seta 公式note

音楽と絵と物語をつくるお仕事をしています。 /毎週金曜日17:30〜FM岡山「SETA…

seta 公式note

音楽と絵と物語をつくるお仕事をしています。 /毎週金曜日17:30〜FM岡山「SETAの東京夕方通信」/渋谷「ヨコガオ展」/うのまち珈琲店「うのまちともだち展」/岡山県出身/

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    コピーライター 保持壮太郎との小説ユニット

記事一覧

「さよなら僕ら」歌詞&試聴

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映画「マンガ家、堀マモル」主題歌 《配信ストアはこちら》 https://linkcloud.mu/a2418d49 「さよなら僕ら」 作詞・作曲:seta さっきから黙ってる君 何かつっかえ苦…

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妄想日記「あなたへ」

「本ばかり読んでいるから、まともな恋愛ができないんだ」 あなたはそういって私をからかうのが好きだった。 私がそれに対して噛み付くのに備えて、どこかワクワクしている…

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4か月前
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はじめての個展について

「何かを作ること」は、ずっとわたしと社会をつなぐ橋だった。 話し下手な自分。 人に嫌われたくないから外に出ない自分。 傷つくくらいなら、ひとりでいればいい。 で…

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5か月前
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エメラルドグリーンの夢

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6か月前
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妄想日記「きみが人間だったころ」

きみが人間だったころ、きみの目線の高さにはよく死が転がっていた。 2年前の夏、夜の街をきみと歩いていた。 「ほら、若いカマキリだ」 きみは立ち止まり下を向いて潰れ…

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7か月前
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短編小説「夏の脳」

夏は、脳もバテるようだ。最近の私の抜け落ち具合と言ったら恐ろしい。このままの状態が続いたらどうなるんだろう。そんな不安な日々を生きている。 「最近ね私、星野くん…

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9か月前
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短編小説「こどもの森」

そこは、どこだ。ここは、どこなのだろう。 私は、一軒のありきたりに古く、それなりに整備された一軒家にいた。ガラス戸は、少しばかりの庭と雨よけの屋根がついた駐車場…

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10か月前
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妄想日記「裸族のきみ」

八代奈々 30歳 会社員 「裸族って本当にこの世界のどこかにいるんだよね」 「裸族って、性癖の方?部族の方?」 「部族の方に決まってんでしょ。」 会社の休み時間、い…

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となりの偉人

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「魔物の嫁入り」歌詞&試聴

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《配信ストアはこちら》 https://linkk.la/mamono_no_yomeiri 「魔物の嫁入り」 作詞・作曲:SETA あたしは日傘を差してた 上手に避けては影が  ゆらゆらゆらゆらふらふ…

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楽描き「まったく、一体、どうして。」

なんべん繰り返しても目的地までの辿りつき方を忘れてしまう。そんなものが、私にとっての「もの作り」だ。曲は14歳から、たくさん作ってきたし、数年前にはnoteで「東京地…

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楽描き「散歩道」

一日に一度は、かならず散歩をする。 Spotifyに作った「好きなもの」フォルダから洋楽を選んで自作自演の散歩DJ。歌詞がわからないことが、重要。英語がわからないことが…

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「最近読んで面白かった本」

こんにちは。12月に入り、2022年も残すところわずか。みなさんは「やり残したこと」ありませんか?わたしは「読書」です。あれもこれも読みたいのに、まだ読めていない本達…

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妄想日記「三軒茶屋の一室から」

遠藤文香 20歳 大学生 最後の一本だった。三軒茶屋の黄色いアパートの一室、ベランダに置かれた灰皿の前で私は最後のタバコを指の間で持て余している。反対の手で、ポケ…

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妄想日記「恋」

星月なみ 16歳 高校生 「恋」と辞典を引くと、「ある人にあこがれ、慕う気持ち」と書いてあった。私は、国語の授業のことなど忘れて先輩のことを想う。強烈な憧れと、恨…

