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同人誌紹介:睦月ネロ『カラフルな日々』(5/23読了)
睦月ネロさん(https://note.com/mutukinero/)の短編集『カラフルな日々』読み終わりました。#文学フリマ東京38 の新刊です。 夫の遺品、母に押し付けられる服、忙しさに片…
映画『告白 コンフェッション』(6/1鑑賞)
天候以上に荒れ狂う両者の関係、攻防に呑まれた。
雪山で遭難した親友二人。負傷し死を覚悟したジヨンは、16年前の山岳部で起きた事故が自らの殺人だったと浅井に告白。だが山小屋へ避難できた彼らは、気まずい一夜を過ごすことに。
最初は静謐な緊迫感が流れるんですよ。殺人の“告白”を聞いてしまった/言ってしまったことで、今まで通りには振る舞えない。
片方だけが重い秘密を知るアンバランスさ。しかし浅井は差し出
同人誌紹介:睦月ネロ『カラフルな日々』(5/23読了)
睦月ネロさん(https://note.com/mutukinero/)の短編集『カラフルな日々』読み終わりました。#文学フリマ東京38 の新刊です。
夫の遺品、母に押し付けられる服、忙しさに片付けもままならない部屋、実家の押し入れ。
短編それぞれの主人公が向き合うのはそうした物の詰まった場所であり、それらと結びつく想いや相手、記憶や関係なんです。
胸のわだかまりや人間関係のこじれを抱えて、思
読書:にのまえあきら『無貌の君へ、白紙の僕より』(4/29読了)
見ること、描くことが形作ってゆく彼らに惹かれた。
復讐を手伝ってくれませんか――人前で目を開けられないさやかの望みは、人物画を完成させること。被写体を頼まれたのはかつて共に絵画を学び、今は筆を置く優希だった。
六年越しに再会し、一から関係を築く優希とさやか。打ち解けてゆく一方、絵のほうは芳しくなくて。
それだけ、深く深く心に根差す傷があるんです。見ること、描くことを阻む要因が。
心が目を逸らして
読書:張國立『炒飯狙撃手』(4/25読了)
これは面白かった!
イタリアで台湾の高官を射殺したスナイパー・小艾と、台湾で複数の殺人事件を追う定年間近の刑事・老伍。各々の視点で綴られる物語はやがて絡まり、巨大な陰謀を描き出すんです。
https://www.harpercollins.co.jp/hc/books/detail/15416
まず暗殺が実行されるまでの描写に、とても引き込まれた。
そして襲われ、追われる身となった小艾がヨーロ
映画『RED SHOES/レッド・シューズ』(4/7鑑賞)
喪失さえも己として、舞台に咲く彼女に魅了された。
プリマとして「赤い靴」の舞台に立つ間際、姉の訃報を知って踊れなくなってしまったサム。バレエから遠のき自堕落な生活を送る彼女に、再びバレエとの関わりが生まれる。
憧れ愛した姉を喪った悲しみだけでなく、自分のせいではという罪悪感や、舞台を台無しにした責任感がサムを縛っている。何より、姉に及ばないことを突きつけられて。
“アニーはここにいない! 私
読書:澤村御影『准教授・高槻彰良の推察10』(4/3読了)
高槻の過去を思わせるような状況の事件、驚いたのは飯沼の様子でした。専門の芸能ゴシップでもないのに、高槻を頼ってまで知りたがる理由。こういう顔もするんだと、こんな思いを抱いていたのだと、感じ入るものがあった。
高槻が見舞われる事態――思わず踏み入ることになった場所も、あわやの危機も、心が冷える思いで。何より、彼自身は知らない、尚哉がもっとも近づいているモノにぞわりとする。
けれど尚哉の決心と行動に