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尊厳とは何か(訪問看護、在宅医療の現場から)
問いかけ
私の仕事場からのちょっとしたエピソードをご紹介。
以前、終末期のがんを患った方に、私たちの医療チームは深い問いかけをされたことがあります。その方はご家族の協力のもと最後までお家で過ごすことを決められた方でしたが、ある出来事が起こります。
それはご本人が昏睡に陥る前に、ご家族が金銭面の整理(カード暗証番号などを聞いておくこと)をしようとした時でした。ご家族も様々な胸中が渦巻く中で
ナラティブケア 〜スピリチュアルケアの仕事〜
私はよくナラティブケアというものを行います。
そこで、恩師から教わり、実践を重ねてきた内容を深めるために、偉そうにツラツラと書いてみたいと思います。
【私】という【混沌】哲学的な話ですが、私たちは実は【私】と言う【混沌】を生きています。本来【私】は、あぁでもなく、あぁでもあり、こうでもなく、こうでもあり、いつも多義的で多層的な【混沌】とした存在と言えます。
だから、例えば『A型は〇〇だよね』な
第二次世界大戦の記憶
私は看護師をする中で第二次世界大戦の記憶に触れさせて頂くことが沢山あります。その記憶の持ち主は、ある人は認知症に、ある人は難病に、ある人はがんに罹られていました。
でも今、この人たちの“眼差し”を誰かに伝えたいと思い、願いを込めて綴ります。
反戦へのメッセージこんな話が東京の片隅にも溢れています…
こんな話が日本の片隅に置かれています…
戦争当事者には色々と事情があるのでしょう。
でも歴史を生
Spiritual Careという仕事を選んだ理由
不思議な生き物 人間生物の多くは生殖期間を終わると死んでしまうと言われます。
ただ人間はそのような期間を終えても死なない。
それは不思議なことです。
そして、だからなのでしょうか…
私たちは【生きる理由】【死ぬ理由】を考えてしまう。
関係的存在 人間先日、「サピエンス全史」という本を読み大変勉強になりました。
私たちは「認知革命」と呼ばれる体験をして、進化してきたというのです。
でも人はいつから
Story of Spirituality
Parallel Chart【病む人と向き合う私たちにはカルテに書けない感情があります。でもここに医療の本質に近づく何かがある。だから私たちの物語を伝えたい。】
物語この手の持ち主は、戦時下を生き、終戦時に母を亡くし、結婚して我が子を亡くし、その後に父を看取り、そしてご主人を看取ってこられました。
この手は…愛する人と何度も手を繋ぎ…
その手が離れていく…
そんな経験を重ねた手です…
この手
Story of Spirituality
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Parallel Chart
【病む人と向き合う私たちにはカルテに書けない感情があります。でもここに医療の本質に近づく何かがある。だから私たちの物語を伝えたい。】
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《汚い?、キレイ?》その人はご自身の手を『汚い』と言います。
私は訪問看護で齢90を超えたその手の爪切りをしながら、『キレイな手』と言います。
《アンチエイジング》antiとはantipathy(反感、嫌悪)から来て
Story of Spirituality
Parallel Chart【病む人と向き合う私たちにはカルテに書けない感情があります。でもここに医療の本質に近づく何かがある。だから私たちの物語を伝えたい。】
伝えたい物語私が担当する高齢の方に『早く迎えがきて欲しい』と日々語られる方がいます。『オシメを家族に替えてもらう自分が惨めなの』と日々語られる方がいます。他者に “迷惑” をかけて生きることが心の足枷となっていると語られる…。
私は「
その人に合わせたケアを考えるとき…(スピリチュアルケア師への質問 二通目)
【YAMABIKO】へ嬉しいお便りが届きました。ご紹介します。
いつも素敵なお話ご拝読させていただいております。 私は、「スピリチュアルケアとは」のような広い概念について理解できているわけではありません。その上でスピリチュアルケアとは、「その人にとっての固有性があるケアなのではないか」と感じています。例えば、ある人にとっては思いを話す場を作ること、クラシックカーを見ることがスピリチュアルケアに
言葉もかけられないとき…(スピリチュアルケア師への質問 一通目)
【YAMABIKO】へ嬉しいお便りが届きました。ご紹介します。
「こんばんは。以前からブログを拝見させていただいていたものです。今自分はスピリチュアルケアに興味があって勉強しています。なのでとても坂詰さんのブログはいつも考えさせられることがたくさんありました。今回いい機会を頂き是非お聞きしたいことがあります。 目の前の人が苦しんでいるとき、そこに何も自分ができないとき、言葉もかけれないときにスピ
「私の気持ち、わからないでしょって言われたらどうしましょう」 ~スピリチュアルケア師として~
質問『私の気持ち、わからないでしょって言われたらどうしましょう』。これは先日の順天大学大学院医学研究科で行われた「第9回 お茶の水 緩和ケアカンファレンス」のQ&Aセッションで取りあげられた質問です。
私だったらどう返答するか。「わかりません」とお伝えします。なぜなら「わかる」なんて言えないからです。ただし「私の気持ち、わからないでしょ」と、わざわざ言ってくださったことを大切にします。だからその
”もの”には心がありますか?
~スピリチュアルケア師が持つ眼差し~
”もの”の奥に潜む物語皆さんは「BORO Museum」をご存知でしょうか。民俗学者の田中忠三郎さんが集めた古民具、ボロと呼ばれた着物を展示していたMuseumです。今でこそ欧米の染織美術・現代美術のコレクターから高く評価されていますが、当時ボロにそんな目を向ける人はほとんどいなかったでしょう。
倉庫にあるすべての生活道具や民具には、かつてそれを使っていた