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現在は青森県在住の、樹木がとにかく大好きな18歳です。樹木の魅力を一人でも多くの方に知…

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現在は青森県在住の、樹木がとにかく大好きな18歳です。樹木の魅力を一人でも多くの方に知ってもらうために、noteをはじめました。 樹木の面白さ、楽しさに多くの人に気づいてもらうことで、「環境問題は、自分問題」という意識を広めたい、というのがぼくの最終的な目標です。

マガジン

  • 20歳樹木オタクの、ひとり演習林

    • 21本

    執筆者 三浦夕昇 樹木がとにかく好きな20歳。 日本の樹木や、森のことを、写真と共にゆる〜く解説。森の中を散歩するような気持ちで、お気軽にお立ち寄りください。個性豊かな樹木達が、いつでも優しくおもてなしいたします。

記事一覧

北島の巨大温帯林をめぐる その⑤ 〜樹がデカいことの意味〜

その④から続く 樹がデカいということ ニュージーランドの針広混交林(Podocarpus and Broadleaf Forest)は、地球上で最も樹木が巨大化する土地のひとつ。一面がコケやシ…

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3週間前
40

北島の温帯雨林を巡る その④  〜霧に抱かれた巨木の聖域〜

Rainforest Route ロトルアからフイアラウ山脈へと向かう国道の愛称は、「Rainforest Route」。ニュージーランド国内では珍しい、森をテーマにした観光案内。北島で一番森…

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1か月前
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北島の温帯雨林を巡る その③〜ニュージーランドは本当に自然が豊かな国なのか?〜

その②から続く なんでもない雑木林を保護する理由 ……しかし、自然保護区に行っても二次林しか見られない、というのはチョット衝撃です。 そもそも日本の感覚だと、「…

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1か月前
45

北島の巨大温帯林を巡る その②〜人類初到達当時のニュージーランドの景色は、現存するのか?〜

その①から続く その①で述べた通り、ニュージーランドの気候の一番の特徴は、「年間を通して気温が大きく変動しない」点であるといえます。 そういった気候は、畜産に最…

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2か月前
36

北島の巨大温帯林を巡る その① 〜人類が出会った最後の陸地は、深い森で覆われていた〜

忙しくて、ここ1年ほど新規投稿ができていませんでしたが、最近ニュージーランドの森の記事を再び書き始めました。長らくご無沙汰でしたが、お読みいただけると幸いです(…

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2か月前
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ニュージーランドでブナ林を探そう その④  〜地図は森がつくる〜

その③から続く 翌朝、ダニエルさんの妹さんが「お昼ご飯にこれを持っていきなさい」と、トーストを持たせてくれました。うう、本当にお世話になりっぱなしだあ…。 札幌…

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11か月前
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ニュージーランドでブナ林を探そう その③ 〜”底のない湖”を抱く森〜

その②から続く 家に招き入れてくださった男性は、ダニエルさんというお名前で、純粋なマオリ人でした。 その家は、ダニエルさんの妹さんのお宅で、ダニエルさんはその日…

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1年前
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ニュージーランドでブナ林を探そう その② 〜彷徨いの夜〜

その①から続く ニュージーランドの国道の制限速度は時速100km。日本の下道とは比べ物にならないスピードで巡航できるので、あっという間に距離が稼げます。 そんなこ…

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1年前
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ニュージーランドでブナ林を探そう その① 〜NZでの森巡りは、難しい!〜

ニュージーランドの森巡り一発目のレポートです。 僕の学校では、4月中旬に2週間の長期休暇が設けられています。2週間もあったら、どっかの国立公園でたっぷり遊んでこ…

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1年前
98

ご報告  ニュージーランドに引っ越しました 〜一生樹と付き合うために〜

こんにちは。このnoteアカウント「harunire0321」を運営している、三浦夕昇(みうら ゆうひ)です。いつもマニアックな記事にお付き合いいただき、本当にありがとうござい…

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1年前
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フォレストリップ‼︎  日本全国、いちおしの森を集めました Part④

