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創るひとを眺めているのが好き。 ここでは、日記・考えごとの類や、作品の紹介・感想文などを綴っています。 Bluesky:https://bsky.app/profile/vchigiv.bsky.social

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記事一覧

志馬なにがし『夜が明けたら朝が来る』(8/18読了)

当たり前が崩れた日々に戸惑う彼女が、必死に駆けた先で迎える朝の鮮やかさが忘れられない。 異なる県ながら海峡を挟み近くに位置する福岡県門司港と山口県下関を舞台に、…

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6日前
2

美味しいものに心も動く

chigi
7日前
2
+1

パンフレットも作品のうち

chigi
12日前
6

読書:レイチェル・ジョイス『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』(8/4読了)

身体の奥底から揺さぶられ、震わされるこの感覚は何だろう。 かつての同僚から末期癌の知らせを受けた65歳のハロルド。返事を投函しに行くも躊躇した末、彼はこのまま歩い…

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2週間前
4

この時間になってさえ、空には赤みが、黄金が、名残惜しく溶けていて
影と化した木々を、家々を、世界を、やわらかに包み込んでいる

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3週間前
6

朝から激しく照り付ける太陽に、わたしは旅人じゃないし北風はとうに去ったと言ってやりたい気持ちになる
肌を焼く陽射しの強さが応えて、かえって長袖にしたり上着を羽織ったりするのだ

夜、少し熱めのお湯で汗を流すのは気持ちがいいし、暑さの和らいだ外で風に当たるのも心地がよい

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3週間前
3

映画『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』(7/14鑑賞)

照らす光のやわらかな煌めきが忘れがたい。 かつての同僚から、ホスピスに入院中で別れを告げる内容の手紙を受け取ったハロルド。返事を投函するつもりが、このまま歩いて…

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1か月前
3
+2

今日のおでかけ

chigi
1か月前
3

読書:神岡鳥乃『空冥の竜騎』(7/10読了)

深い絶望の底から飛び立ち、駆けてゆく姿に惹かれた。 感覚を同期させた《竜》に乗り、空を戦場とする兵士が本格導入された世界大戦の終結から数年。エースパイロットのロ…

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1か月前
5

映画『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』(7/5鑑賞)

なんて忘れがたい、かけがえのないクリスマスだろう。 舞台は1970年アメリカ、全寮制の名門校。クリスマス休暇に帰れない生徒と、嫌われ者の古代史教師、息子を戦争で亡く…

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1か月前
5

青さを残したまま暗くなってゆく空に、夕の淡い赤を帯びる雲が浮かぶ中を、まっすぐ横切る飛行機の尾があまりに眩く鮮やかだった
そんな七時すぎの光景に、夏を感じた今日のこと

chigi
1か月前
3

こう……
それを“知らない”ということ自体を知らないでいること
“分かっていない”ということ自体を分かっていないこと
“見えていない”ということ自体が見えていないこと
等々がきっと膨大にあるのだろうと思えて
口を開く寸前、文字を打つその時に、何か押しとどめる力となって襲ってくる

chigi
2か月前
3
+2

今日のおでかけ

chigi
2か月前
5

あちこちで田植えがされて、空を映す水面に若く鮮やかな緑がとても眩しい
ときおり佇む鳥の白がまた映えるのだよなあ

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2か月前
3

書店で本を買ったら計2,222円で、なんだか嬉しい

chigi
2か月前
6

映画『告白 コンフェッション』(6/1鑑賞)

天候以上に荒れ狂う両者の関係、攻防に呑まれた。 雪山で遭難した親友二人。負傷し死を覚悟したジヨンは、16年前の山岳部で起きた事故が自らの殺人だったと浅井に告白。だ…

chigi
2か月前
3

志馬なにがし『夜が明けたら朝が来る』(8/18読了)

当たり前が崩れた日々に戸惑う彼女が、必死に駆けた先で迎える朝の鮮やかさが忘れられない。
異なる県ながら海峡を挟み近くに位置する福岡県門司港と山口県下関を舞台に、子の取り違えが発覚した二家族の葛藤や再構築を描く。

主人公のアサは、門司港に住み、下関の学校に通う高校生。歌の配信等をする同世代の「Yoru」を推しています。
でもある日、自身が出生時に取り違えられ、本当の両親が下関にいることが発覚してし

