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コラム(音楽や生活など)

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音楽コラムや暮らし、人生、社会課題などについてのコラムを書いています。
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#コラム

映画「サマー・オブ・ソウル」の興奮と熱狂と、ちょっとしたツッコミ

映画「サマー・オブ・ソウル」の興奮と熱狂と、ちょっとしたツッコミ

8月27日(金)より、映画「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」が日本公開された。

ありがたいことにご厚意でオンライン試写会に招いてもらい、一足先に観た。

観る前からわかってはいたけど、やっぱり家の貧弱な再生環境では物足りない、絶対に映画館で観たい。そう思わずにはいられないパワフルなドキュメンタリーであった。

そう、こちらの映画はドキュメンタリー映像なんですね。

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AI「IN THE MIDDLE feat.三浦大知」お二人の楽曲への思いについて私が思ったこと

AI「IN THE MIDDLE feat.三浦大知」お二人の楽曲への思いについて私が思ったこと

歌手のAIさんが三浦大知さんを客演として「IN THE MIDDLE」というタイトルの楽曲をリリースするそうで、お二人の楽曲へ込めた思いが文章で公開されていた。

実は私も、全く同じタイトルで、文章なりZINEなりを作ろうと思っていた。具体的には何も進んでなくて単なる構想にすぎないのだけれど。

由来は、大好きなJames Brownの「IN THE MIDDLE」という1968年〜69年の楽曲か

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永久に知ることのできない味噌ラーメンの味

永久に知ることのできない味噌ラーメンの味

今から33年ほど前のことじゃった。

私のふるさと福岡県は、今でこそさまざまなラーメン屋が軒を連ねているが、当時はラーメンといえばとんこつをおいて他になかった。

私が生まれ育った田舎町も例外ではなく、実家の近所の香龍園、塾の帰りの天龍軒、バス停の前の長浜ラーメン、高校の近くの薩摩ラーメン、すべからくとんこつラーメンであった。

そんな中、異彩を放つラーメン屋が1店舗だけあった。

実家から車で1

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最近読んだ本「ぼく自身のノオト」

最近読んだ本「ぼく自身のノオト」

ふだん読む本はけっこうシリアスなのとか新書とかが多くて、たまには優しい本が読みて〜〜……と思ったので年末に知ってから欲しかったこれを買って途中まで読んだ。

中学とか高校の頃、スクールカーストに精神を支配されて自分の人間性を受け止めきれず、ひたすら周囲にアジャストしようとジタバタしていた若き日の自分に読ませたい。まあ、あの頃は読んでもなにも感じなかったかもしんないけど。

37歳の私が読むと、そう

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暴力が嫌いだから

暴力が嫌いだから

身長167cm、体重52kg。私の体型である。

軽、と思われたのではないだろうか。産まれたときは2550gで、あと50g軽ければ低出生体重児(当時は未熟児といわれていた)に認定されていた。親は産まれてきた私を見て「手羽先かと思った」という。

