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人生満足

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オリンピックのない平和な世界

「オリンピック、なくなっちゃったね」 「せめて、途中まで開催されるのかと思ったら、珍しくいさぎの良い判断だね。 僕は好きだよ。無駄なものをすぐに中止できる人は」 「ははは、じゃあ、今日の手料理も中止しちゃおうかな」 「それは、ダメです。全会否決。衆議院の解散をしてでも、信を問う!」 「もう、大袈裟なんだから」 アイランドキッチンの真ん中で僕らは抱き合う。 僕らは、関西の真ん中で、しかし、それを完全に拒否するように「標準語」を、 つまり、二人が出会った時に使って

    • 僕らの惜春

      【僕らの惜春】 いつのころからだろうか。 12月24日と25日が恋人と過ごす特別な日になったのは。 翻って、僕らのクリスマスは離れ離れ。 遠距離恋愛を嫌う僕ではあるが、しかし、彼女との愛は永遠と信じ、 12月24日と25日にも仕事に励んだ。 彼女もとても大変そうだった。多くの仕事を任されている彼女のことを、 少しでも手伝いたかった。 ただ、専門領域が違いすぎた。 お互いに大変だなというメッセを送りあい、励ましあった。 それがぼくにとっての、唯一にして最大の

      • 僕の最愛のあの子が激務にさらされるこの国の貧しさには、ほとほと嫌気がする

        「クリスマス、バレンタインデー、誕生日、これが三大きっかけDAYなんだって」昔聞いた曲の歌詞にあった。 <制度設計に失敗した反省のないこの社会-それは高度資本主義の忘れ物のせいだ> 今年のクリスマスイブ、そしてクリスマスは最愛の美少女と一緒にいられない。 それは、高度に発展した割に人類に人権を与えなかった資本主義の罪である。 (決して、僕の美少女が僕と会うのを避けている訳ではないと思う。なぜなら、彼女の激務、それも遠隔地での激務は会社からの命令だからだ) それもこ

        • 死は救済だが、生は何だろうか

          【会社は老人ホームじゃねえんだよ】 新社長の上品でいて、少し張った声が響く。 「第1号議案に賛成の人は、ご起立ください」 彼は、悲壮な表情を浮かべながら、その実の母親を眺めていた。 僕は、取締役会の様子をオブザーバーとしてteamsで眺めていた。 会社はモディファイされなければならないとは、彼の言だが、しかし、彼の父親は社会はモディファイされ続けなければならないと生前言っていた。 つまり、僕は、僕の実の祖父とその愛人の息子、どちらもがモディファイにこだわるところを眺めていた

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        オリンピックのない平和な世界

          戦勝国たちの歓迎会

          東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会は18日、東京・迎賓館で国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長らを歓迎する会を開いた。 オリンピズムの目的は、 人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである。 世論調査会社IPSOSは13日、米国やフランスなど28カ国を対象にした、夏の東京五輪についての世論調査結果を明らかにした。開催すべきかとの質問に「反対」と答えた人は57%で、賛成

          戦勝国たちの歓迎会

          恋愛至上主義宣言?

          <恋愛至上主義宣言> 一つの妖怪が全世界に顕現している。 ――恋愛至上主義の妖怪が。 全世界のあらゆる権力が、この妖怪に対抗する厳格な同盟をむすんでいる。 物理学や数学、工学、医学。反証可能性の蓋然性が高い自然科学のそれぞれが結託して、その地位に座している。 <恋愛資本主義と素朴な(空想的)恋愛主義> 我々は、恋愛を享受できる程度に豊かな世界を生きている。 それも高度に進化した恋愛資本主義の効用を享受できる時代に。 例えば、本論考の記述されている言語(日本語

          恋愛至上主義宣言?

          「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」MV 極私的簡素レビュー

          私は、神を見つけた。 新興アイドル勢力(という煽り文句ははいささか彼女らの歴史を軽視しているように思われるだろうが、あえてその間隙を分断と認識してそのように呼ぶ)櫻坂46の新曲MVの中に、私は神を確信したのだ。 もちろん、それは勘違いだったのだが、しかしそれでいて、現代において神の実在を信じるよりも、恐ろしく狂信的な試みを、彼女らのMVに見だしてしまった。 <なぜ 恋をして来なかったんだろう?>MVは福音の鐘から始まる。 その舞台は、廃工場のようでもあり、教会の一部の

          「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」MV 極私的簡素レビュー

          バックミラーに映る一つの季節(セゾン)

          「怒ってますか?」 部下が僕に尋ねる。 「なんで?」 「ミスをしたので、なのに笑顔でいてくださるのは配慮かと」 僕は、彼の質問の意図を測りかねた。 「君がミスをしたのに、僕が怒るの?」 「先輩の成績に響くので」 なるほど、意味がわかった。 「別に怒らないよ。笑顔なのは、ほら、癖かな」 僕は、病床にいた時の、祖父を思い出した。 意識がないのに、僕の名前だけをはっきり叫んで、小声で耳打ちをした。 「大成する」 僕は、祖父の予言通りに生きられただろうか。 人に好かれることが、人に怒

          バックミラーに映る一つの季節(セゾン)