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読書:レイチェル・ジョイス『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』(8/4読了)

身体の奥底から揺さぶられ、震わされるこの感覚は何だろう。
かつての同僚から末期癌の知らせを受けた65歳のハロルド。返事を投函しに行くも躊躇した末、彼はこのまま歩いて会いにいくことを決断する。

まず驚かされるのは、ハロルドの目に映るものの鮮やかさ、みずみずしさ。風景の美しさも勿論あるのだけれど、自らの足で歩むことで出会うはじめて、知る事柄の諸々が眩いんですよ。いま人生を歩み出したというような、好奇

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この時間になってさえ、空には赤みが、黄金が、名残惜しく溶けていて
影と化した木々を、家々を、世界を、やわらかに包み込んでいる

朝から激しく照り付ける太陽に、わたしは旅人じゃないし北風はとうに去ったと言ってやりたい気持ちになる
肌を焼く陽射しの強さが応えて、かえって長袖にしたり上着を羽織ったりするのだ

夜、少し熱めのお湯で汗を流すのは気持ちがいいし、暑さの和らいだ外で風に当たるのも心地がよい

映画『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』(7/14鑑賞)

映画『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』(7/14鑑賞)

照らす光のやわらかな煌めきが忘れがたい。
かつての同僚から、ホスピスに入院中で別れを告げる内容の手紙を受け取ったハロルド。返事を投函するつもりが、このまま歩いて会いにいくことに。その距離800キロメートル!

最初は身勝手にすら感じたんです。十分な装備も計画もなく歩き出し、妻に知らせたのは後のこと。夫に連絡がつかず気を揉む妻が、怒りを募らせるのも当然だろうと。
ただ、「君は死なない、死なせない」と

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読書:神岡鳥乃『空冥の竜騎』(7/10読了)

深い絶望の底から飛び立ち、駆けてゆく姿に惹かれた。
感覚を同期させた《竜》に乗り、空を戦場とする兵士が本格導入された世界大戦の終結から数年。エースパイロットのロナードは、任務の失敗から士官学校へ左遷されてしまう。

仲間を死なせ、生き残ってしまった罪悪感。大戦後の急激な世界の変化についていけぬ疎外感。取り残されたロナードは居場所を失い、死に場所を求めているんです。空に。
その広さを高く速く駆ける印

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映画『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』(7/5鑑賞)

映画『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』(7/5鑑賞)

なんて忘れがたい、かけがえのないクリスマスだろう。
舞台は1970年アメリカ、全寮制の名門校。クリスマス休暇に帰れない生徒と、嫌われ者の古代史教師、息子を戦争で亡くした料理長が、約二週間を共に過ごす。

反発や衝突はしょっちゅう。特に生徒は望んで残ったわけではなく、抱える不満は大きい。
けれど徐々に、彼らは繋がっていく。各々の抱える事情や心情を窺い知り、“我々だけの話”を交わし、背中を押す。

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青さを残したまま暗くなってゆく空に、夕の淡い赤を帯びる雲が浮かぶ中を、まっすぐ横切る飛行機の尾があまりに眩く鮮やかだった
そんな七時すぎの光景に、夏を感じた今日のこと

こう……
それを“知らない”ということ自体を知らないでいること
“分かっていない”ということ自体を分かっていないこと
“見えていない”ということ自体が見えていないこと
等々がきっと膨大にあるのだろうと思えて
口を開く寸前、文字を打つその時に、何か押しとどめる力となって襲ってくる

あちこちで田植えがされて、空を映す水面に若く鮮やかな緑がとても眩しい
ときおり佇む鳥の白がまた映えるのだよなあ

書店で本を買ったら計2,222円で、なんだか嬉しい

映画『告白 コンフェッション』(6/1鑑賞)

映画『告白 コンフェッション』(6/1鑑賞)

天候以上に荒れ狂う両者の関係、攻防に呑まれた。
雪山で遭難した親友二人。負傷し死を覚悟したジヨンは、16年前の山岳部で起きた事故が自らの殺人だったと浅井に告白。だが山小屋へ避難できた彼らは、気まずい一夜を過ごすことに。

最初は静謐な緊迫感が流れるんですよ。殺人の“告白”を聞いてしまった/言ってしまったことで、今まで通りには振る舞えない。
片方だけが重い秘密を知るアンバランスさ。しかし浅井は差し出

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