見出し画像

Weのがっこう Program02 わたしと自然・生きもの

今、Weのがっこうというプログラムに参加しています。

Weのがっこうとは、Deep Care Labさんが運営されているプログラムで、「気候危機の時代、"わたしたち"の射程をひろげ、わたしのあり方に向き合う場」として、さまざまなワークショップや対話を通して、わたしたちのウェルビーイングを探究するオンラインのラーニング・プログラムです。

2019年にパンデミックが起こり、生活が変わる中で、私自身もよりWell-beingな生き方や、後の世代のことを思った生き方をしたいと考えるようになりました。その中でDeep Care Labさんの活動にとても興味を持ち、今回の参加に至りました。

さまざまな文化や考え方を通して、自分の生き方、一個人・そして企業で働くデザイナーとして社会とどう関われるかなど、ここ最近もやもや…とずっと考えていて、何か自分の中で納得できる解を探せる一つの機会になれば良いなと思っています。


今日、第一回目のモジュール「わたしと自然・生きもの」が行われました。

ゲストは現代美術家の大小島真木さん。
http://www.ohkojima.com/top.htm
https://jptca.org/interview/20201019-15864/

描くことを通じて、鳥や森、菌、鉱物、猿など異なるものたちの環世界を、自身に内在化し物語ることを追求している。作品とは、思考を少しずらしたり、視野を少し変えてみせたりすることの出来る“装置”のようなものであると考え、日々制作中。ペインティング、壁画、造形、映像などを使って表現活動を行う。
(Webサイトのプロフィールより)


屋久島の自然、インドのゴムの木を這わせた橋、震災の瓦礫の下から生える植物、インドネシアのアルクトドロ族の祈り方、コントロール不可能な自然に対しで人間が祈り続けてきたこと、なぜ陶器を使った作品を作るのか?など、自然を通して描かれたおどろおどろしい印象ながらも強い生命を感じる作品のお話をたくさん聞かせていただきました。

その中で、特に印象に残った作品とお話を数個書き留めておこうと思います。

ゴレムとウェヌス Golem and Venus

画像1

http://www.ohkojima.com/top.htmより Photo by Kenji Chiga

この作品の頭部には陶器(土)が使われているそう。そしてHumanの語源は腐食土のHumus。腐った体から新しい生命が育っていく、大月姫の神話も交えてお話いただきました。

たとえば、今回展示する《ゴレムとウェヌス》という二つの身体像のゴレムの方は、ヘブライ神話における土からつくられた生きた人形のことなんです。私はこの「土からつくられた」というところに、人間存在を重ねてみたんです。実は人間=Humanという言葉の語源は「腐植土」を意味するHumusなんですよね。腐ったもの、それこそ菌を始めとする有象無象が絡まり合う「土」から私たちはできている。あるいはHumusは「謙虚さ」を意味するHumilityという言葉の語源にもなっています。

逆卷しとね『ガイアの子どもたち』#02 不純なれ、異種混淆の怪物よ──大小島真木は《あいだ》をドローする より


このパンデミックの中で、家庭菜園を始めたり、生き物を買ったり、コンポストを始めてみたり、発酵させてみたり。周りも自分も、何か自然に還るような行動をしているなぁとふと感じることがありました。

人間との距離を保つ暮らしのなかで、僕は、人間でないものたちとの親密さを少しずつ取り戻しているのだ。

森田真央さんの僕たちはどう生きるか 言葉と思考のエコロジカルな転回の一節です。

私みたいな観葉植物の一つも満足に育てられない人間が、突然思い立って農業ボランティアに参加したりして、土に触れるのを心地よい、と思ったのは何でだろう。ずっと不思議な感覚だったんですが、もともと土を介してできた人間が、心地よさを求めて土への興味を取り戻す。これってすごく自然なことですね。


アマビエ

画像2

http://www.ohkojima.com/news.htmlより
《綻びの螺旋》 ©?2021 Maki Ohkojima Courtesy of Kadokawa Culture Museum Photo by Shin Ashikaga

みなさんご存知アマビエ。
会田誠さんなどのアーティストが、コロナ禍のアマビエをそれぞれの解釈で表現されたプロジェクトが行われています。
【コロナ時代のアマビエ】プロジェクト

この巨大な壁画には、生命が複雑に絡まり合う様が描かれています。
今回の会で「接続」というキーワードがたくさん出てきました。
他者との接続(接触?)を避けることができない私たち。意図せずとも接触してしまうウイルス。この壁画には卵子と接触する精子も描かれています。生殖も、意図せずとも接触してしまう一つの現象だなぁ、と。

自然やウイルスとの接触や生殖はコントロールできない。そういったものに対する信仰としてのアマビエ。なんだか神に祈りたい気持ちになるこのごろ…に対して、すごく納得感の持てるお話でした。


そのようなお話やワークショップ、参加者同士の対話を通して、わたしたちにとってのwell-being、少しずつ、解像度を上げていっております。
次回のアイヌ語研究者の中川裕さんのお話もとても楽しみです。


さいごに、、大小島さんご自身のプロフィールにもありますが、アーティストって、広大なインプットから、思考や視野を少し変えて、時には見えないものを見える形にして、私たちに教えてくれる人だなぁ、と。本当にリスペクトの気持ちでいっぱいです。日本に帰ったら、展示見にいこう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?