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独りぼっちの終わり探し。

今日も、視界を遮る雨は、例えば、まるで僕の人生の行先を隠しているようだ。
噴霧されたようなパラパラとチラつくそれは、しかし、朝の僕の気分を憂鬱にさせる。

光が、太陽の光が見えないからだろうか。

僕は、(一応)まともな大学を出て、(一応)有名な外資系金融企業に収まった。
今の所、パフォーマンスに期待をかけられているし、それを裏切ることもなさそうだ。

けれど、どこかに薄ら寒い気持ちがするのは、僕が独りぼっちだからだろうか。

年俸もインセンティブボーナスも、どうやって、そう、どうやって使うのだ。

人より稼ぎはいいけれど、僕はそもそも稼げの悪い時代から、借金してまで、女の子に貢いできたのだ。
実際のところ、自分にお金を使うことも知らないし、贅沢も知らない。

普通の住居、普通の服、普通の食事。
例えば、そのどれかのグレードをあげたって、独りぼっちでは幸せになれない。

人間は一人で産まれて、一人で死んでいく。
それにも関わらず、独りでは幸せになれないと感じてしまうのは、人間の「動物としての本能」なのだろうか。

独り寂しい夜に、ディスプレイを眺めて、こんなんじゃダメだと、小説を読みながら、寝落ちする。
そんな暮らしがもう1週間は経とうとしている。

それなりの人生は手に入れたつもりだし、そこから転落したくもないけど、本当の幸せを、誰か教えて欲しい。
なんて、壊れかけのレディオみたいなことを思う。
梅雨の朝。

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