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せーかつ

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まいにちのららら。*・゚
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#今こんな気分

あなたが名前をつけるなら?

あなたが名前をつけるなら?

大学の友人たちと、久しぶりの再会。
なじみのカフェで
めいめいに好きな飲み物を注文して、
話に花を咲かせます。

そのなかで私はふと、
そんなことを尋ねました。

ひとりが、「私はね、」と話し始めました。

キラキラと楽しげに話す彼女。
洋画が好きな彼女らしい、
小粋なアイデアです。

つづいて、もうひとりが言いました。

菫やあやめ、桜に楓。
小さなことに目を向けて、心を動かせる人は
いま、それ

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帰り道の秋キャフェ

帰り道の秋キャフェ

映画を観た帰り道に
キャフェへ寄りました。

時計は十六時をまわったところ。
磨きあげられたガラスのドアを押すと
店内は、なかなか賑わっています。

私は栗のパウンドケーキと
カフェラテをお願いして
入口から離れた
店内をゆったり見渡せる席をとりました。

このお店を利用するお客さんは
テイクアウトとイートインが
半はんといった具合で、
おしゃべりに夢中の学生さんたちや
ゆったりと本を読む白髪の女

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七夕の夜、北欧ビストロ。

七夕の夜、北欧ビストロ。

家に帰ってからの楽しみがあると、
つい、帰宅の足取りが弾んでしまいます。

今夜はあいにく、
雨模様の七夕だというのに
ちっとも気にかかりません。

その訳はほかでもなく
楽しみな夜ごはん。

先週末に読んだ本、
北欧の暮らしについて書かれたその本に
興味をそそられて
“今夜はおうちで、北欧ビストロを” と
ひとり、たくらんでいるのです。



キッチンに立ち
冷蔵庫から取り出したのは
じゃがい

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読書好きなあの子への贈りもの

読書好きなあの子への贈りもの

第一子の出産を、8月に控え
里帰りをした友人へ
郵便を出しました。

同封した
“おすすめ図書のしおり”には
こんな本を載せました。

*------------------*

○ 愛のエネルギー家事

心を健やかに整える「きっかけの言葉」に出会えますように。この本には、やさしい暮らしを送るためのヒントがいっぱい。本田亮さんが描かれている挿絵は、見ているだけでほっこりしてきます。心がすこし疲れた

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六 月 の 花 と 金 平 糖

六 月 の 花 と 金 平 糖

梅雨のこの季節は
町を歩くたびに、
儚い桃色の、または淡紫や空色の花に
出会います。

こんなところにも、と驚くほど
六月の花、紫陽花は、
そこここに賑やかに咲いて
町全体に、色彩を灯してくれています。



つい先日は
とある一軒のおうちの玄関先に
鉢で育てられていた
一株の紫陽花に
思わず、ひとめぼれをしました。

ひし形の萼片が八重に重なってできた
愛らしい装飾花。
中心の、くっきりしたピ

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声 、 届けてみませんか ?

声 、 届けてみませんか ?

月曜日の通勤路。

「すみません。」
後ろの方からふと、
呼び止める声がありました。

なにかと思って振り返ると、
「〇〇病院はどこかしら。」
と、ご婦人が困り顔で立っていらっしゃいます。
どうやら
最寄りのバス停で降りたのはいいものの
そこからの道順が
分からないそうなのです。

尋ねられた行き先は
ちょうど私の職場の近く。
幸い、出勤時間までにはまだ余裕があります。
私は、同じ方向ですので、と

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桜、綿あめ、夜の風

桜、綿あめ、夜の風

薄手のワンピースに
スプリングコートを羽織って
耳元には、ロゼ色の小粒なピアスを。
いつもよりちょっとだけお洒落をして
家を出ました。

今日は、主人と、
久しぶりのデートです。

仕事終わりの彼と
本屋さんで待ち合わせしてから
ふたり、バスに乗りました。
向かう先は先日満開の報せがあった、
桜公園です。



ゆったりと
そぞろ歩く人波に合わせて
園内へ入ると、そこはもう花の路。

満開を迎え

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まいにちの 暮らしのなかに 在る言葉

まいにちの 暮らしのなかに 在る言葉

あまりにありふれた言葉なので
ふだんは
深く考えず使っているものの、

よくよく見つめてみると
その言葉の持つやさしさに
はっとすることがあります。

**

急ぎの用事のために、私は
小走りでアパートの廊下を渡り、
階段へ向かいました。

低いヒールをカツカツカツと鳴らすようにして
階段を下り終え、
勢いよく道へ出たときです。
アッ! と思いました。

目の前に、女のひとです。
こちらに向かって

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17:00  よりみちパン屋さん

17:00 よりみちパン屋さん

かるい気分転換にと
ほんのり暮れていく町を
気まかせに散歩していた時のことです。

大きな通りを折れ、
路地を少し入ったところに、ぽつんと
みかん色に灯っている窓が目に入りました。

ふつうのお家のようですが
よくよく見ると看板が立っています。
黒い板に白いチョークで書かれているのは
「本日のぱん」という文字と
英文字のメニュー。

あら、こんなところに、
隠れ家のようなパン屋さんです。

木製の

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〒 2022 - 愛読書ゆうびん

〒 2022 - 愛読書ゆうびん

こちらは、白くて大粒の雪が
降っています。
そちらはどうですか。

私はこのところ、
気にかかることが重なって
なんとなく心が落ち着きません。
どうしようと思いつつ家を出て
自然と足が向くのは、
書店や図書館。
本がある場所です。

静かな空間に
行儀よく並べられた本の中から
気になったものを手に取っているうちに
少し心が回復する。

あなたにも、
そんな経験はありますか。

今日は
私のとってお

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夕陽の部屋と秋映りんご

夕陽の部屋と秋映りんご

リビングの扉を開けると
部屋に、西日が差していました。

斜めの日差しが、
波打つレースカーテンの縦縞を通過して
ソファに、床に、光を投げています。

ワックスの効いた木目の床に
光が反射して、部屋全体が
明るい色をしています。

昼間、ついうたた寝をして
起きてみると
すっかり夕方になっていたのです。

やさしく揉みほぐしたような
夕陽のぬくもり。
手のひらで受けるとそれは
ふっくらとあたたかく

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