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【詩】

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日常の呟きとか頭の中とか……
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#エッセイ

📖【詩230】一瞬の奇跡(切ないVer.) 927

📖【詩230】一瞬の奇跡(切ないVer.) 927

月に二回だけ通る国道は
かつてほんの一瞬だけ恋をした
その人が住む街に通じていて
こんな場所にいるわけないのに
色に車種にナンバーに
目を凝らすのがバカみたい
伸び上がって手を振って
気づいた車が停まったら
手なんか振らないけれど
気づくわけなんかないけれど
びっくりしたって笑顔で言う
一番可愛い声で言ってやる
それでも何も始まらない
第二章には続かない
元気そうで良かったよ
幸せそうで良かったよ

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📖【詩229】一瞬の奇跡(お別れVer.) 926

📖【詩229】一瞬の奇跡(お別れVer.) 926

私が歩くこの道を
あなたの車が通ったら
息が止まるほど驚くわ
あなたの視線のその先に
私の姿があったなら
気づいてなくても振り向くわ
隣に座るその女性が
気づかないでいるうちに
目を逸らすから大丈夫
1秒早く歩いていれば
見交わすことなく済んだのに
絡めて離れた指先を
繋ぐことはもうないわ
一瞬言葉を飲み込めば
糸はもつれなかったけど
我慢は体に良くないわ
嘘は心に良くないわ
出会いは奇跡だったの

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📖【詩228】一瞬の奇跡(伝わらないVer.) 925

📖【詩228】一瞬の奇跡(伝わらないVer.) 925


繋がれた手には理由があって
その体温が心を揺さぶって
眠っていた気持ちが起こされて
そんなつもりじゃなかったのに?
慰めるつもりだったのに?
見守るつもりだったのに?
私の役目には終わりがあって
そろそろだろうと感じて
もういいよと伝えたくて
なかったことにすればいいよ
忘れてしまえばいいよ
思い出さなくていいよ
見えない糸を断ち切って
何もなかったふりをして
元のふたりに戻って
ふりではだめな

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📖【詩227】食洗機 910

📖【詩227】食洗機 910

夜中に使った食器とお箸
修が置きっ放しにするから
朝、私が慌てて洗う
修が直ぐに使いそうだから
カウンターの上に出しておく
修が私の前で洗い直す
いつもはそのまま使うのに?
黙ってるから理由は判らない
自分で洗うなら
私が洗う必要はないわね
嫌な気分
争うのは嫌いなの
いつもなら黙っておく
言われたら嫌でしょ
機嫌を損ねたくないし
機嫌を取るのは疲れる
でもね怒ってやる
嫌な気分だって言ってやる

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📖【詩226】あう 897

📖【詩226】あう 897

ご縁、出逢い、始まり、繋がり
別れ、終わり、巡り
ほんの1秒違えば
出遭うことのない
人、物、状況
人生の、運命の、妙を感じます
だからこそ
その一瞬が貴重です
生きることは
ときに辛く難しい
起きること
出会う人
目にすること
耳にすること
手にする物やこと
きっとそれは必然
離れてもなお
忘れられないのだとしたら
その想いは
なんて幸せな足跡
ただそれだけ
これからも
#詩 #あう #会う

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📖【詩224】秘密 883

📖【詩224】秘密 883

どうして打ち明けてくれたの
驚きと嬉しさとほんの少しの背徳感
もう増えることはないけれど
誰にも話したことはありません
決して話すことはありません
#詩 #五行詩 #秘密

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自分のことは散々っぱら書いているけれど、意外と?口は固い。
「言わないで」と言われたら、言わない。
言われなくても「言わない方がいいだろう」と判断したら言わない。
それは公私を問わない。

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📖【詩222】プレパラート 868

📖【詩222】プレパラート 868

慎重に
怖がるほどに
ゆっくりと
ほんの少しずつ
やさしく縮めれば
良かったのに
近づきすぎても
気がつかない
とどまり時が
わからない
急ぐことなんて
なかったのに
壊れるときは
音もたたない
指先に残る
嫌な感触
レンズだって
傷ついてる

※ここでいう「プレパラート」とは、スライドガラスに試料を載せてカバーガラス(非常に薄く割れやすい)で覆い、顕微鏡観察で鏡視できるようにしたもののことです

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📖【詩221】僕じゃなくても 862

📖【詩221】僕じゃなくても 862

君の隣
寄り添っていた気配
急に感じなくなったんだ
嬉しくなるかと思ったのに
不安でたまらないのは
何故なんだ
寂しくないかい
苦しくないかい
泣いてないかい
眠れているかい
ご飯は食べてるかい
君の心
満たせるのは僕じゃない
君の隣
ふさわしいのは僕じゃない
君の幸せ
取り戻せるのは僕じゃない
君の落胆
君の涙
君の声
君の夢
君の未来
願わせてよ君のこと
離れたここからで
いいからさ
僕を見な

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📖【詩218】ささやかな 841

📖【詩218】ささやかな 841

ともに歩んで行けそうな
小さな誓いがほしいのよ
蟠りには蓋をして
明日も信じていたいから
抱擁も悪くはないんだけど
#創作ですけどね #誓いは言葉とか約束くらいの意味

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どうにもタイトルが気になって仕方がない。
#藤原華 様のこちらの記事を拝読して以来、それはずーっと続いている。

今まで全然気にならなかった訳ではない。
何なら書店や図書館の書架で目に入る

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📖【詩216】おくれげ 824

📖【詩216】おくれげ 824

容赦ない陽射し
額にはりつく前髪
先端から滴る雫
幼なげに見えたり
アオハルを感じたり
色気を漂わせたり
疲れが滲んだり
小汚く見せもする
幾つになっても
私は私
生きているだけ

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ヘッダー画像は丁髷アップで寛ぐ由美(仮名、長女)。
襟足の後れ毛を載せようとすると目が写ってしまうので、額の後れ毛だけ。

いつの間にやら、顔周りの髪も「後れ毛」って言うのね。

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