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最近読んで面白かった本

みなさん、こんにちは。 過ごしやすい季節になり、秋冬の服を予約したり、クリスマスの計画を立て始めたり………今の時代なんでもちょっとせっかちですよね。ということで…

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映画「マンガ家、堀マモル」主題歌

《配信ストアはこちら》
https://linkcloud.mu/a2418d49

「さよなら僕ら」 作詞・作曲:seta

さっきから黙ってる君 何かつっかえ苦しそうに
電車ってさ大して早くないね 線路の先見ている

どうして 泣き笑いで
さよならって 君は言うの

教えて君のこと 言いかけたあの言葉も
最後まで聞くから
教えてあの涙 あの決意の本当は
僕を

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妄想日記「あなたへ」

妄想日記「あなたへ」

「本ばかり読んでいるから、まともな恋愛ができないんだ」
あなたはそういって私をからかうのが好きだった。
私がそれに対して噛み付くのに備えて、どこかワクワクしているようでもあった。
まるで、小動物をからかう時のように。
鼻先に餌をちらつかせて、近づくとそれをまた少し離して小さく揺らすのだ。

「どうしてだと思う」
あなたが、戸惑うのがわかった。
それじゃないだろういつものは、という顔をしている。

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はじめての個展について

はじめての個展について

「何かを作ること」は、ずっとわたしと社会をつなぐ橋だった。

話し下手な自分。

人に嫌われたくないから外に出ない自分。

傷つくくらいなら、ひとりでいればいい。

でも、ひとりでいると寂しい。

そんな「誰かと繋がりたい」と思う自分と「ひとりでいたい」という自分の間で、わたしは何かを作ってきたのだと思う。

評価される世界の外側で自由にものを作っていた子供時代を通過し、才能という言葉の前で挫折し

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妄想日記「きみが人間だったころ」

妄想日記「きみが人間だったころ」

きみが人間だったころ、きみの目線の高さにはよく死が転がっていた。

2年前の夏、夜の街をきみと歩いていた。
「ほら、若いカマキリだ」
きみは立ち止まり下を向いて潰れたカマキリを指さしていた。
サッと目を走らせて、確かにその体が少し透明な瑞々しい黄緑色であることを確認した私は、適当な感じでこう言った。
「そう。そんなことよりレストランに間に合わない。急いで」
私はきみの手を強い力で引っ張って歩かせた

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短編小説「夏の脳」

短編小説「夏の脳」

夏は、脳もバテるようだ。最近の私の抜け落ち具合と言ったら恐ろしい。このままの状態が続いたらどうなるんだろう。そんな不安な日々を生きている。

「最近ね私、星野くんのことだけが覚えられないの」

そう話し始めた。カフェで向かいの席に座る奈々が神妙な面持ちで頷く。
「それ以外の人の話は覚えてるの。約束も。星野くんの情報だけが追加できない」
「たとえば?」
「例えば、新しくできた友達の話とか。その友達が

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短編小説「こどもの森」

短編小説「こどもの森」

そこは、どこだ。ここは、どこなのだろう。

私は、一軒のありきたりに古く、それなりに整備された一軒家にいた。ガラス戸は、少しばかりの庭と雨よけの屋根がついた駐車場に向けて開け放たれていた。私の家ではない。それだけは、私の表面を覆う薄い緊張からわかる。子供の声がする。自分のいる廊下から、声がする広い和室に入る。すると、そこには大きな一枚板のローテーブルが中心に置かれており、その周りを子供達が囲んでい

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妄想日記「裸族のきみ」

妄想日記「裸族のきみ」

八代奈々 30歳 会社員

「裸族って本当にこの世界のどこかにいるんだよね」
「裸族って、性癖の方?部族の方?」
「部族の方に決まってんでしょ。」
会社の休み時間、いつもの面々はそんな話題で盛り上がっている。
対するわたしは、不意に降ってきた痛点にどきりとする。
集中がうまくできず、フォークを落としてしまった。
「もう、奈々。なに動揺してんの。」
みんなが、優しく笑ってくれる。そのことに、安堵した

