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教会の問題

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キリスト教会はとても居心地のよいところです。でも、満点を期待してはいけないでしょう。たくさんの問題を抱えています。とくに内側にいると見えないものを、なんとか見ようとするひねた者が…
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ごめんなさい

ごめんなさい

中3の受験生。今年はどうも、騒がしい。落ち着かない、というのか、余裕を見せたいとでも思っているのか、休み時間にも勉強をする、という生徒が少ない。まだよく分かっていない幼さのせいなのかもしれないけれど、他方、制約されないのだ、という気持ちなのか、やたら何かと喋って笑っている。
 
これまでも何度か注意を促した。だが、すべての教師が言うわけではないらしく、通じない生徒には通じない。中1や中2ならまだ分

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失言とされない公言

失言とされない公言

以前、ある原稿を依頼されたときのことである。キリスト教関係の季刊誌である。そのグループの夏の子どもキャンプの教案であった。経験のないことだったので、編集者とメールで幾度も相談しながら、励まされつつ執筆を進めた。
 
だが、あるところで編集者に、何か違和感を覚えるということで、注意を戴いた。――その聖書の内容の説明が殊更に間違っていることはないのだが、そこで例示されたことについて、実際にそれを職業と

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チームとメンバー

チームとメンバー

平野レミさんはすごい。あのまくしたてるパワーは驚異以外の何ものでもない。口から出ることには周りがハラハラさせられると思うが、その平野レミさんを、生放送に使うNHKの懐の広さにもまた驚かされる。7月15日の朝も、今年2回目だが、「平野レミの早わざレシピ」が放送されていた。
 
番組は、1時間余りの時間の中で、多くの料理を次々と作っていく、というもの。その間、休みなくレミさんのマシンガントークが炸裂す

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その事柄にかかわらせられている者だけが

その事柄にかかわらせられている者だけが

ここのところ、立派な装丁の本を読み返している。要するにハードカバーというものだ。一日に触れる本は十冊以内くらいにしているが、そのうちの一冊を、この再読本にしているのだ。せっかく、かつてそれなりの金額を払って購入したものだ。一度読んでおしまい、ではもったいない気がしたのだ。もちろん、それだけ読む価値がある、と思うからである。
 
加藤常昭先生が訳した、ドイツの先生のハードカバーをずっと読み直していた

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聖書についての語らいの場

聖書についての語らいの場

京都から福岡に、私個人としては戻ったような形になったのだが、震災の後に引っ越した。そのとき、福岡の教会については無知だった。京都で信仰が与えられたからだ。
 
実際足を踏み入れてみると、ずいぶん緩いというか、信仰に対する厳しさのようなものが感じられない風土を感じたが、初めて体験する、よいこともあった。それは、礼拝後の語り合いである。
 
否、礼拝後ではない。それは礼拝の中であった。説教の後、小グル

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Facebookだけではもったいない

Facebookだけではもったいない

Facebookに、忠実に投稿をする教会の牧師がいる。教会や自身の運営する行事の宣伝もあるし、少々おちゃらけた記事で楽しませてくれることもある。中には、きれいな花などの写真を掲げて、聖書の言葉や、それについての簡単な解説を、連日誠実にアップしている人もいる。いい記事が多い。伝道の目的であるのだと思う。聖書の言葉は、人を救うことができる。困難にある人や、道を求めている人に、光を投げかけ、立ち上がらせ

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閉鎖へ向かう教会とならないために

閉鎖へ向かう教会とならないために

キリスト教会が宗教法人として活動していくとき、この世の法律の下にあるわけで、それに従わなければならない。予算決算などの報告が必要となる。それがなければ、どんぶり勘定も可能であろうし、すべては神さまが与えてくださる、という信仰の中で伝道する人がいてもよいような気もする。昔はいたのではないだろうか。
 
