「80代で見つけた 生きる幸せ」を読んで。
※注 : ネタバレあり。
一家のお父さん「G3」さんの人生を主に、「G3sewing」というお店について、娘さんが書かれた一冊。
正直、自分の勝手な予想とは全く違う内容だった。
まさかここまで感情が揺さぶられるとは思ってもみなかった。
てっきり、「優しくて善良なお父さんが、ご家族の助けのおかげで生きる気力を取り戻した…」
…そんな内容だと思っていた。
そんなお父さんが、まさかご家族からも煙たがられるような存在だったとは思いもしなかった。
娘さんは、当時思ったことなどを本当に正直に書いていらっしゃるのだと思う。
姉妹同士の会話とは思えないことまで赤裸々に書かれてあった。
「何の役にも立たない、捨ててしまおうと思っていた生地が活かされました。私の人生と同じです」
こちらは、メインのバッグ作りで余った生地から生まれた商品について思われた、G3さんのお気持ちだとか…
もうこちらの文章だけで十分ではないだろうか。
本を読んで思ったことはたくさんあるけれど、これ以上書き出したら止まらなくなりそうだ。
そして、感想を書くことだけでなく、読み進められるスピードも早かった。
最近ではどんなに簡単な文章でも、読むことに疲れてしまっていた。
読むことだけでなく、聴くこと、考えること、何か行動をすること…
ただ、少しでも頭を使うことが本当に大変で、すぐに疲れてしまっていた。
それでもこちらの本は少し違った。
最初の、自分の勝手な思い込みが全く違ったことについての「驚き」が勝ったのかもしれない。
自己啓発本などとは違う。
エッセイのようでもあるけれども、単純に、誰かが作った物語のようでもあって、続きが気になって仕方なかったのだ。
「毎日が楽しい」
本気でこう思えるようになれるまでの過程は、きっと人それぞれ全く違って、つらくて苦しいこともはるかに多いのだろう。
もちろん人それぞれ違うのだから、これもただの思い込みかもしれない。
それでも、歳を重ねて病気だらけで、家族からも自分自身からも見捨てられそうになって…
そこから這い上がる力は、そう簡単に手に入れられるものではないと思う。
少なくとも、G3さんのように裏表紙の写真ような笑顔にまでなれる人はそうそう居ないのではないかと思う。
本当に素敵な笑顔だ。
もしかしたらご家族の皆さんの方が、G3さんの変わりように驚かれているのではないだろうか…
などと勝手に思ってしまう。
最初に、「優しくて善良なお父さんが、ご家族の助けのおかげで生きる気力を取り戻した…」というような内容だと勘違いしていたと書いた。
ただ、読み終わった今は、あながち全部が間違えではなかったのではないかと勝手に思っている。
気になる文章があった。
お孫さんが進路に悩んでいらっしゃる時に、G3さんがかけられた言葉だ。
「親の反対で就職を諦めたことを、今(84歳)になっても後悔している。だから、後悔しないように、やりたいことをやったらええと思う。(一部省略)」
こちらはG3さんの本心だろうか…
自分には、「やりたいことをやったらええと思う」の部分だけ本当のことを言われているのではないかと思った。
別の場面で、G3さんが就職を諦めて実家の仕事を継いだ理由について書かれてあった。
まだG3さんが高校生の頃。
その理由には、「家族思いの優しいG3さん」が垣間見えた気がした。
だからこそ、今では後悔など、本当は無いのではないかと思った。
もしかしたらG3さんは、自分でも気付かないまま、「本当にやりたいこと」の方を選んでいらしたのかもしれない。
そして、80代になってやっと、ご家族の支えのもと、「本当の自分」を表に出すことができるようになったのかもしれない。
ご家族にとっては初めて、「本当のG3」さんに出会えたのかもしれない。
「かもしれない」だらけだ…
実際のことは、赤の他人の自分に分かるわけがない。
自分のことですら分かりはしないのだから。
話は変わるが、本の帯の画像で、「ミシンだけじゃなくてLINEもペイペイも覚えましたよ。」とある。
