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noteに書いたものの中で、詩をまとめました。
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詩『鴉』

詩『鴉』

夢を見た。

それは、かつてのわたしとあなただった。

それは、
今になって見る夢でも
回顧するほどの過去でもない。

おわりだってなかったけれど、
はじまりさえなかった二人。

あの頃。
何を想っていたのだろう。
飛び立つ鳥に己を重ねては、飛べないことを嘆く。
そんな日常と非日常を行き来する
もどかしい苛つきと、探り合いがあった。

確かにあったのだけれど、
確実になくなってしまった

そんな恋

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詩『ドラマ』

詩『ドラマ』

脚本家は言った。

「フェードアウトしていくような、余韻を残す感じじゃなくてさ。なんかもっとこう、最後、カットアウトするような、そんな人生を贈りたい」

人生はドラマだ。
始まりがある。続きがある。
そして必ず終わりがある。

再放送の7話だけが観れなかったけれど、
その空白を想像で埋める作業は、
案外嫌いではないように思える。

だけども最終回が納得いかない終わり方だった途端に、口を出したくなる

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『僕のカムパネルラに捧ぐ』

『僕のカムパネルラに捧ぐ』

その存在を忘れた頃に 目の前に現れる
カムパネルラが僕にも いる。

彼はまるで
僕の親友のようでいて
だけど敵のようでもあって
そして家族のようでもあるんだ。
きっと出身地は あの星座の中かな。

寂しいと思うかい?
いいや、僕は孤独が好きなのさ。
だけど 体温はたしかに宇宙にあったから
僕は恋しくなってしまって
少しだけ君に会いたくなったよ。

またしても、
「早く書きなよ」ということだけを言

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今日も私は、やさしくなれない。

今日も私は、やさしくなれない。

人にやさしく

という唄があるね。

THE BLUE HEARTSの有名な歌。

人に、やさしくありたいと思うよ。
いつだって、やさしくしたいし、やさしくしてほしいし、やさしくありたいと思う。
それはそれで、本心なのである。

だけど優しくできない、人に。
他人に、自分以外の誰かを、まるで、全てが敵になったかのような、そんな錯覚に陥る日があるのだ。

みんな優しくしてくれている。
みんな優しい。

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詩『影に抱かれて』

詩『影に抱かれて』

いつもの朝に怯えては 夜を無視してる
キカイテキナアイサツ
逆回りの秒針も
気付かないフリしてんだ
開かない目 急かすんだ
今日はどっか

出かけたいような

ほら 段々近づいていく
けど 段々遠のいていく
追いかけっこする毎日を
ランダムに溶かす
走る空

サインが流れる
写真だけの合図で
夢にまで見てた夢は何だったっけ

「それでいいや」

滲んだ過去を噛んだ

帰る場所さえもないくせに
まだ

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詩『ヒーロー』

詩『ヒーロー』

僕は泣いて
僕は泣いて
君は笑って
君は笑って

僕は笑って
僕は笑って
僕は笑って
君は今日も泣いてる

「こんなはずじゃなかった」

「そんなつもりはなかった」

後悔をしている

誰もが勝手な理想だらけで

夢を追って
夢は老いて
夢を置いてきたあの日

重なっても
すぐに忘れられていった

愛してる とか言ってさ
愛してるの意味をいつでも
間違って覚えては
愛してほしいと嘆く

無責任を 

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過去が溶けていく。

過去が溶けていく。

許せない出来事。
罪と罰。葛藤。
誰かの言葉。誰かの表情。

今、ここにはない笑顔。

それでも。

それらの過去が溶けてく時間というのは、

たしかに存在していると思う。

過去のそれらは風に乗って、砂にまぎれていく。

決して見つかることはないだろう。

だけども、私の心には

残っていて
残していて、
ふとしたとき
掬い上げることになるのだろう。

波の音を聞いた、
それは確かに
夢で、現実

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それはまるで恋のような。

それはまるで恋のような。

考えるだけでドキドキして

目の前に来ると緊張する

だけど会話をできたときは嬉しくて

会えない日は少し気分が塞ぐ。

私はこの感覚を、既に知っている。

パソコンに向かう。
運命の出会いを求めて、今日も私は書いている。

「今日はここまで」と一旦離れても

ああしようかな
こうしようかな

あらゆる試行錯誤の波がきて
頭と心から彼らが離れてくれることはない。

それはまるで、恋のようだ。

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voice

voice

渦の音が聞こえる。
ゴォゴォと、それはまるでジェットコースターのような音で、暗く、地響きを伴い、だけども確かに、私の腹の底まで響いてきた。

いろんなものを受信したここ数日は、
自分が巨大なアンテナになってしまったようで
居場所が屋根裏にしかないように感じてしまったよ。
磔にされているキリストの気持ちが、今ならわかる
そうおもったことは果たして優しさだろうか。

諦めてしまった。
何を?
夢を?

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海星

海星

僕は比べて、また比べて。
そうやって 透明なこたえあわせをしたがって、
それが、究極の自傷行為ということに、
気付いては、いるんだと思う、のに、
けれども殺気を放つほどの繊細さに
もう何も勝てる気がしないのは何故か。

絶望と希望を、まるで双子の姉妹のように愛おしむ。
今日をうまく生きられない脆弱者が、
未来の心配をするとは何様だろう。

最下位になったもんだな。
見事すぎるね。
僕が1位になれる

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もしも私が死んだら。

もしも私が死んだら。

もしも私が死んだら
きっと私は、笑うだろう。

もしも私が死んだら、
あの人は泣くのだろうか?
いいえ、
死んだ事さえ
きっと5年後に知るのです。
風さえも頼りにならないほど
ほんの些細な、そうそれはまるで、
溶けていく飴細工を、固めて、
不細工な琥珀のようにしてしまうくらいの
時間と魔術をもって

意外ですか?
それもある意味 縁なのだ。

もしも私が死んだら、
病んでいたもんねと、きっと尾鰭を

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『ドライヤー』

『ドライヤー』

そろそろ人間にも自動洗浄機能が備わってくれたらいいのにと、狭いユニットバスでシャンプーを洗い流すたびに思う。
ガソリンスタンドなんかに行くと、車を少し前に進めるだけで洗剤からなんから出てきてきづいたら洗い終わってておまけに乾燥までしてくれる、なんて超絶神がかったシステムがある。あれが銭湯とかにあればいいのに。もしかしたらあたしが知らんだけで、世界のどこかにはあるんかな。大人になっても世の中は知らな

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詩『祝祭』

詩『祝祭』

そうだ、きみの人生はね、きみだけのもの。

この言葉、もう何度聞いた?

わかっては、いるよ。ぼくの人生、ぼくだけのものだ。それはわかる。物理的にも哲学的にも、はたまた道徳的にも、うん。ぼくの人生はぼくだけのもの。そりゃそうだろうね。そうだろうよとしかいえないよ。

でもぼく、きみと生きていて
きみがよろこぶ顔がみたい
ぼくがいままできみに
がまんさせて出来なかったこと
今のきみなら、出来るだろう

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『哲学者の遺言』

『哲学者の遺言』

僕はずっと、きみのことを放置してしまっていた。

そのことに気付いた頃には、きみはそっぽ向いて機嫌を損ねてしまっていた。
当たり前だよな、人は大事にしてくれた人のことしか大事にしないように出来ている。

「ゴメンね、気付かなくて」

『どうでもいいけどさ、あんた気付くの遅すぎ』

「そうなんだよ。僕はいつだってそうなんだ」

『なんで気付かなかったか、わかる? あたしはずっと伝えてたのに』

「気

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