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Cultural studies Taiwan

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Cultural studies Taiwan

マガジン

  • 台湾大学院での学び

    台湾師範大学にて台湾文化を学んでいます。その学びを少しずつ

記事一覧

Taiwan studyがどのように自国の問題に接続できるか、植民地文学を通して考える

M1春期セメスターも、はや終わりが見えてきました。今期とった授業は2個のみでしたが、語学学校の授業も入れていたので、ぼちぼち忙しめでした。 春期セメスターの前半で…

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1か月前
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台湾文化を学ぶこと。大学院前期を終えての所感と二二八事件

台湾での大学院、一年前期が終わり後期が始まりました。 前期は4つも授業を取ってしまい、一つ一つの主題を深めることがちゃんとできなかったと反省。今期は2つに絞って、…

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3か月前
12

PERFECT DAYS 東京の<いま>物語

ヴィム・ウェンダースの最新作「PERFECT DAYS」は、東京を舞台とし、TTT(THE TOKYO TOILET)プロジェクトの一環として制作されている。都内を歩いていると突如現れる、あ…

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4か月前
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フードスタディーズの視点で見る、日本人の母性

今回は台湾飲食文化の授業で触れた、フードスタディーズ、さらにフードスタディーズ観点で見る日本人の母性やイデオロギーについて考えたので、書き留めておこうと思います…

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5か月前
12

辛奇と大島渚の描く「性」 

この半年、大学院での授業を通して台湾語映画を数本鑑賞しました。そしたら、大島渚「青春残酷物語」と、「愛ってなんや」という主題に行きついてしまったので、振り返りも…

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6か月前
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吳明益『自転車泥棒』 世界文学としての台湾文学と人新世[アントロポセン]

大学院の特別講義で、台湾におけるネイチャーライティングの講義があり、その予習として吳明益『自転車泥棒』を読みました。その読書感想文と、講義で感じたことなどをメモ…

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7か月前
4

シューマッハカレッジにて

7月の一週間、イギリスはトットネスのシューマッハカレッジにて、夏のショートコースに参加してきました。 シューマッハカレッジとは シューマッハの小さな校舎、食べる…

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10か月前
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羅東の茶園で茶摘みの旅

台湾は宜蘭縣羅東にある、正福製茶さんを訪ねました。 正福製茶さんは宜蘭縣にある有機農法の茶園さんです。オーナーの正福さんは4代目で、Uターンで家業を継ぎ、有機農法…

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1年前
4

ルカイ族の集落 神山と霧台部落へ

台湾に住んで3ヶ月。南で滞在できるタイミングがあったので、原住民の部落にお邪魔しました。 高雄から鉄道とバスを乗り継いで約二時間。中央山脈のかなり深い所に位置す…

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1年前
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シンガポールから帰りました

夫の仕事の都合で2019年12月〜2021年12月までの丸2年、常夏シンガポールで暮らしました。コロナ禍真っ只中をシンガポールで過ごしたため、本来の南国リゾートパリピ暮らし…

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2年前
5

Weのがっこう Program03 わたしと人工物・モノ

3回目のモジュール、「わたしと人工物・モノ」に参加しました。 今回は、アイヌのアミニズムな世界観と、わたしたちとモノとのウェルビーイングについて考えました。 私…

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2年前

Weのがっこう Program02 わたしと自然・生きもの

今、Weのがっこうというプログラムに参加しています。 Weのがっこうとは、Deep Care Labさんが運営されているプログラムで、「気候危機の時代、"わたしたち"の射程をひろ…

yasuhakuroki
2年前
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Taiwan studyがどのように自国の問題に接続できるか、植民地文学を通して考える

Taiwan studyがどのように自国の問題に接続できるか、植民地文学を通して考える

M1春期セメスターも、はや終わりが見えてきました。今期とった授業は2個のみでしたが、語学学校の授業も入れていたので、ぼちぼち忙しめでした。

春期セメスターの前半では「Taiwan studyがどのように自国の問題に接続できるか」について、ナショナル・アイデンティティの観点から考えました。

かつての台湾と日本。宗主国と従属国という構造への問題提起は、現代における自国のさまざまなマイノリティ・グル

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台湾文化を学ぶこと。大学院前期を終えての所感と二二八事件

台湾文化を学ぶこと。大学院前期を終えての所感と二二八事件

台湾での大学院、一年前期が終わり後期が始まりました。

前期は4つも授業を取ってしまい、一つ一つの主題を深めることがちゃんとできなかったと反省。今期は2つに絞って、授業ごとの主題についてじっくり考えていけたらと思います。

後期にとった授業のうちの一つは「カルチュアル・アイデンティティとナショナリズム」ということで、この半期で感じたこと、さらに第一回目の講義の主題、「台湾における集団記憶」について

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PERFECT DAYS 東京の<いま>物語

PERFECT DAYS 東京の<いま>物語

ヴィム・ウェンダースの最新作「PERFECT DAYS」は、東京を舞台とし、TTT(THE TOKYO TOILET)プロジェクトの一環として制作されている。都内を歩いていると突如現れる、あのオシャレなトイレです。

役所広司さんが演じるのは、東京の公共トイレを掃除する清掃員の平山。淡々と繰り返される彼のルーティーンは、質素かつ文化的な理想の下町生活であり、一種のファンタジーのようでもある。