…本当に凄い。
自分はミシンは使ったことはあるがもう覚えてはいない。
LINEも少しだけ使ってみたが必要なくなったので辞めた。
ペイペイとは…なに?🦍
それでも所々でサラッと書かれてあるが、G3さんは本当に素晴らしい職人。
以前は電気工事士として働かれていらして、何故か調理師免許も持っていらっしゃるのだとか。
優秀な技術者として表彰(?)されたこともあるらしい。
今でも電化製品の修理はお手のもの。
ミシンで不便なところがあれば、「(部品を)自分で作ってみようかな…」などと言えてしまえるような人。
実際は既製品があったらしいが、それを探すではなく「自分で作る」という発想が凄すぎる。
そして、就職の話も大手企業からのスカウトだ。
詳しいことは自分には分からないけれども、大きな発明をしたものの、大きな会社に仕事を奪われてしまったこともあるのだとか…
もしかしたら、こちらのお仕事の界隈では有名な方でもあったのかもしれない。
初めてミシンに触れられてからも、何か作りたいものがあれば、分解し、構造を調べ、設計図を作り、無いものはあるもので代用されるのだとか。
書いていくうちにますます凄い方だと思えてきた。
たったの数年でミシンの腕がほぼ独学でプロ並みになって、商品を売り物にできるまでになったのも、G3さんだったからこそだろう。
話を戻すが、そんなG3さんがスマホを使いこなせることにもう驚きはない。
実際は、ご家族が見守っていないと倒れるまでミシンで作業をされる方のようなので、スマホはおまけくらいのものだろうか。
それでも、商品を待って下さっている方々のために、健康にも気を遣うようになられたらしい。
自分も、是非とも欲しい商品がある。
お薬手帳入れだ。
もちろん、トートバッグ、ペンケース等々…欲しいものはたくさんある。
しかし今の自分にはお金がない…!
持っているもの(あるもの)は我慢しよう。
毎月一回注文できる日があるのだが、先月はすぐに売り切れてしまっていた。
今月はどうであろうか…
お財布との相談も欠かせない。
G3さんとは全く違う人生を歩んでいるけれども、「生きていればこそ」何か変化は訪れるかもしれない。
だから今は我慢の時。
自分の生活をおろそかにしてまで叶えられることなどないと思う。
「推しは推せるときに推せ」
…という推し活の言葉がある。
ただ、自分の場合は少しだけ意味が違う。
「推しは推せる(だけの心と体に余裕がある)ときに推せ」だ。
G3sewingさんに関しても「推し」のようなものだ。
きっと自分の好きなもの全般に対して言えることだろう。
しかしいつか必ず「お薬手帳入れ」は、G3sewingさんで手に入れたいと思う。
それまでは、今まで通りクリアファイルで代用だ。
最後に、また心動かされたG3さんと、助っ人の90代のおばあさまの言葉を載せさせて頂こう。
「朝起きて、やらなあかん仕事がある。こんな幸せなことはない。」(G3さん)
「楽しくてしょうがない!生きている感じがするの。朝起きて、お仕事があるってうれしいわね」(助っ人の90代のおばあさま)
「働きすぎ」が問題になっている今、年齢に関係なく、どんな仕事でもこのように思えるものであれば良いと思う。
自分の場合は、働きすぎていたかは分からないけれども、休むことを知らなかった。
未だに、「焦り」や「不安」が強すぎてうまく休めないけれども、休むことの大切さは何となく知れた気がする。
もし「生きていくためには休めない」と思い込んでいる人がいらしたら、本当に大切なものは何か、勇気を出して少し休んで考えてほしい。
自分は、「生きるためにうまく休めるようになりたい」と今は思う。
何だか本の感想とは程遠くなってしまったけれども、間違えなくオススメの一冊だ。
読んでみて本当に良かった。✨
あちこちガタが来てるけど 心は元気!
80代で見つけた 生きる幸せ
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