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芸術一般

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芸術について、なんでも書きます。はじめはヨーロッパ絵画をかなり題材にしていましたが、現在は映画評論・芸術論・文学論などが多くなっています。
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#自由律俳句

自由律俳句(その九)『日々唯不死』

自由律俳句(その九)『日々唯不死』

無心如意(無の心を意の如くに)

〇 2023年12月、古い都営住宅をとり壊した後の更地を囲む、冷たい無機質の金属フェンスの下から、たぶん昔の住人が植えていたと思われる、紫の朝顔が花を咲かせていた。

道端に咲く朝顔に 住んでいる人の顔が見えた

瓦礫に佇む重機は 古の恐竜のように咆哮している

古いから壊す 新しく作ったものに心は住めない

〇 2023年12月、銀座の「ガスト」で飲み、さらに有

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自由律俳句(その8)

自由律俳句(その8)

〇 2023年9月27日。酷暑の夏が終わり、久々に公園を散策する。季節的に花は少ないが、曇天の中に見える太陽が力強い。そして、トンボが飛び、鈴虫が草の中で音楽を奏でる。ふと見ると、大木の下に草花の芽が大きく出ていた。私もようやく芽が出るのか?散歩をすると、詩作が浮かぶ。不思議だ。

腰が伸びない私を 傍で見守るトンボよ お前よりは長生きしているぞ

無視すれば近寄り 探せば逃げるトンボ お前の名は

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自由律俳句(その6)

自由律俳句(その6)

〇 6月7日 雨が続いたため、久しぶりに公園に行く。雨上がりのせいか、鳥の声が沢山聞こえる。

公園で迎えてくれる かまびすしい鳥の声 私はまだ死んでないよ

いつの間にか逃げなくなった鳥たちよ やっと友になれたのか

草むら入り 足を掻く そこにも命が生きていた

〇 6月12日午後3時 霧雨の中を近所のスーパーへ買い物に行く。下校途中の小学校低学年が沢山歩いている。

先になり後になり でも私

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自由律俳句(その5)

自由律俳句(その5)

(掲題の画像は、2020年1月末のニース海岸の朝焼け。冬の地中海は暖かく、穏やかだ。)

〇2023年4月10日、葉桜の季節になったが、空は快晴。私の好きな雲はまったくない。公園の散歩が心地よい。

排気ガス 木ひとつへだてて 鳥の声

どこに行ったと雲に聞けば 自分の心に聞けという声が聞こえる

草花が話しかける この道は終わりなし

〇2023年4月20日、スギ花粉が終わり、ヒノキ花粉も少しと

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<書評>『定本 種田山頭火句集』

<書評>『定本 種田山頭火句集』

『定本 種田山頭火句集』 彌生書房 1971(昭和46)年初版 (購入は、1980年頃か?)

俳人の種田山頭火の経歴等については、私はあまり詳しくないので、以下のウィキペディアを参照願います。

 私が、物質的(貧窮)にも精神的(自分自身が見えない)にも苦悩していた、19~20歳の頃、なにか「救い」を求めて、この山頭火の句集を買い求めたが、当然のことながら、そこには「救い」はなく、むしろさらに気

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<閑話休題>自由律俳句(その4)

<閑話休題>自由律俳句(その4)

〇春の陽気に誘われ、安田庭園を散策し、近くでビールをたらふく飲む。

おーい白鷺よ 私にも豊穣を分けてくれ

古池と松の木とスカイツリー お江戸の艶姿

飲んでいるあいだだけの 相撲取りかな

憂き世を忘れ 家計を忘れ 自分も忘れてしまったさ

〇2023年3月11日、ルーマニアから苦労の末帰国して、早や一年が経った。
そして、冬の毛布を取り、布団と夏掛けだけで寝る。

春来る 布団の冷たさが 心

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<閑話休題>自由律俳句(その3)

<閑話休題>自由律俳句(その3)

 最近、自由律俳句作りにはまっていて、肝心の(?)短編小説作りが停滞している。また、noteで#自由律俳句というのがあるため、投稿する目的(愉しみ)もあり、しばらくは続くかも知れません。そういうわけで、3回目の投稿になります。

〇妹の三回忌に出る。

むずかしく 遠くにあるは ふつうに生きること

最後は自分か わずらわしき 冠婚葬祭

明日を忘れて 今日だけで 生きていたい

迷惑を かけたか

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<閑話休題>自由律俳句をやってみた(その2)

<閑話休題>自由律俳句をやってみた(その2)

 朝ドラの登場人物が短歌の文学賞を受賞したので、私もそれにあやかって、前回に続く山頭火を真似た自由律俳句です。今回は、作った背景も併せて記載しました(〇以下の短文)。

〇雨が降り、夜には雪になる模様。

 小雨降る 白き花咲き 春近し

〇我が家の包丁とハサミを研ぐ。

 包丁と 研ぐのは同じ こころかな

〇隔週の母独り暮らしの実家訪問。

 カラス鳴いて アンテナに立つ 我も一人

 お出迎

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<閑話休題>自由律俳句をやってみた(気分は山頭火)

<閑話休題>自由律俳句をやってみた(気分は山頭火)

 朝ドラの登場人物が短歌を作って、新聞に掲載されていた。私は短歌を作らないが、種田山頭火が好きなので、自由律俳句を作ることがある。

 今回、noteで「自由律俳句」というお題コンテストをやっているので、最近書いたものを投稿してみた。

エレベーター 子供走りきて ボタン押す

店員が ずっとつきそって セルフレジ

北風が こころをあらう 秋の空

空青く 肌に冷気が 心地よく

気がつけば 鳥

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