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MBAで、アート思考によるイノベーション創出の講義を行います

このたび青山学院大学大学院国際マネジメント研究科の非常勤講師に就任しました。後期の「アントレプレナーシップ」という講義を岩井千明先生と一緒に担当します。講義の内容としては、アート思考によるイノベーションの創出が中心になると思います。

他のMBAの講義にはない、ユニークで実際に思考を鍛えられるものにしたいと考えていて、次のような特徴をもたせます。

  • 現代アートのアーティストをゲスト講師に招き、彼らの作品・思考に直接触れてもらう。

  • 現代アートの作品を鑑賞し、その作品のコンセプトを考える。

  • 自分自身でコンセプトを考えてアート作品を創ってみる。

これは、私が妻と現代アート作品をコレクションしたり、アートイベントを主宰したりした経験がもとになっています。アーティストは、自分が興味をもったり違和感を感じたりした社会事象に対して、徹底的に調査を行い思考を飛躍させて、常識を覆すコンセプトを考えだします。そのコンセプトをアート作品で表現しているのです。

彼らと話をしていると、私が思いもよらぬこと、歴史や哲学に基づいた話などがポンポン出てきて、なんて面白いことを考える人たちなんだろうといつも感心していました。あるとき、ふと、この思考の飛躍こそ、ビジネスパーソンが必要としていることなのではないかと気がついたのです。

実際にアーティストと議論を重ねて、アーティストと同じように身近な事象に関してリサーチしてコンセプトを考え作品を創るというプログラムを開発しました。

一昨年、昨年と、人材育成に取り組んでいるNPO法人で実施しました。実際に作品を創ってもらうと、思考が劇的に変わる人もけっこういて、効果を実感しています。

青山学院でも経営学部の講義を2コマ(3時間)だけやらせていただいたことがあります。3時間なので作品鑑賞まででしたが、講義を受けた学生さんたちが集まって、現代アートを同世代の人たちに広めたいとInstagramのアカウントを作ったのです。展覧会などで観た作品をアップして、自分達が考えたコンセプトを書いていました。クリスマスシーズンには、ハッシュタグをつけてアップした人に、抽選で展覧会の入場券が当たるといったキャンペーンまでやっていて、そこまでやるかと思って見ていました。

私の講義を聴いて、彼らが自主的に活動してくれたのは本当に嬉しかったです。今回は大学院ですが、同じように、自分が考えたコンセプトを新規事業として提案する人が出てくるような、そんな刺激を与えられたらと思っています。

2022年6月14日の日本経済新聞に、武蔵大学長の高橋徳行さんが、起業家教育ついて寄稿しています。

日本は、起業を意識している人の起業家率は米国よりも高い。しかし、起業を意識している人が非常に少ないと指摘しています。そのため、起業家教育のあるべき姿について次のように語っています。

起業家教育にも、意識がすでに形成され機会があれば起業したい、また何かシーズがあり、それを生かして起業したいという人を対象とした教育と、起業が人生の選択肢にも入っていない人を対象とする教育の2種類がある。

起業意識がない人に意識を育む教育では、社会や組織の課題を発見できる力、解決までの道のりを不確実性と向き合いながら進める力の育成の方が大切だ。

日本経済新聞「起業家教育の狙い 課題を発見する力育む 高橋徳行・武蔵大学長」

毎年行われている「高校生ビジネスプラン・グランプリ」から、ビジネスプランの考え方についても指摘しています。

ほとんどのチームのプランは自分が経験した課題や地域の課題解決から始まっている。「ビジネスを考えなさい」から始まるのではない。課題発見後は色々な人の話を聞いたり、小さな実験を積み重ねたりする。

日本財団が22年に実施した「18歳意識調査」によると、「国や社会に役立つことをしたいと思う」などの項目で、日本は調査6カ国(日米英中韓印)の中で最低であり、日本の若者の社会課題への意識の低さが話題になった。これは起業意識を有する人の割合の低さと無関係とは思えない。

意識を育む起業家教育の真のねらいが再認識され、大学だけではなく各学校段階において、課題を発見する力、不確実な状況下でも前に進もうとする力が日本全体で育まれることを期待したい。

日本経済新聞「起業家教育の狙い 課題を発見する力育む 高橋徳行・武蔵大学長」

私の講義では、自分自身の身近に感じた社会課題、あるいは、これは面白いと思ったことから始めて、常識を覆すコンセプトを考えてもらうことを想定しています。高橋先生が指摘している、社会課題への意識を高める効果が期待できます。

「アントレプレナーシップ」という講座名にふさわしい講義にしていこうと思いますので、アドバイスなどありましたら、是非お知らせください。よろしくお願いいたします。


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