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経営マネジメント

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中小企業診断士の視点から企業経営のマネジメントに関する記事をまとめています。
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記事一覧

センスメイキング #79

センスメイキング #79

ある時、ハンガリー軍の偵察部隊がアルプス山脈の雪山で、猛吹雪に見舞われ遭難した。彼らは吹雪の中でなす術なく、テントの中で死の恐怖におののいていた。
その時偶然にも、隊員の一人がポケットから地図を見つけた。彼らは地図を見て落ち着きを取り戻し、「これで帰れるはずだ」と下山を決意する。
彼らはテントを飛び出し、猛吹雪の中、地図を手におおまかの方向を見極めながら進んだ。
そしてついに、無事に雪山を下りるこ

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現状維持バイアス #77

現状維持バイアス #77

って、表現があります。

という意味だと理解しています。

欧米の企業は「前年と同じことをするときに説明が必要」で、日本の企業は「前年と違うことをするときに説明が必要」と聞いたことがあります。

欧米企業のことはよく分かりませんが、日本企業のところは、自身の経験でも、理解できるところがあります。

つまり、「変わることが当たり前」の欧米企業と、「変わらないことが当たり前」の日本企業という感じでしょ

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2022年に向けて #74

2022年に向けて #74

明けましておめでとうございます!!
2022年もよろしくお願いします!
2022年が皆様にとって実りある一年であることを心よりお祈り申し上げます。

さて、新年最初の記事は、昨年末の続きとして、2021年にNewsPicksでピックした記事のうち、「経営マネジメント」に関するコメントをご紹介したいと思います。

企業経営の課題は、現代社会の課題の縮図であり、これらの動きを追うことで、今後の社会の潮

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社会や組織を変革するには #72

社会や組織を変革するには #72

社会や組織をどのように変革するのかを書いたピーター・センゲの本です。以下はその中に出てくるストーリーです。

ドイツのフランクフルト北部の行政ヘルスケアプロジェクトとして、医師たち有志が、現状の対処療法的な対応に疑問を抱き、町全体の医師と患者間の関係についてインタビューを行いました。そこで浮き彫りになったのは、次の4つのレベルでした。

【レベル1:対処療法】

【レベル2:行動を正す】

【レベ

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戦略の「意思決定」の質 #71

戦略の「意思決定」の質 #71

以前の記事で、企業の戦略の失敗について、考えました。その理由として、戦略が「実行されないこと」が問題であると論じました。

企業の戦略は大きく「意思決定」「実行」「評価」の3つのフェーズに分かれますが、前回紹介した「企業の実質90%程度は絶えず戦略実行に失敗している」という研究結果も戦略の実行力不足に原因を求めており、また、いわゆるPDCA(Plan-Do-Check-Action)のマネジメント

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「パーパス経営」と「ビジョナリー・カンパニー」 #69

「パーパス経営」と「ビジョナリー・カンパニー」 #69

昨今、企業経営における「パーパス(=私たち企業は何をするために存在しているのか)」の重要性が指摘されています。

21世紀に入り多くの先進国が成熟社会となり、物やサービスが溢れ、一部の人々を除き、多くの人に物やサービスが行き渡るようになりました。人々の生活水準が上がり、物やサービスの購入目的も変化する中で、新たな生活様式や価値観への対応が多くの企業に求められるようになっています。

一方で、IT等

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ピグマリオン効果 #66

ピグマリオン効果 #66

「ピグマリオン効果」と呼ばれるものがあります。言わば、

信頼すれば、相手も信頼する

というもので、

他者からの期待を受けることで学習や作業などの成果を出すことができる効果のこと

を言います。

アメリカの心理学者ローゼンタールが、教師からの期待があるかないかによって生徒の学習成績が左右されるという実験結果を報告したことが始まりのようです。

ピグマリオン効果は、

教師期待効果
ローゼンタ

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GROW Model #64

GROW Model #64

新しいスキルを習得するためのステップとして、次の単語の頭文字をとった「GROWモデル」というのがあります。今回はそれを紹介します。

Goal(目標)→Reality(現状)→Options(選択肢)→Way forward(前進)→次のサイクルへ

人材育成を行う際、これらのステップを意識しながら問いかけをするのが効果的だと言われています。そうすることで、より生産的な会話となります。

Goal

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ブルーオーシャンとレッドオーシャン #63

ブルーオーシャンとレッドオーシャン #63

ブルーオーシャン=碧い海は、全く汚れていないキレイな海、つまり、今までになかった新しい市場を表しています。

レッドオーシャン=赤い海は、既に存在する、競合企業が多くひしめき合って、限られたパイ(利益)を奪い合う市場を表しています。

レッドオーシャンの市場は、成長が鈍化し、プロダクト・ライフサイクル(PLC)上の「成熟期」に入っているケースが多いと思います。

出典:GLOBIS 知見録

レッ

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Different between Leader & Boss #62

Different between Leader & Boss #62

今回は「リーダー」と「ボス」の違いについて考えます。

多くの方が「ボス」に持つイメージは、指揮命令権を持っており、従業員を管理と評価の対象としか見ていない、という感じではないかと思います。一言で言えば「従業員を支配している」という感じでしょうか。

多くの方が「リーダー」に持つイメージはどうでしょうか?

ビジョンを掲げ、それに向かって率先垂範で、皆を高みに導く、という感じではないかと思います。

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企業分析 #59

企業分析 #59

その企業の特徴は、財務諸表に表れます。ここでいう財務諸表とは、決算期に作成する「貸借対照表(B/S)」「損益計算書(P/L)」「キャッシュフロー計算書」です。

これらは、その企業が行ってきた過去の事業運営の結果を表しています。そして、その結果は、企業の特徴を表し、それは以下の4つの要素で整理できます。

企業の特徴を分析するには、財務指標分析を行います。財務指標分析については、数多くの書籍もあり

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戦略を実行するためには #58

戦略を実行するためには #58

ある研究結果によると、企業において計画された戦略のうち、実行に成功したのは10%に満たないそうです。つまり、企業の実質90%程度は絶えず戦略実行に失敗しているというわけです。

このような現実にありながら、経営のトップ層(以下「経営トップ」といいます)は、「言葉と行動」「発案と実行」とを繋ぐのに必要な接続作業を行うことなく、実行の実務を下のレベルに任せきりにしています。

結果、戦略は誤った方向に

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FP&Aの役割と機能 #57

FP&Aの役割と機能 #57

今回は、これからの企業経営において重要な存在になると思われるFP&A(Financial Planning & Analysis)の役割とその機能について考えていきたいと思います。

米国系の企業やグローバル企業等では、CFO(Chief Financial Officer)の下に「管理会計」や「経営管理」のプロフェッショナルとしてのFP&Aを置くことが一般的だと言われます。

〈管理会計による経

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経路依存性へのチャレンジ #56

経路依存性へのチャレンジ #56

「経路依存性」という概念があります。

この「経路依存性」は、企業組織内にダイバーシティやDXなどの変革を起こそうとする時に立ちはだかります。

「経路依存性」とは、

個人や組織が過去の経緯や歴史によって決められた仕組みや出来事にしばられる現象(過去の決断の制約を受ける)

と説明されます。簡単に言えば、「慣れてることの方がいい」という感じでしょうか。

この「経路依存性」は、いわゆる「ルーティ

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