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フードスタディーズの視点で見る、日本人の母性

フードスタディーズの視点で見る、日本人の母性

今回は台湾飲食文化の授業で触れた、フードスタディーズ、さらにフードスタディーズ観点で見る日本人の母性やイデオロギーについて考えたので、書き留めておこうと思います。

フードスタディーズ Food studies とはフードスタディーズは、簡単に言うと食文化という軸でさまざまな分野からアプローチしていく学術分野です。栄養学や農業のような分野とは異なり、食文化を通してジェンダーや人種、社会問題などに踏

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辛奇と大島渚の描く「性」 

辛奇と大島渚の描く「性」 

この半年、大学院での授業を通して台湾語映画を数本鑑賞しました。そしたら、大島渚「青春残酷物語」と、「愛ってなんや」という主題に行きついてしまったので、振り返りも兼ねて、台湾語映画と日本映画の邂逅、映画の感想、そして辛奇と大島渚の両者が描く「性」についてnoteに書き残しておこうかなと思います。

台湾語映画の定義Taiwan Film and Audiovisual Institute(国立映画視

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吳明益『自転車泥棒』 世界文学としての台湾文学と人新世[アントロポセン]

吳明益『自転車泥棒』 世界文学としての台湾文学と人新世[アントロポセン]

大学院の特別講義で、台湾におけるネイチャーライティングの講義があり、その予習として吳明益『自転車泥棒』を読みました。その読書感想文と、講義で感じたことなどをメモしておきます。

感想文台湾でかつて製造されていた幸福自転車。台湾の複雑な時代背景の中で、自転車をはじめあらゆるの物質や動物が、さまざまな角度で対比され、ストーリーに組み込まれています。

台湾文学の中で切り離せないのが日本統治時代(植民地

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シューマッハカレッジにて

シューマッハカレッジにて

7月の一週間、イギリスはトットネスのシューマッハカレッジにて、夏のショートコースに参加してきました。

シューマッハカレッジとは

シューマッハの小さな校舎、食べるご飯、Totnesの自然、参加者と過ごした時間、すべてが素晴らしく、なんだか夢の中にいたような、きっと一生忘れないだろう素晴らしい一週間になりました。

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人が集まるところに、自然に歌が生まれる。談話室で、みんなでHeal

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羅東の茶園で茶摘みの旅

羅東の茶園で茶摘みの旅

台湾は宜蘭縣羅東にある、正福製茶さんを訪ねました。

正福製茶さんは宜蘭縣にある有機農法の茶園さんです。オーナーの正福さんは4代目で、Uターンで家業を継ぎ、有機農法でのお茶作りを始めたそう。茶園オフィスの壁は勲章で覆われていて圧巻。

まずは正福さんが茶園について丁寧に説明してくれました。茶樹ごとに形と味が異なることを知り、新芽をかじってそれぞれの味のテイスティングを楽しみました。

今回私たちが

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ルカイ族の集落 神山と霧台部落へ

ルカイ族の集落 神山と霧台部落へ

台湾に住んで3ヶ月。南で滞在できるタイミングがあったので、原住民の部落にお邪魔しました。

高雄から鉄道とバスを乗り継いで約二時間。中央山脈のかなり深い所に位置する神山部落に一泊の滞在です。

愛玉子の種から作られた台湾デザートのオーギョーチ。ここにも粟が入ってます。

台湾のいくつかの部族は、粟の収穫祭(小米祭)があり、粟は大事な主食の一つだそう。部落には粟を発酵させた伝統のにごり酒や、パン工房

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シンガポールから帰りました

シンガポールから帰りました

夫の仕事の都合で2019年12月〜2021年12月までの丸2年、常夏シンガポールで暮らしました。コロナ禍真っ只中をシンガポールで過ごしたため、本来の南国リゾートパリピ暮らしを存分に味わえなかったけど、これからシンガポールへ行く人・もしまたシンガポールに住むならやりたいことリストを、この2年の生活の総まとめとして記録しておこうと思います。

1. ホーカー飯
シンガポールといえば、ホーカー飯!202

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Weのがっこう Program03 わたしと人工物・モノ

Weのがっこう Program03 わたしと人工物・モノ

3回目のモジュール、「わたしと人工物・モノ」に参加しました。

今回は、アイヌのアミニズムな世界観と、わたしたちとモノとのウェルビーイングについて考えました。

私たちの生きる現代の環境はモノ・人工物で溢れています。

人間が生み出した人工物の総量が約1兆1,000億トンに達し、地球上の生物の量を上回ったとみられるという研究結果が、このほど発表された。このままのペースでは、20年後には人工物量が生

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Weのがっこう Program02 わたしと自然・生きもの

Weのがっこう Program02 わたしと自然・生きもの

今、Weのがっこうというプログラムに参加しています。

Weのがっこうとは、Deep Care Labさんが運営されているプログラムで、「気候危機の時代、"わたしたち"の射程をひろげ、わたしのあり方に向き合う場」として、さまざまなワークショップや対話を通して、わたしたちのウェルビーイングを探究するオンラインのラーニング・プログラムです。

2019年にパンデミックが起こり、生活が変わる中で、私自身

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