以前公開した「フォレストリップ‼︎」の記事が好評だったので、今回はその第2弾を書かせていただきました。 まず最初に、この記事でご紹介している森歩きスポットの”選…

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1年前
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木陰は、インフラである 〜夏の樹木たちが贈る、無償のギフト〜

ひこにゃんとお城で有名な滋賀県彦根市の市街地には、「芹川(せりかわ)」という川が流れています。 芹川は、鈴鹿山脈を源とし、滋賀県東部の平野を縦断して琵琶湖へと注…

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1年前
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森のみち・木曽路 〜二輪で駆ける、世界有数の温帯針葉樹林〜 その③

その②では、実際に森に入り、木曽の森の特異性を感じ取ってきました。ではなぜ、木曽の森の特異性は生まれたのか? ここからは、木曽の森の成り立ちを深掘りしていきたい…

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1年前
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森のみち・木曽路 〜二輪で駆ける、世界有数の温帯針葉樹林〜 その②

さて、その①では、木曽路の概要、木曽とはそもそもどんな場所なのか、について簡単にご紹介しました。その②では、いよいよ木曽ヒノキの森の内部に実際に潜入してゆきたい…

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1年前
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森のみち・木曽路 〜二輪で駆ける、世界有数の温帯針葉樹林〜 その①

2022年の7月下旬。僕は長野に住む友達と北アルプス登山をすることになりました。もともと登山好きな僕にとって、夏のアルプスはまさに憧れの的。ワクワクするぜい。 …

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1年前
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フォレストリップ‼︎ 〜日本全国、訪れてほしい森のカタログ〜 その②

〜前回のその①から続く〜 3  鞍馬の森(京都府) 京都市街北部・出町柳駅から、北山・比叡山方面へと伸びる私鉄・叡山電鉄(えいざんでんてつ)は、僕が一番好きな鉄…

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1年前
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北島の巨大温帯林をめぐる その⑤  〜樹がデカいことの意味〜

北島の巨大温帯林をめぐる その⑤ 〜樹がデカいことの意味〜

その④から続く

樹がデカいということ

ニュージーランドの針広混交林(Podocarpus and Broadleaf Forest)は、地球上で最も樹木が巨大化する土地のひとつ。一面がコケやシダに覆われた"森の底"を彷徨っていると、空の色を忘れてしまいそうになります。
巨木たちが、1000年の時間をかけて幹を伸ばし、天高いところで森の天井を張った結果、空が林床から大きく遠ざかってしまったのです

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北島の温帯雨林を巡る その④  〜霧に抱かれた巨木の聖域〜

北島の温帯雨林を巡る その④  〜霧に抱かれた巨木の聖域〜

Rainforest Route

ロトルアからフイアラウ山脈へと向かう国道の愛称は、「Rainforest Route」。ニュージーランド国内では珍しい、森をテーマにした観光案内。北島で一番森が深い土地に足を踏み入れるんだ、という高揚感が沸き上がってきます。

っがしかし。その名前に反して、Rainforest Routeの最初の数十kmは、広大な人工林を突っ切る直線路。どこまでも続くラジアータ

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北島の温帯雨林を巡る その③〜ニュージーランドは本当に自然が豊かな国なのか?〜

北島の温帯雨林を巡る その③〜ニュージーランドは本当に自然が豊かな国なのか?〜

その②から続く

なんでもない雑木林を保護する理由

……しかし、自然保護区に行っても二次林しか見られない、というのはチョット衝撃です。

そもそも日本の感覚だと、「二次林をわざわざ保護する意味があるのか?」と思ってしまう。日本の二次林というと(地域によってずいぶん異なりますが)アカマツ・コナラ林ですが、そういう森は珍しくもなんともなく、住宅地の裏山で簡単に観察できます。神戸のニュータウンでデリバ

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北島の巨大温帯林を巡る その②〜人類初到達当時のニュージーランドの景色は、現存するのか?〜

