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たるもの、でなくても

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おばあちゃま

おばあちゃま

1.呼び名

102歳で天国へ旅立った私の父方の祖母。
私の大好きな「おばあちゃま」

父方の血筋は、なぜかこの呼び名が代々続いている。

もちろん私の息子たちも、両親を「じいちゃま、ばあちゃま」と呼ぶ。

幼い頃は何の違和感も無く呼び、物心がついてくると、ちょっとよそと違う呼び方なのだと気づき、人前だけで「おばあちゃん」などと呼んだりする。

そしてまた、そこを通り過ぎるとその呼び名がかわいらし

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手作りブランコ

手作りブランコ

数年前のある日、父から連絡が来た。

「孫たちが大喜びするモンが出来たぞ」

何かと想像を超えてくることを予測し、送られてきた画像を開くと、祖母が生前、植木や花を大切に育てていた小さな敷地の一角に立っている大木に、何やらぶら下がっている。

おお!手作りブランコではないか!

これはすごい!!!っと一瞬浮き上がる気持ちと同時に、その画像が私の頭の中でゆっくりと動き出す。

ちょっと待てよ…。

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人類みな兄弟 番外編

人類みな兄弟 番外編

人類みな兄弟 vol.1はこちら。

ふと思い出した人類みな兄弟シリーズのサイドストーリーです。

1.礼儀も文化

私たち一行は、最終地のローマにいた。

コロッセオに圧倒され、すべての道はローマに通ずを肌で感じていた。

この旅での宿係は以前書いたように私であり、インフォメーションで紹介された、おおよその価格帯のホテルからひとつを選んでそこへ向かった。

ローマは想像していたよりもずっと大都会

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とんでもハネムーン記(後編)

とんでもハネムーン記(後編)

※(前編)はこちらから
※(中編)はこちらから

1.思い出の人物たち

私たちの念が通じた。
何と、全日程満室御礼。ということは、この部屋に最終日まで泊まれることになったのだ。

(神様、帰りの水上飛行機、大丈夫ですよね?)

そんな中で、たくさんの人々に出会った。印象的な方たちを思い出しながら書くことにする。

-----ルームキーパーのおじちゃん-----

私たちの部屋を毎日メイキングして

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とんでもハネムーン記(中編)

とんでもハネムーン記(中編)

※(前編)はこちらから。

1.イルフシ到着からの奇跡

パイロットにこそ一抹の不安がよぎったものの、私たちは無事にイルフシ島に降り立つ事ができた。さっきまでの事が嘘のように、日本人と見られる同じツアー客の集団が見え、何もなかったかのように合流することができた。

その後、団体チェックインは終わったが部屋案内まで待って欲しいとの連絡。

まぁいい。

エメラルドグリーンの海に、
燦々と降り注ぐ太陽

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思い立ったが吉日か?

思い立ったが吉日か?

1.若さって本当にあるんだぜ誰しもが思う。

"ずっとこのまま"だとか、"いつでもできる"だとか。
そんな訳がないことを分かっているのに、その瞬間はまるで信じようともせず、当たり前に不変を決め込む。

しかし、例えば有りあまるお金を手に入れ、バキバキにヒアルロン酸を打つことに財を費やさない限りは、おおよその人間に老いはやってくる。

スポーツすることだけが好きだった私など、膝が痛くて思うように走れ

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後にも先にも

後にも先にも

贈られるもの贈りもの、お土産、プレゼント…。
私たちは生きていく中で、時に人から何かを贈られることがある。

小さい頃であればクリスマスや誕生日、大人になってからお歳暮やお中元、旅行のお土産…そんなところだろうか。

例えばそれが、公園で小さな子どもが寄ってきて、

「これをあげる」とどんぐりを手の平に乗せてくれることも、贈りものとして受け取りたい。

そんな今までの人生の中で、

後にも先にもあ

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書くということ

書くということ

①書きたい欲のはじまり
「将来の夢はなんですか?」

数え切れないほど投げかけられたこの問いに対して、一番小さい頃の記憶は動物のお医者さんだったと思う。
保育園で、大きな画用紙にその絵を描いたのも薄らと思い出す事ができる。

しかし、世の中を知るにつれ、こんなに世界は知らないものだらけなんだと、是非やってみたいと思うことも山ほど増えていくのである。

スポーツ選手、歌手、その他色々。

その中のひ

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出会いは突然に、そして時に

出会いは突然に、そして時に

回想してみる

私は現在、関西に住んでいる。
高校を卒業して関西の大学に進学し、そのまま働きに出て、結婚して、子供が産まれて、なんやかんやと今に至る。
今年の春で20年。
あっという間に生まれ故郷で過ごした期間よりも長くなっていることに驚く。

関西に出てきた理由は、そんなに多くはない。

”人がおもしろそうだから”

あとは…いや、もしかしたら、それだけかもしれない。小学校の文集に書いた「関西に

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コモノート

コモノート

1.コモノートとは

まずは、タイトルにあるコモノート。はて?と思われる方もいるかもしれない。実際に私も今回書きたい内容について調べ物をしている際に初めて目にした言葉である。

生物学の中に出てくるのだが、何やら難しいことがたくさん書いてあるので超簡単に説明させてもらうと、

地球上の全生物は一つの祖先生物から進化してきたのではないかという考えが広まって、それをセナンセスターとか、プロゲノートとか

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はじめてのアルバイト

はじめてのアルバイト

1.九州から関西へ

私の生まれは坂と階段の町、そして美しい港がある長崎である。生まれてから高校までの18年間、この異国情緒あふれる故郷で過ごした。

小さい頃から運動が大好きだった私は、中・高は部活に明け暮れ、母の手伝いもろくすっぽせず、ましてアルバイトなども大学に入るまでしたことがなかった。

幼い頃から漠然と日本のイタリアとも言われる関西に興味があり、どうしても行ってみたかった。

日本中の

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人類みな兄弟 vol.3

人類みな兄弟 vol.3

※前回投稿した人類みな兄弟 vol.2 の続編です。
まだ読んでいない方は人類みな兄弟 vol.1からとっかかってくださいませ。

-----イタリア・ヴェネツィアにて-----

旅も終盤、ドイツからオーストリアを下り、その後イタリアへ。そろそろ一行にも疲れが出ているころではなかろうか。いや、そんなはずはない。

言わずと知れた水の都、イタリアはヴェネツィアにおりたったのであるからして、テンショ

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人類みな兄弟 vol.2

人類みな兄弟 vol.2

※前回投稿した、人類みな兄弟 vol.1 の続編です。

----オーストリア、ハイリゲンブルートにて----

ここはグロースグロックナーという氷山の麓にある、比較的小さな地区だったと思う。

出発する前から大興奮していた父だが、この地区にはさらなる思い入れがあった様子で、以前にも泊まった、とても素敵なゲストハウスにできればもう一度辿り着きたい!と出発前から口にしていた。

とは言え、5年ほど前

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人類みな兄弟 vol.1

人類みな兄弟 vol.1

1.父について今回は父について書こうと思う。頑固なところもあるが、いつも陽気で、いつも何かに熱中していて、いつも何か楽しい事はないかとアンテナをはって生きている。そんな風に見える父。

「お父さんが年取ってひとりになってしまったら、バイクでお前たち子どもの所ば周る。ボケたらいかんけんGPSを埋め込んでくれろ。」

なんて事を言うのも、子どもが納得できてしまうぐらい、とにかく少年の心を持ったまま大人

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