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ポップカルチャーは裏切らない

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”好きなものを好きだと言う"を基本姿勢に、ライブレポート、ディスクレビュー、感想文、コラムなどを書いている、本noteのメインマガジン。
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2022年3月の記事一覧

2012 to 2022~ガールズポップの行方

2012 to 2022~ガールズポップの行方

ガールズポップの定義?滅多に言及されなくなったジャンルの1つに"ガールズポップ"というものがある。ガールズバンドという呼称にも違和感を持つようになった今の感覚からするとその名称にも何だかなと思うし、まずもって概念が広すぎる気がする。ただ10年前から南波志帆を形容する際に"ガールズポップ"という言葉が使われてきたのは妙にしっくりきたし、YUKIがガールズポップの確立に貢献した、と起源不明の歴史がwi

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3.26 IMAIKE GO NOW 2022 WE,GO NOW AGAIN

3.26 IMAIKE GO NOW 2022 WE,GO NOW AGAIN

「森、道、市場」と並び、愛知にいたら絶対行きたかったライブイベント。個人的には3年ぶりのサーキットイベント参加だった。例年よりは規模は縮小気味だったようだが大盛況であった。こういうオルタナティブなメンツのライブイベントが地域に根付いて続いているというのはなかなか凄いことよ。

13:40- ゆうらん船 @CLUB UPSET

初見。白昼夢のようなサイケデリアと妙に懐かしくなるフォーキーさが癖にな

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[Real Sound寄稿記事]King Gnuはなぜ全方位型のロックバンドになり得たのか/ 豊かで幅広い個性を高め合える4人のケミストリー

[Real Sound寄稿記事]King Gnuはなぜ全方位型のロックバンドになり得たのか/ 豊かで幅広い個性を高め合える4人のケミストリー

Real Soundに53回目の寄稿をしました。彼らについては何記事か書いたことありますが、ここまで4人それぞれにフォーカスして書いたのは初めて。個人活動の多さに改めて驚くばかり。これを結成時からやってるんだから本当に新時代のバンドなのだな、と思う。横断的で、フレキシブルである強み。

これまでにKing Gnuについて書いてきたものを思い出せる限り、以下に載せます。初めて観たのは2018年3月、

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[配信]3.13 ASIAN KUNG-FU GENERATION『25th Anniversary Tour 2021 Special Concert “More Than a Quarter-Century”』パシフィコ横浜

[配信]3.13 ASIAN KUNG-FU GENERATION『25th Anniversary Tour 2021 Special Concert “More Than a Quarter-Century”』パシフィコ横浜

最高の新アー写とともに3/30の新アルバムリリースを控えたアジカン。昨年の結成25周年ツアーの追加公演という形で地元横浜で開催されたアニバーサリー公演をZAIKOの配信にて視聴。結論から言ってしまうと圧巻だった。記念碑的な位置づけとしても、音楽的探究の形としても、このうえなく理想的。願わくばこの座組でアリーナツアーでもどうですか、と言いたくなるような贅沢な2時間半である。以下、良かった点をざっくば

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最近の長久允作品を観た(KID FRESINO+Aマッソ「QO」/森田剛「DEATH DAYS」)

最近の長久允作品を観た(KID FRESINO+Aマッソ「QO」/森田剛「DEATH DAYS」)

「ウィーアーリトルゾンビーズ」や「そうして私たちはプールに金魚を、」で知られる長久允監督。とても好きな映像作家なのだけど、最近また活動が活発化しているので今ネット上で観れる新作2本についての感想を書いた。

KID FRESINO+Aマッソ「QO」(アーカイブ3/12まで)

異色の組み合わせによる東京、大阪、福岡の三都市ツアー、東京公演の配信版。基本的にはAマッソのコントとKID FRESINO

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ミニマルな永遠、コンセプチュアルな肉体

ミニマルな永遠、コンセプチュアルな肉体

愛知県美術館で3/13まで開催中の「ミニマル/コンセプチュアル ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960-70年代美術」。現代アートの見方なぞ全く心得ていない素人ながら、広義のポップカルチャーとして捉えると非常に興味深い視点をくれたのでここに感想文として記しておこうと思う。

ミニマル・アートは作家の個性を示す表現性を捨てた幾何学的で無機質な作品たちの呼称で、1960年代アメリカの新しい美術動向

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配信でライブを観た2022①(ダウ90000/くるり)

配信でライブを観た2022①(ダウ90000/くるり)

ダウ90000第3回本公演「ずっと正月」(アーカイブ3/6まで)

昨年のM-1グランプリで準々決勝進出という記録も打ち立てた新進気鋭の劇団による第三回となる演劇作品の公演。服屋のショーウィンドウでバレンタインデーに向けた飾りつけが進む傍ら、8人の登場人物が価値観と偏見をぶつけ合って繰り広げるとある夜の群像劇。まずは少人数でのコント的なやり取りを積み上げながら、徐々に登場人物の交差点が増えていく構

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[Real Sound寄稿記事]羊文学が今、多方面で注目を集める背景

[Real Sound寄稿記事]羊文学が今、多方面で注目を集める背景

Real Soundに52回目の寄稿をしました。着実に支持層を広げてきた羊文学史と「マヨイガ」や「光るとき」などここ最近の楽曲に刻まれた“祈り”を踏まえて総合的に書きました。

本文にも書いたけど、去年から今年にかけて『your love』から『our hope』っていう流れが出来上がるのかなり胸が熱い。最初のEPのヒリヒリ感から、ここまで慈しみに満ちたテーマに辿り着きながらも、羊文学としての美し

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2022年2月の色々(ヨーロッパ企画/ズーカラデル/ラブリーサマーちゃん/大須演芸場)

2022年2月の色々(ヨーロッパ企画/ズーカラデル/ラブリーサマーちゃん/大須演芸場)

2.3 ヨーロッパ企画 第40回公演「九十九龍城」@名古屋市芸術創造センター

2年半ぶりの本公演。新メンバーとしてヨーロッパ企画発信の映像作品ではもうお馴染みの藤谷理子を迎えての初ツアー。とあるアジアの一角、建て増しにつぐ建て増しをつづける巨大なスラム街・九十九龍城を舞台にとある殺人事件の捜査が行われるという粗筋。今回は第20回公演「Windows5000」で用いられた、『遠隔地から建物の中を覗

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