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2022年8月の記事一覧

夢で 会いたい ❲詩❳

夢で 会いたい ❲詩❳

母さんに会いたい、と思うと
夢に出てくるんだね

昨夜は夏なのに
母さん、きりたんぽ鍋を作ってたね
ちょっとしょっぱい醤油味で
きりたんぽは、もちもちしていて
いつもの母さんの味だったよ
父さんはいつものように
日本酒を飲みながら食べてたね

母さんが生きているうちに
もっと、もっと食べたかったよ
私には、母さんの味は再現できないよ

母さん、もっと夢に出てきていいんだよ
遠慮しないでね
すごく会

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花火 ❲詩❳

花火 ❲詩❳

ドン! と、小気味良い低音が
夏の夜空に、こだまする
しゅるしゅるという音が天に向けて上昇し
漆黒の闇の彼方に、パッ!と大輪の花が咲く
瞬きするのさえ惜しむように
目を見開く
この世の美を集結させたかのような
そのきらびやかな姿を
息絶えるまでの瞬時の様子を
じっと見届ける

赤、緋、橙色の花弁は思い思いの方向に咲き乱れ
目もあやに夜空を焦がし、瞬き
極限まで広がると
次第に花弁が重みに耐えかねる

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心なんか いらない(詩)

心なんか いらない(詩)

宇宙が生まれた時
意味などなかった

幾つもの銀河が生まれ
地球が生まれた時も
意味などなかった
ただ、地球があるということだけ

人類が生まれ
言葉を話し始め
やがて、意味が生じ
地球上が、様々な意味で溢れ出す
そして、人類は喜怒哀楽に翻弄される
今や、地球上は悲しみに満ちている

私の心も悲しみに満ちている
心なんか、感情なんかいらない
湧き上がる悲しみなんかいらない
心を持たないものに なり

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❲詩❳ あなたに 誓う

❲詩❳ あなたに 誓う

あなたから届いた
「愛してる」 のメール
あなたの想いが込められた活字
キラリと輝いた
愛おしさが募る

だけど便りは途絶え、それっきり
月日だけが無情にも過ぎ去っていく

あなたからの最後のメールは
未だに保存している

あなたの安否を知る術はないのに
メールの文字は
あなたの生を象徴している錯覚に囚われる

時に、思う
巡り逢ったのが、遅すぎたの?
でも、それは悲しむべきことではない
なぜなら

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