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創造性の共有社会に向けた考察

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我々が次に共有すべき価値とは何かを、自分なりの考察として積み上げる。
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記事一覧

ある桜から教わった話

ある桜から教わった話

それは何の前触れもなく突然訪れた。
これまでも日本だけでなく世界中の聖地を調査していたので、不思議なことは何度もあった。だが今回は明らかに偶然ではないのだろうと確信している。宇宙まで突き抜ける青空が広がる暖かい春の昼下がりに、僕はその桜に呼びかけられたのだ。

仏陀の誕生日にあたるその日、僕は昼過ぎまで吉野で存分に千本桜を堪能して、近くにある龍鎮の滝へと車で向かっていた。その道中で路傍に立てられた

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革命前夜 the Night before our Revolutions

「革命前夜/the Night before our Revolutions」の映像がウェブサイトにアップされました。ポッドキャストをお聴きの方は、これまで音楽やナレーションだけでイメージされていた世界観が、ビジュアルでも感じて頂けるのではないかと思います。是非音量大きめでお聴きすることをお勧めします。

また、この映像の随所に本の内容と関係する意味のあるものが映っている「図像学的な仕掛け」が散り
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ファクトかフェイクか 前編

ファクトかフェイクか 前編

■■2人のドナルド・トランプ
 ドナルド・トランプが度々口にする「フェイクニュース」。これは2017年1月に大統領選後初めて行われた記者会見の場で、アメリカのCNNの記者に対してトランプ大統領が言い放ち、日本でも話題を呼んだ。自らに批判的なテレビや新聞に対する攻撃手段としてこの言葉をツイッターで連発するトランプ大統領は、気が狂っているのではないかという受け止められ方がほとんどであった。しかし実際に

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“E”の問題

“E”の問題

■■漠然とした不安「このままでは地球は長くは保たないのではないか–」。

この警告はすでに50年も前に発せられていた。1972年に出されたローマクラブの「成長の限界」という研究報告には、地球の許容量に比べて今の文明があまりに多くの課題を抱えていることが既に指摘されていた。それから半世紀近く経ったが、地球が抱える問題は一向に解決しそうにない。20世紀には私たちはまだ解決すべき問題が何かが見えていた。

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コンビニと微生物

コンビニと微生物

変な問いかけだが、ゴミは“いつから”ゴミになるのだろう。最初から最後までゴミであるようなものはあんまりない。使っている間はゴミとは呼ばれないからだ。しかし使い終わって不必要になると、それはゴミと呼ばれるものに変わる。だからゴミは元々あるものじゃない。どこかの段階でゴミに「なる」のだ。

例えばコンビニでお弁当を買うとしよう。ご飯とスパゲティーの上に乗った唐揚げの横には漬物が銀紙の小皿に盛られ、緑の

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アウトキャスティング思考

アウトキャスティング思考

いつの世も、のけ者やよそ者、村八分やならず者というのは居る。協調性がなく、和を乱し、誰からも相手にされない人々。いや“人々”というのは適切ではないかもしれない。それぞれは孤立した者たちだからだ。こういう人々のことを英語では「アウトキャスト(outcast)」という。このアウトキャストの立場から見ることが時に必要なことがある。

現在立っているところから、未来を見ることを「フォアキャスティング(fo

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パンデミックをつくったのは誰か

パンデミックをつくったのは誰か

2020年の4月14日時点での新型コロナウイルスのパンデミックについての論考として「パンデミックをつくったのは誰か」を、Wireless wire newsで連載中の「ネガティブの経済学」のページに掲載した。
予想以上の大反響であったので、こちらのブログにも再掲する。

■■だれもが同じ方向を向いているとき今やどこを見ても人々の口からは新型コロナウイルスの話題しか出てこない。各種の大手メディアやイ

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パンデミック後のまなざし「A・B・Cの選択」

パンデミック後のまなざし「A・B・Cの選択」

※2020年4月27日の時点で、WIreless Wire Newsに掲載した論考です。

■■元の世界は二度と戻ってこないが前の論考「パンデミックをつくったのは誰か」では、「新型コロナウイルス」という“自然現象”と「パンデミック」という“社会現象”の二つを分けて、「まなざしのデザイン」の観点から考えた。その中で、今回のパンデミック現象は新型コロナウイルスそのものよりも、ウイルスの情報に反応して起

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グローバリズムから「インターローカリズム」へ

グローバリズムから「インターローカリズム」へ

2020年1月より世界中に拡散したといわれる新型コロナウイルスと、それに端を発するパンデミック現象は、半年経った今でも世界中を席巻している。この新型コロナウイルスという存在そのものや、その危険性についてはまだよく分かっていない部分も多い。その中でWHO(世界保健機関)によって早々と出されたパンデミック宣言や、世界各地で都市封鎖が行われたことで様々な影響が現れている。

果たしてこの封鎖を行う必要が

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国債と政府の借金

国債と政府の借金

■日銀の役割と政策金利 日銀の仕事とは金融調節である。金融調節とは社会に出ているお金の量を増減させることを指す。お金自体は日銀が発行するわけではない。民間銀行が「信用創造」という制度を通じて発行するが、それは元は誰かの借金である。しかもそのお金とは紙幣を物理的に発行するのではなく、電子情報として記載することで発行される。
 日銀は民間銀行がそうしてお金を発行するのをコントールするのが役目である。民

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お金のカラクリ

お金のカラクリ

■紙幣はどのように発行されているのか? 私たち全員のまなざしを釘付けにするお金というものは一体なんなのだろうか。私たちはお金を使用するし、それを大事なものとして日々扱っている。しかしお金とはどういうものであるのかということにまなざしを向ける機会は少ない。お金とは一体何であるのか。その前にそもそもお金とは一体誰が発行しているのだろうか。
 お金を発行しているのは政府ではない。では日本銀行が発行してい

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動機について

(フェイスブック投稿より、未整理)

 やっぱり何かをする時に、その方法とか目的とか結果とかにもまして重要なのは「動機」だと思う。そしてその動機というのは極めて個人的なものに端を発することでエネルギーを得るし、それが個人的なものに留まらないからこそ深度を持つ。いくら数多く表現してたとしても、その動機に深度とエネルギーがなければ、それは単なるアウトプットの多産か自己表現による発散の意味しか持ち得ない

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成熟とオトナ

 ぼくらが若い頃に見た大人はかっこ良かった。大人は色々とモノを知っていて知的で、余裕があり、包容力と寛容さがあり、お洒落で色んな遊びを知っていた。カタカナで「オトナ」と書くと、ちょっと危ないイメージや淫猥な響きにドキドキもした。
 でも、自分が大人の年齢になって周りを見渡すと、そんな魅力的な大人の空気はどこにもなくなってしまった。単に歳を取っていることが大人であるとは思わないし、そんな大人はとって

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多様性を認めることの落とし穴

 ちょっと前まで日本あるいは世界は、「みんな一緒」という価値観だった。それが今ではすっかり「みんな違ってみんな良い」という価値観になってしまった。基本的には多様な価値観を認めるということには大賛成という立場だし、特にぼくのような者などは自分の奇異な価値観も認めて欲しいと思っている。しかし最近はそればかりが強調される社会を観察していると、どうも妙な違和感を覚えることが多くなった。それを掘り下げていく

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