          雨と(未来の)老人

          ファブリーズのような雨だ。 そう、例えるならば、ファブリーズのような雨だ。 人工的なようでいて、あまり効果がない。 しかし、連日、降り続く雨は、やはり恵であり、けれども、僕らの家屋を確実に腐らせていっている。 物事には、必ず、両面があるが、けれども、年老いた僕にとって、自然は、それほど、良い方向に作用しない。 管理しきれず、修繕費が積みたてられる家屋。 年老いて行く自身の体と脳。 埋まらない知識。 僕は、人生の夕暮れを歩いているが、それもあと3年から5年の話だろう。

          雨と(未来の)老人

          独りぼっちの終わり探し。

          今日も、視界を遮る雨は、例えば、まるで僕の人生の行先を隠しているようだ。 噴霧されたようなパラパラとチラつくそれは、しかし、朝の僕の気分を憂鬱にさせる。 光が、太陽の光が見えないからだろうか。 僕は、(一応)まともな大学を出て、(一応)有名な外資系金融企業に収まった。 今の所、パフォーマンスに期待をかけられているし、それを裏切ることもなさそうだ。 けれど、どこかに薄ら寒い気持ちがするのは、僕が独りぼっちだからだろうか。 年俸もインセンティブボーナスも、どうやって、そう

          独りぼっちの終わり探し。

          「もう恋なんてしない」と槇原敬之は言ったけれど。

          こんな真夜中に文章を書きはじめるなんか、どうかしている。 酒も飲んでない。睡眠導入剤も飲んでない。 眠れない。 それでも、明日は仕事だ。 (まあ、フルフレックスだけれど) だけれど、そんなことどうでもいいと思わせる時間が深夜にはきっとある。 「もう恋なんてしない」と槇原敬之は言ったけれど。」 先日、僕は、入社したばかりの会社のデスクで爆睡していた。 年俸制、成果報酬制の会社なので、最低基準の年俸以外はインセンティブで稼ぐほかない会社だ。 いくつもの「偽物」の愛と欲望が渦巻

          「もう恋なんてしない」と槇原敬之は言ったけれど。

          Keep distanceと叫ぶには遅すぎる。

          人々が気づくには、遅すぎた。 Social distanceが重要だと、気づくには遅すぎた。 これは、何もこの時世において、声高に喧伝されている人々の物理的な距離感のことだけではない。 確かに、高度に密集することを前提としたせせこましい店舗や電車、それらを内包する都市構造には、多分に問題がある。 しかし、それは今にわかったことではない。好きでもない人の後ろに並ばなければ、横断歩道の先に行けない都市構造は、唾棄すべきものだが、ここ100年近く打破されなかった。 そもそも、大

          Keep distanceと叫ぶには遅すぎる。

          マンションを売り払ったことを「慧眼ですね」と褒められて

          成田空港で僕は一人だった。 晴れた空の下で、点線の雨が降っていた。 前が見えないほどの霧雨で覆われた心は、僕が進むべき道を隠していた。 しかし、皮肉にも、クレジットカード会社のポイントと溜まりまくったマイルってやつで、成田から六本木を手放しで進めるほど、僕は人生を持て余していた。 車庫で余っていたからと配車された僕に似合わないほどの高級外車は、僕がこれまでの人生を僕自身に不釣り合いなほどにうまく渡っていたことを知らしめるかのように豪奢で静謐な装いを見せていた。 車の名前は

          マンションを売り払ったことを「慧眼ですね」と褒められて

          戦勝国たちの歓迎会

           東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会は18日、東京・迎賓館で国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長らを歓迎する会を開いた。(朝日新聞) その会には、バッハ会長はじめ、菅首相、小池都知事、橋本聖子会長、森喜朗氏ほか約40人が参加したそうだ。 そのあり方に、敗戦国、日本のあり方が裏写しになっているように思えるのは僕だけか。 つまり、IOCの会長であるドイツのバッハ会長を歓待するために、未曾有の世界的コロナ危機の中、元赤坂の迎賓館を使って、

          戦勝国たちの歓迎会

          七瀬の不思議なバースディプレゼント

          この物語は、妄想です。当たり前ですが。 -もう少しの夢 「起きて、起きて!」 僕を呼ぶ声がする。 昨夜は、旧知の先輩方とプール一杯分くらいの酒を飲んだ。体感で。 久しぶりのアルコールは、僕の頭の奥で、熱を持って、ジンジンと響いた。 「ううう」 僕は、ベッドの上で、呻いた。 やおら、寝ぼけ眼にメガネを押し当てた。 いい匂いと僕の前に広がる影。 僕は、酔っ払っているようだ。どうやって帰ったかの記憶もない。 おそらくは、運転手に迷惑をかけたのだろう。 今度謝ろう、と思いながら、

          七瀬の不思議なバースディプレゼント

          憧れの大学生活

          唐突ですが、僕は有村架純が好きです。 「あまちゃん」に出ていた彼女も、「リトルマエストラ」に出ていた彼女も。 「ビリギャル」に出ていた彼女も好きですが。 え?前置きが長いって? そう、架純と人生を共にできたら、素敵だってそう思いませんか? -エピローグ僕は、駅前のオブジェの前で呆然と立ち尽くしていた。 隣の同級生に聞いたんだ。 「かすみはどこ」ってね。 彼は曖昧に笑うと立ち去った。 僕は思ったね、彼はきっと嫉妬しているんだってね。 -1日目(4月1日・木)

          憧れの大学生活