北島の巨大温帯林を巡る その②〜人類初到達当時のニュージーランドの景色は、現存するのか?〜

その①から続く

その①で述べた通り、ニュージーランドの気候の一番の特徴は、「年間を通して気温が大きく変動しない」点であるといえます。
そういった気候は、畜産に最適。
温暖な冬のおかげで、牧草が年中手に入るのに加え、冷涼な夏は暑さに弱い家畜を飼育する上で好都合であるためです。しかも、畜産は循環型の産業ですから、木材産業につきまとう「資源の枯渇」という問題を心配する必要はありません。

このことに気

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北島の巨大温帯林を巡る その① 〜人類が出会った最後の陸地は、深い森で覆われていた〜

北島の巨大温帯林を巡る その① 〜人類が出会った最後の陸地は、深い森で覆われていた〜

忙しくて、ここ1年ほど新規投稿ができていませんでしたが、最近ニュージーランドの森の記事を再び書き始めました。長らくご無沙汰でしたが、お読みいただけると幸いです((^O^))。今回は、去年の5月、北島の山奥深くの森林保護区に行った時のレポートです。
5つに分けて投稿します。

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英語圏で人気のニュースサイト「Reddit」に

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ニュージーランドでブナ林を探そう その④  〜地図は森がつくる〜

ニュージーランドでブナ林を探そう その④  〜地図は森がつくる〜

その③から続く

翌朝、ダニエルさんの妹さんが「お昼ご飯にこれを持っていきなさい」と、トーストを持たせてくれました。うう、本当にお世話になりっぱなしだあ…。
札幌ラーメンしかお渡しできるものが無いのがマジで申し訳ないのですが、タウランガからまたお礼の品を送りますと告げて、ダニエルさん一家のお宅を後にしました。

ブナの街

まずは、昨晩ダニエルさんが教えてくれた「ナンキョクブナの大木」なるものを見

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ニュージーランドでブナ林を探そう その③  〜”底のない湖”を抱く森〜

ニュージーランドでブナ林を探そう その③ 〜”底のない湖”を抱く森〜

その②から続く

家に招き入れてくださった男性は、ダニエルさんというお名前で、純粋なマオリ人でした。

その家は、ダニエルさんの妹さんのお宅で、ダニエルさんはその日たまたま泊まりにきていたそうです。妹さんもとても優しい方で、旦那さんと息子さんの3人で暮らしているようでした。息子さんは6歳で、恐竜が大好き。「僕の故郷の日本には、ラプトルという怖〜い肉食恐竜がいたんだぞ〜」と言うと、大喜びで自分の恐竜

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ニュージーランドでブナ林を探そう その②  〜彷徨いの夜〜

ニュージーランドでブナ林を探そう その② 〜彷徨いの夜〜

その①から続く

ニュージーランドの国道の制限速度は時速100km。日本の下道とは比べ物にならないスピードで巡航できるので、あっという間に距離が稼げます。

そんなこんなで、ニュージーランド最大の湖・タウポ湖(Lake Taupo)に到着。約1800年前(西暦181年)の巨大噴火によって形成されたカルデラ湖で、面積は琵琶湖より少し小さいぐらい。ニュージーランド屈指の観光地ですが、今回はブナ林を目的

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ニュージーランドでブナ林を探そう その①  〜NZでの森巡りは、難しい!〜

ニュージーランドでブナ林を探そう その① 〜NZでの森巡りは、難しい!〜

ニュージーランドの森巡り一発目のレポートです。

僕の学校では、4月中旬に2週間の長期休暇が設けられています。2週間もあったら、どっかの国立公園でたっぷり遊んでこれるやん……好機来たる。

ということで、見事な秋晴れとなった4月8日(南半球なので4月は秋にあたります)、タウランガを出発して、一路南へ車を走らせました。行き先は、「ブナ林」です。

森の分布は南北対称

え、ニュージーランドにブナ林?