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《配信ストアはこちら》
https://linkk.la/mamono_no_yomeiri

「魔物の嫁入り」
作詞・作曲:SETA

あたしは日傘を差してた
上手に避けては影が 
ゆらゆらゆらゆらふらふら振れている
秘密のない人なんかさ
いるわけない みんなが知っている
けどけどけどけどけばけば着飾っているんだ

1,2,3, 1,2,3 眠ってた
1,2,3, 1,2,3 目を覚ます
うつし

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楽描き「まったく、一体、どうして。」

楽描き「まったく、一体、どうして。」

なんべん繰り返しても目的地までの辿りつき方を忘れてしまう。そんなものが、私にとっての「もの作り」だ。曲は14歳から、たくさん作ってきたし、数年前にはnoteで「東京地下2階」という長編小説を書いたり、短い物語を書いたりしてきた。それでも、毎回作り終えた直後こう思う。「あれ、これってどうやって作ったんだっけ」と。

この感覚をわかりやすく例えると、あなたが何度か通ったことのある料理屋があるとする。そ

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楽描き「散歩道」

楽描き「散歩道」

一日に一度は、かならず散歩をする。

Spotifyに作った「好きなもの」フォルダから洋楽を選んで自作自演の散歩DJ。歌詞がわからないことが、重要。英語がわからないことが、前提。今日は、Sigridの「Bad Life」から始まってMaroon5の「Lost」で終わった。( うーん、なんとなくどちらも題名が暗い(笑))

そういえば、先日買ったチェキも持って出かけてみた。昨日たまたま見た写真展がと

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「最近読んで面白かった本」

「最近読んで面白かった本」

こんにちは。12月に入り、2022年も残すところわずか。みなさんは「やり残したこと」ありませんか?わたしは「読書」です。あれもこれも読みたいのに、まだ読めていない本達に気づき怒涛の追い上げのなか、素敵な本と出会えたので紹介します。

「おいしいごはんが食べられますように」高瀬隼子

第167回、芥川賞受賞作。タイトルと、表紙デザインに騙されてはいけません。心の底からざわざわとする物語です。職場でそ

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妄想日記「三軒茶屋の一室から」

妄想日記「三軒茶屋の一室から」

遠藤文香 20歳 大学生

最後の一本だった。三軒茶屋の黄色いアパートの一室、ベランダに置かれた灰皿の前で私は最後のタバコを指の間で持て余している。反対の手で、ポケットの中に手を突っ込むとくしゃくしゃになったレシートが出てきた。ハイライト、レッドブル、さけるチーズ、いつも同じものばかり買うのでいつのレシートだとしても大差ない。私は、再びそのレシートをポケットに戻し室内に視線を移した。カーテンは薄く

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妄想日記「恋」

妄想日記「恋」

星月なみ 16歳 高校生

「恋」と辞典を引くと、「ある人にあこがれ、慕う気持ち」と書いてあった。私は、国語の授業のことなど忘れて先輩のことを想う。強烈な憧れと、恨めしさ。私はこれを、恋だと認めてはいけない。

「なみ、授業終わったよ。次、移動」

友人のゆうきの声で、ハッとした。私は、黒板の上に掛けられた時計に視線を移し、ため息をついた。

「最近、ぼーとしすぎじゃない?しっかりして」

「うん

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最近読んで面白かった本

最近読んで面白かった本

みなさん、こんにちは。
過ごしやすい季節になり、秋冬の服を予約したり、クリスマスの計画を立て始めたり………今の時代なんでもちょっとせっかちですよね。ということで、秋の読書をフライングして今回は秋だからこそ読みたい「考えさせられる」本を3冊ご紹介します。

身分帳 佐木隆三

身分帳簿とは、被収容者のすべての記録が記されたもの。恵まれない家庭環境で育ち、人生の半分以上を刑務所で過ごしてきた主人公が、

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