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珈琲 アモール(初デート)
君の肩越しに見えるガラスの向こうの無数の足に、本当に人多いなーなんてやけに冷静に考えている自分がいる。外は秋晴れで、午前の光がそろって着始めた薄手の上着を照らしている。誰も僕を見ていない。こちらに気づいていない。ここから外を見るのはとても安心する。
テーブルの上には半分になったトースト。ホットケーキに染みこんだバターが二人の沈黙の中で少しずつ乾いていく。「食べなよ」と言いたいけれど口の中がカラ
君の肩越しに見えるガラスの向こうの無数の足に、本当に人多いなーなんてやけに冷静に考えている自分がいる。外は秋晴れで、午前の光がそろって着始めた薄手の上着を照らしている。誰も僕を見ていない。こちらに気づいていない。ここから外を見るのはとても安心する。
テーブルの上には半分になったトースト。ホットケーキに染みこんだバターが二人の沈黙の中で少しずつ乾いていく。「食べなよ」と言いたいけれど口の中がカラ