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ご報告  ニュージーランドに引っ越しました 〜一生樹と付き合うために〜

ご報告  ニュージーランドに引っ越しました 〜一生樹と付き合うために〜

こんにちは。このnoteアカウント「harunire0321」を運営している、三浦夕昇(みうら ゆうひ)です。いつもマニアックな記事にお付き合いいただき、本当にありがとうございます。

今回は、いつもの樹木ネタではなく、近況のご報告。もしよろしければ、最後までお読みいただけると嬉しいです。

約2ヶ月前、3月初旬に、ニュージーランドの学校で環境学(environmental management,

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フォレストリップ‼︎  日本全国、いちおしの森を集めました Part④

フォレストリップ‼︎  日本全国、いちおしの森を集めました Part④

以前公開した「フォレストリップ‼︎」の記事が好評だったので、今回はその第2弾を書かせていただきました。

まず最初に、この記事でご紹介している森歩きスポットの”選定基準”についてちょっとお話させていただきたいと思います。

訪れる価値がある森って、どんなところ?

日本は、国土の約7割が森林で覆われた、世界有数の森林大国。人口密度が高いのにも関わらず、国土に広大な森が内包されている、という例は地球

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木陰は、インフラである 〜夏の樹木たちが贈る、無償のギフト〜

木陰は、インフラである 〜夏の樹木たちが贈る、無償のギフト〜

ひこにゃんとお城で有名な滋賀県彦根市の市街地には、「芹川(せりかわ)」という川が流れています。

芹川は、鈴鹿山脈を源とし、滋賀県東部の平野を縦断して琵琶湖へと注ぐ一級河川。1603年の彦根城築城の際、その周辺で流路の付け替えが行われたため、彦根市街地の芹川は人工河川となっています。

流路付け替えの際、芹川の両脇の堤にはケヤキやエノキ、ムクノキ、サイカチが植えられました。堤を補強するためです。

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森のみち・木曽路 〜二輪で駆ける、世界有数の温帯針葉樹林〜 その③

森のみち・木曽路 〜二輪で駆ける、世界有数の温帯針葉樹林〜 その③

その②では、実際に森に入り、木曽の森の特異性を感じ取ってきました。ではなぜ、木曽の森の特異性は生まれたのか?
ここからは、木曽の森の成り立ちを深掘りしていきたいと思います。
かなりマニアックな内容になりますので、眠たくなったら読み飛ばしてください(笑)
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木曽の森に針葉樹が多

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森のみち・木曽路 〜二輪で駆ける、世界有数の温帯針葉樹林〜 その②

森のみち・木曽路 〜二輪で駆ける、世界有数の温帯針葉樹林〜 その②

さて、その①では、木曽路の概要、木曽とはそもそもどんな場所なのか、について簡単にご紹介しました。その②では、いよいよ木曽ヒノキの森の内部に実際に潜入してゆきたいと思います。
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さあ、木曽路に到着。早く木曽ヒノキの森に入りたくてうずうず。
一口に木曽と言っても、その範囲はかなり広

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森のみち・木曽路 〜二輪で駆ける、世界有数の温帯針葉樹林〜 その①

森のみち・木曽路 〜二輪で駆ける、世界有数の温帯針葉樹林〜 その①

2022年の7月下旬。僕は長野に住む友達と北アルプス登山をすることになりました。もともと登山好きな僕にとって、夏のアルプスはまさに憧れの的。ワクワクするぜい。
しかし、いかんせん金がない。信じられないぐらい金がない。

そこで、移動費節約のため、地元の神戸から長野まで、原付で向かうことにしました。原付だったら長野までのガソリン代は1500円ちょい。全部下道なので高速料金もかからない。しかも、機動力

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フォレストリップ‼︎ 〜日本全国、訪れてほしい森のカタログ〜 その②

フォレストリップ‼︎ 〜日本全国、訪れてほしい森のカタログ〜 その②

〜前回のその①から続く〜

3  鞍馬の森(京都府)

京都市街北部・出町柳駅から、北山・比叡山方面へと伸びる私鉄・叡山電鉄(えいざんでんてつ)は、僕が一番好きな鉄道路線のひとつです。叡山電鉄の何が良いって、車窓から見える景色が、紙芝居のようにコロコロと移り変わっていくところ。

起点の出町柳付近では、大都市らしく住宅密集地の中を縫うように線路が伸びるのですが、岩倉を過ぎたあたりで車窓は急に郊外っ

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