまった・・・。ちなみに左の英語のタイトルは以前、インスタグラムでフォロワーのイタリア人にいただいたコメントをそのまま使わせてもらいました。「歴史の小さな断片」なかなか素敵な言葉だと思います。

こちら

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展覧会のお知らせ

展覧会のお知らせ

展覧会の場所と日時が決まりました。場所は「山形県郷土館 文翔館」のギャラリー7で、日時は2024年6月10日から6月12日です。
建物は大正2年に建てられた山形県旧県庁舎で国の重要文化財でもあります。憧れの文翔館で展示ができることに大変嬉しく思っています。

私はこの建物の時計塔が気に入っていて何度も訪れています。ギャラリー7は小さな部屋ですが、展示点数が18点ですのでちょうどいいかなと思っていま

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断片結婚式

断片結婚式

『Le Japon』の挿絵と「結神末松山」のどちらにも結婚式の絵があるのを見つけましたので外国人が見て描いた日本の結婚式と日本人が描いた結婚式の絵を比較してみたいと思います。

まずは「結神末松山」より。武士の祝言の様子だと思います。昔の結婚にはいろいろ決まりがあって、花嫁と花婿の座る位置も決まっていました。向かって左が花嫁で右が花婿でした。この絵でもそうですね。では、『Le Japon』を見てみ

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謎の断片

謎の断片

まずはこちらをご覧ください。

初めて見た時、謎の記号といいますか暗号のようなものが書かれていて大変興味をそそられました。SNSで「これはなんでしょう」と呟きましたら「速記記号の表ではないかと回答をいただきました。速記・・・速記とは何でしょう。

速記とは人の口から出た言葉を文字に変換する技術だそうです。話言葉をより早く正確に記録することを目的に開発されました。
日本で速記術が発明されたのは明治1

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モダンの断片

モダンの断片

商店の販促用の団扇に描かれているのは3人の美女とラジオです。
日本でのラジオ放送の始まりは、大正14年です。当時の最新のモダンアイテムに着物を着た女性がポーズを取るというなかなか面白い構図です。
ラジオは真空管ラジオだと思います。スピーカーを鳴らせる真空管式ラジオはセット自体が高価なものでした。つまり、この女性達は裕福な家のお嬢様ではないでしょうか。

ラジオの普及は人々の生活に大きな影響を及ぼし

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断片の鳥類学

断片の鳥類学

植物画をご覧いただきましたので、鳥類の絵もご覧ください。

本資料はドイツ語で書かれていますので、ドイツ製で間違いないと思います。上部に書かれているのは「在来の鳴き鳥」ドイツにいる鳴き鳥でしょうか。時代は植物画と同じ時代だと思います。

鳥類学の世界で最も古く歴史のある学会はイギリス鳥学会で1858年に設立されました。鳥類学の学術誌でもっとも古いものは、ドイツ鳥学会誌で創刊が1853年です。植物画

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断片の植物学

断片の植物学

昨年、朝ドラの「らんまん」を大変興味深く観ていました。「日本の植物学の父」牧野富太郎がモデルでした。私も植物が好きなので、集める断片に植物画を加えたいと常々思っていました。

 ヨーロッパでの初期の植物画は薬草類探し求める人々を助ける目的で制作されました。修道院に付属する庭に植えられていた植物も専ら薬草が中心でした。そのため毒草と間違えないよう写実性が求められました。

 17世紀になると植物画家

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聖なる断片

聖なる断片

ラテン語で書かれた聖書の一片です。ラテン語の教養が無いので、断片的にわかる部分を解読しますと“Evangelium Secundum Lucam(ルカによる福音書)“と書かれている箇所がありました。

上部には“Festa Augusta(8月の祭り)”とあり、キリスト教の祭りに関することが書かれてあるのかもしれません。

別の箇所を見ると8月6日の「主イエスの変容」について書かれてあったり、詩篇

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断頭台の女王

断頭台の女王

 

 16世紀のスコットランド女王メアリー・スチュアートの肖像画です。エリザベスⅠ世の王位を脅かす存在として捕らえられ、19年間の幽閉の後に1587年に処刑された「断頭台の女王」。
 絵を見ていただくとわかりますが大変美しい女性でした。身のこなしも優雅でファッショナブル。その劇的な生涯から亡くなった直後から多くの人々の関心を呼び、特に19世紀の劇作品から音楽まで彼女をテーマとした作品が次々と作ら

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遺作の断片

遺作の断片

 「東海道中膝栗毛」で有名な十 返舎一九作の本の表紙です。上下巻合わせると一枚の絵になります。本資料は序文に「十返舎一九遺稿」とあり、一九の死後に出版された作品で、現段階では、一九最後の作品といわれています。

 この作品は近江国(滋賀県)の櫻谷(さくらだに)藩の真野兵太郎(時連)が宝剣を手に入れてから、自分の才能に慢心してしまい、邪道に落ちて、最期には非命の死を遂げる様子を描いています。

 絵

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日本の発見3

日本の発見3

『Le Japon』の挿絵の続きです。

 なんだか立派な葬式の様子です。奥に武士がいて、6人の僧侶が楽器を奏でています。ヴィルタールが空想で描いたのではないかと思っていましたが、いやいや違いました。国立国会図書館のデジタルコレクションに徳川将軍葬儀図という資料を見ることができます。そこに描かれている将軍の棺が本資料に描かれているものと酷似していました。ということは将軍や藩主クラスの人物のお葬式の

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日本の発見2

日本の発見2

『Le Japon』の挿絵の続きです。

明治5年、国民の初等教育の充実を第一の急務と考えていた政府は学制を発布し、学校教育が始まりました。学制はフランスの制度をモデルとし、各学区を作り各学区に小学校を1校設立することに決めました。

筆者の住む山形県を例に挙げてみますと学制が発布する1年前の明治4年に米沢県庁より「学制改革の達」が出されます。どういった内容かというと士族の師弟のみを対象としていた

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