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オリンピックのない平和な世界
「オリンピック、なくなっちゃったね」
「せめて、途中まで開催されるのかと思ったら、珍しくいさぎの良い判断だね。
僕は好きだよ。無駄なものをすぐに中止できる人は」
「ははは、じゃあ、今日の手料理も中止しちゃおうかな」
「それは、ダメです。全会否決。衆議院の解散をしてでも、信を問う!」
「もう、大袈裟なんだから」
アイランドキッチンの真ん中で僕らは抱き合う。
僕らは、関西の真ん中で、しか
僕の最愛のあの子が激務にさらされるこの国の貧しさには、ほとほと嫌気がする
「クリスマス、バレンタインデー、誕生日、これが三大きっかけDAYなんだって」昔聞いた曲の歌詞にあった。
<制度設計に失敗した反省のないこの社会-それは高度資本主義の忘れ物のせいだ>
今年のクリスマスイブ、そしてクリスマスは最愛の美少女と一緒にいられない。
それは、高度に発展した割に人類に人権を与えなかった資本主義の罪である。
(決して、僕の美少女が僕と会うのを避けている訳ではないと思う。
死は救済だが、生は何だろうか
【会社は老人ホームじゃねえんだよ】
新社長の上品でいて、少し張った声が響く。
「第1号議案に賛成の人は、ご起立ください」
彼は、悲壮な表情を浮かべながら、その実の母親を眺めていた。
僕は、取締役会の様子をオブザーバーとしてteamsで眺めていた。
会社はモディファイされなければならないとは、彼の言だが、しかし、彼の父親は社会はモディファイされ続けなければならないと生前言っていた。
つまり、僕は、
バックミラーに映る一つの季節(セゾン)
「怒ってますか?」
部下が僕に尋ねる。
「なんで?」
「ミスをしたので、なのに笑顔でいてくださるのは配慮かと」
僕は、彼の質問の意図を測りかねた。
「君がミスをしたのに、僕が怒るの?」
「先輩の成績に響くので」
なるほど、意味がわかった。
「別に怒らないよ。笑顔なのは、ほら、癖かな」
僕は、病床にいた時の、祖父を思い出した。
意識がないのに、僕の名前だけをはっきり叫んで、小声で耳打ちをした。
「大
独りぼっちの終わり探し。
今日も、視界を遮る雨は、例えば、まるで僕の人生の行先を隠しているようだ。
噴霧されたようなパラパラとチラつくそれは、しかし、朝の僕の気分を憂鬱にさせる。
光が、太陽の光が見えないからだろうか。
僕は、(一応)まともな大学を出て、(一応)有名な外資系金融企業に収まった。
今の所、パフォーマンスに期待をかけられているし、それを裏切ることもなさそうだ。
けれど、どこかに薄ら寒い気持ちがするのは、僕
Keep distanceと叫ぶには遅すぎる。
人々が気づくには、遅すぎた。
Social distanceが重要だと、気づくには遅すぎた。
これは、何もこの時世において、声高に喧伝されている人々の物理的な距離感のことだけではない。
確かに、高度に密集することを前提としたせせこましい店舗や電車、それらを内包する都市構造には、多分に問題がある。
しかし、それは今にわかったことではない。好きでもない人の後ろに並ばなければ、横断歩道の先に行けない都
七瀬の不思議なバースディプレゼント
この物語は、妄想です。当たり前ですが。
-もう少しの夢
「起きて、起きて!」
僕を呼ぶ声がする。
昨夜は、旧知の先輩方とプール一杯分くらいの酒を飲んだ。体感で。
久しぶりのアルコールは、僕の頭の奥で、熱を持って、ジンジンと響いた。
「ううう」
僕は、ベッドの上で、呻いた。
やおら、寝ぼけ眼にメガネを押し当てた。
いい匂いと僕の前に広がる影。
僕は、酔っ払っているようだ。どうやって帰ったかの記憶