そんな感じで体が弱いせいか、痛みを伴う物事が嫌いだった。いや、今も嫌い。転んで擦りむくことやら、叩かれることやら、足を攣ることやら、タイ古式マッサージやら

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Mさん(女性・21歳・都内在住)の話

Mさん(女性・21歳・都内在住)の話

「もちろんいじめられたこともありますよ、ハーフだってことで。

父がガーナ人で、お母さんは日本人。だけど私は父のこと超嫌いで、親だと思ったこともないです。普通に嫌なヤツなんですよ。

父がお母さんと出会ったときにはガーナ人だってこと隠してフランスから来たって言ってたらしくて、結婚する手続きの過程で判明したって聞いてます。

やっぱり、当時は親族からすごく反対されたみたいです。黒人の子を産むなんて、

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手は口ほどに苦労を語る、らしい

手は口ほどに苦労を語る、らしい

「ぜんぜん苦労してない手だな」

とあるカウンター酒場で、隣に座った中年の男性に言われた言葉だ。

自分で言うのもなんだけど、私は指や爪の形がまあまあキレイで、昔からよく「女の子みたい」とか「ピアニストみたい」とか「手タレでしょうか」などと言われたもんだった。

手の形はさておき、私が苦労していないのは事実だと思う。

私の人生は基本的に逃げることの繰り返しだった。

逃げることに抵抗がなかったわ

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ハーレムで出会った、とある黒人起業家兄弟のお話

ハーレムで出会った、とある黒人起業家兄弟のお話

駒草出版のwebマガジン「ブラックカルチャーを探して」に寄稿しました。
NYCで出会ったアフリカン・アメリカンの起業家兄弟のことを書いています。

おまけでマンガもついてるので、ぜひご覧になってみてください。よかったらシェアしていただけると嬉しいです。

会社員をやってた頃に感じていた息苦しさの正体

勤めていた会社を辞めてニューヨークへ行き、戻ってからも無職を続けていると、どうも今が人生で最も生き生きしているような気がしてきた。

別に厳しい会社ではなかったし、嫌な人もいなかった。就職して10年も経つとすっかり中堅となり、多少のことがあってもなんとかなるので嫌な緊張もない。月20〜30時間程度の残業はあるが騒ぐほどでもないし、給料だって良くもないが悪くもない程度にはもらっていたので不満はなかっ

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永遠にも終わりが来るなんて

永遠にも終わりが来るなんて

ついに14日間の隔離を終え、自由の身となった。

めちゃくちゃ長く感じた。本当に終わらないんじゃないかと思うくらいに長かった。

成田空港から徒歩70分超のホテルで10日目まで宿泊。11日目に徒歩50分かけて東横インに移動した。巨大なスーツケースをゴロゴロと押しながら。

いずれの日も「命に関わる危険な暑さ」と報道されていた。

初日に歩いた道のデータは頭に叩き込んであったので、東横インへの移動は

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週刊少年ジャンプを読んで少し悲しくなった話

週刊少年ジャンプを読んで少し悲しくなった話

こちらの日記に書いたとおり、ニューヨークから帰国して14日の隔離生活を実施しております。

ところで私は週刊少年ジャンプで連載中の「チェンソーマン」というマンガが激しく好きで(といっても初めて読んだのはNYでロックダウンが始まった後だけど)、こないだ出た単行本8巻まで読んだところ完全にやられて連載バックナンバーも読破、ついに最新話まで追いついてしまった。

ジャンプを買わなくなって20年以上経つと

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あの日から2ヶ月が経って

あの日から2ヶ月が経って

ミネソタ州ミネアポリスでジョージ・フロイド氏が警官に殺害された事件から、今日で2ヶ月が経った。

ニューヨークでは抗議運動を目にすることも減ったけど、依然として多くの人が「Black Lives Matter」や「Black Power」、「I Can't Breathe」とプリントされたTシャツを着て街を歩いている。

2ヶ月前の光景を見て考えていたこと2020年5月29日、フロイド氏の死から4

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「想像力がない」と言われても

「想像力がない」と言われても

一時期、けっこうな頻度で「想像力がない」と言われたことがあった。

ここでいう想像力とは、自分と立場の違う人の心情や状況に馳せる思いがない、ということを指す(と思う)。思いやりがないっていうのと近い。

ただ、頭ごなしに想像力を持てと言われても全然ピンと来ない。想像力のある状態ってどんな感じなんだろう? と、それこそ想像がつかなかった。果ては「想像力 身につけかた」でググってしまうほど、私にとって

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「浅はか」と断じる前に

「浅はか」と断じる前に

この前書いたこの記事を、ありがたいことにたくさんの人が読んでくれた。

多くの感想をいただいたのだけど、その中で多かったのは「知らなかった」というコメントだった。

そうだよね、自分も20年近く前からヒップホップ聴き始めたのに、こういうことを知り始めたのはここ5年くらいの話だもの。たった5年で理解できるような事柄ではないし、まだまだ知らないことだらけ。そもそも知るきっかけすらない人なんて、たくさん

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