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僕のなんちゃって修行 feat.ひとみちゃん。


熱いシャワーを浴びる、夕暮れ。


僕は、滝修行を受けているかのように、

両手の手の平を、胸の前でぴったり合わせる。



……人生は、修行。



子供の頃、母がよく言っていた。


「人は、欲を捨てる為に生まれてくる。」

…という考え方らしい。


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全身洗い終え、スッキリ爽快。

自分の欲も、排水溝に流れたような気分だ。


よし、湯船で週末の疲れを癒そう。




______ピンポーン



その時、

家のチャイムが鳴った。



…なぜこのタイミング。


まぁけど、

どうせ宅急便だろうな、と思い、

風呂に浸かろうとすると、



『〇〇くーん!の、おうちだよねぇ…?

       …… 留守ですかぁ?』


という女の子の可愛らしい声がした。







…………って、ええええぇぇぇぇ!!


その声は、…ひとみちゃん!?


…何で?

何で僕の家に?

 ひとみちゃんが? 

何のために来たんだ??





…裸体のまま、動揺を隠せない僕。




ひとみちゃんは、会社の受付嬢。

癒し系で笑顔が可愛いのに、

仕事が早くて、頭の回転が速い。


彼女は、会社のマドンナ、華である。





そんな彼女に対して、


僕はずっと、、

好意を持っていた。



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……なるほど、なるほど、なるほど、、、

(自分を落ち着かせる為、何度も頷く。)



そう、、

この状況はまさに、

母の言っていた「修行」だ!




…ドアを開けて、すぐ応対出来ないこの状況。

(裸だから)

…ひとみちゃんと、2人きりになれないこの状況。

(裸だから)





…なんて厳しい「修行」なんだ…!(泣)



ってゆうかそもそも、

何で俺は風呂に入っているんだ!(怒)




心の中で、ブツブツ文句を言っていると、

ドアノブに、紙袋が掛けられる音がした。 


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風呂から上がり、

ドアノブに掛けられた紙袋を確認する。


中には、、

なんと、


手作りのクッキー、、ではなく、


明日の会議の資料が、大量に入っていた。





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