ダビデ王は、国民の数を勘定して兵力を確認しようとしたが、それは神の前に大きな罪とされた。その上、そ

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知らないことに気づくために

知らないことに気づくために

坂本真綾さんのラジオ番組で聞いた。お店で瓶ビールを注文したとき、店員に「おちょこはいくつお持ちしますか?」と尋ねられたという。偶々何か言い間違えたのかと思っていたが、もちろん届いたのはジョッキであった。当の店員は、別のテーブルでも同じように言っていたそうだ。無粋だろうから敢えて説明はしないが、ビールを飲むために「お猪口」を使う人は、まずいないだろうと思う。
 
毎月テーマを決めて話題を募る番組で、

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『光かがやく未来へ』(千葉明徳・イーグレープ)

『光かがやく未来へ』(千葉明徳・イーグレープ)

本書を読み始めて、最初に言い様のない違和感に襲われた。目次はいいとして、最初に出会う文章が、「推薦のことば」であった。それが10頁もある。5人が寄せている。教会や保育園をつくったということで、大きな働きをした著者だということは分かる。だが、これほどの推薦文を冒頭に並べる本は、ちょっと記憶にない。
 
「はじめに」は「死刑囚からの手紙」であった。すでに回心した死刑囚が、著者を呼び、若い人たちに福音を

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『牧師、閉鎖病棟に入る。』(沼田和也・実業之日本社)

『牧師、閉鎖病棟に入る。』(沼田和也・実業之日本社)

本書を探した経緯がある。簡潔にいうと、心を病む牧師についての資料はないか、という探し方をした。本当は、精神的に病んだ牧師をどう扱うか、というキリスト教的な対処が知りたかった。あるいは、牧師が心を病まないようにするためにはどうすればよいか、という観点の予防について知りたかった。
 
ところが、そういう本が見当たらない。かなり検索を掛けたが、なかなか引っかかってこない。アメリカにはそうした専門のカウン

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教会学校の未来

教会学校の未来

教会ばかりではない。教会学校も、存続が危ぶまれている。もちろん、すべての教会で、とは言わない。だが、大勢はそうだと言って差し支えあるまい。中には、子どもたちがもう来ないのが当たり前というスタイルで日曜日を過ごす教会もあるし、もう子どもたちのためのプログラムを組めず、ちょっと子ども向けの話をした態度で、あとは遊んでおきなさい、というようなところもある。少子化だから仕方がない、という声も聞かれる。
 

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語る者のことば

語る者のことば

説教塾ブックレット。21世紀になってから、「説教塾紀要」の一部を一般に広く知ってもらうために、というような形で発行されたシリーズがある。その第11弾として、2012年に『まことの説教を求めて』が発行された。副題に「加藤常昭の説教論」と付いており、著者は藤原導夫牧師である。説教塾の一員であり、要でもある。
 
今回は、その書評のようなことをするつもりはない。ただ、そのごく一部から励まされた点を証しし

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伊集院光さんに学ぶ

伊集院光さんに学ぶ

「伊集院光の100年ラヂオ」をお聴きの方も多いだろう。
 
ラジオ放送が1925年に開始したことは、歴史を学んだ中学生なら皆知っている。それが大きく世界を変えたことの意義までは学ばないが、この年は三つの出来事によってかたどられ、記憶されることになっている。そして来年がそこから百年の節目である。
 
それで2023年4月から、NHKに残る音源を発掘して紹介し、ラジオ放送について振り返るという企画が始

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心を病む牧師

心を病む牧師

牧師自身の心は、誰が世話をするのだろうか。
 
プロテスタント教会では、牧師という。礼拝説教を担う。教会員の魂の配慮を司る。教会を訪ねる人を迎える。中には、心を病んだ人も来る。そもそも自分の罪に気づいたからこそ、聖書や教会を求める、というのが筋だ。心の悩みをもつのは当然かもしれないし、実際精神疾患を患っている人も来るだろう。
 
だから牧師は、カウンセリングも学ぶらしい。「牧会心理学」などの名前で

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