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#大切

琥珀のグラス 《詩》

琥珀のグラス 《詩》

「琥珀のグラス」

物事の終わりは 
いつだってあっけないものだ

世界は一定の原理に従い

然るべき方向に流れて行く

僕は夢の中の

彼奴の事を探し求めている

夜の闇は当たり前だけど暗いんだ

彼の歌う詩は 

ひとりで聴くには悲しみが強すぎる

危うさが勝ち過ぎている

琥珀のグラスの中に想い出を留めた

僕が大切にしていたものは 
彼の記憶だと気が付いた

妙にくっきりとした形の月と風の

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透明な風 《詩》

透明な風 《詩》

「透明な風」

必要な言葉は何故だかいつも

遅れて後からやって来る

あの日 あの時

僕等に
欠けているものなんて何ひとつ無い

そう君に伝えたかった

きっと君は微笑んでくれただろう

深い緑と青い空を持つ

夏だけが其処にあった

僕等はもう二度と

この場所に来る事は無い

そして君に逢う事も

定められた場所に
向かうそれぞれの道を歩み続ける

僕は一度だけ振り返る

其処には形を持た

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小さな炎 《詩》

小さな炎 《詩》

「小さな炎」

僕の足元に

寡黙な陽だまりを作り出す太陽

時間は更に緩やかに流れる

君は猫の様に

暗い穴を覗き込んでいる

其の先にあるものは

君の瞳にしか映らない

その暗い穴には

深い暗示が隠されていた

「今日死んでしまえば 明日は死なずにすむ」

君はそう言葉にして囁く

其処はいつまでも

君が居る場所じゃない

何度も君にそう呼び掛ける

僕等はきっと

何処かに行く事が出

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不動の月 《詩》

不動の月 《詩》

「不動の月」

花一輪 

在りし日の君 

香る春

静かに添えた手のひら

暗黒の雲に覆われた夜空にさえ

音も無く浮かぶ不動の月

あやかしの時は遠去かり

あの日 夢見たふたりの旅

其処に咲いていた小さな花は

眠る事無く咲き続ける

夜更けに恋をし
君の名を呼ぶ

いつからか 

君の言葉の中に愛を探してる

月下の詩人と盲目の犬 《詩》

月下の詩人と盲目の犬 《詩》

「月下の詩人と盲目の犬」

大きな美質と

大きな欠陥が背中合わせに存在する

其処には見え透いた理論は無い

疑問を背負ったまま

僕等は今を歩き続けている

一匹の盲目の犬

何かに損なわれる事が無い様に

僕は其の犬を抱きしめていた

その失われた瞳を通して
彼はこの世界に現れる

そして彼の言葉が

僕の意識の領域に着地する

時間の歩みすら止まる気がした

ソメイヨシノが香る時

嘘しか

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春の風 《詩》

春の風 《詩》

「春の風」

行き場を失くした

憧憬と忘れられない約束

夢の中に見た言葉にならない気持ち

時間は記憶の中で絡まり合う

僕等の心に刻印された時は

決して消える事は無い

泣きたいのに無理して微笑む君の顔

愛とか希望とかそんな言葉より 
君に逢いたい

心の空にある虹の欠片に触れた

春の風 

君の匂いがした

風と繊月 《詩》

風と繊月 《詩》

「風と繊月」

風と繊月 

ふたつの夜

溢れる想いは言葉にならず

儚く揺れた 

月影囁くあの日の詩

心に閉じ込めた文字を
独り静かに指先でなどる

遥か遠くに見える星

それでも 

あの火は消える事なく

小さく瞬く時を待ち見上げる夜空

春を待てずに花となり

想いの蕾を胸に抱く

彩花 《詩》

彩花 《詩》

「彩花」

咲きたくて 

咲きたくて 

もう一度 綺麗に咲きたくて

貴方の首筋で 

胸元で 

その唇で 

小さな想いが静かな恋に変わり 

恋が愛に咲き変わる夜

僕の傍で 

心の中で咲き続けるひと

溶かし合い 

受け入れ合い 

この身を束ね 

ふたりの色彩で染まる花びら

もう一度 綺麗に咲きたくて

MISIA 《詩》

MISIA 《詩》

「MISIA」

夜に咲く白い花 

濡れた星明かり

月夜を渡る風の音 

正確に時を刻まない

狂った時計と

時の概念を必要としない
蒼くて細い三日月

非現実的で不思議な光を放つ星達が

花びらを照らす夜  

その花には輪郭が無く

影を持たない事を

僕は知っていた 

本当は怖いんだと君は小さく囁いた

逢えなかった夜を悔やんではいない

通り過ぎて行った赤いアウディ

夢に花 花に

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遺書 《詩》

遺書 《詩》

「遺書」

淡い色調の風景が淡々と
場面の転換も無く続く

切れ目なく流れる

エンドレスミュージックの様に

深い本心を語る彼女の穏やか声 

そして遺書

心に抱えた小さな地獄に感謝した

それを知らない人には
小さな幸せに気付けない

奇妙な空白に名前の無い風が吹く

覚醒の手掛かりを失った夢

深く椅子に腰掛け 

片足を切落とされた
幻覚の中で未来の夢を見ていた

古い手紙や日記 写真ア

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真白に輝く黒き羽根 《詩》

真白に輝く黒き羽根 《詩》

「真白に輝く黒き羽根」

僕は彼女の小さな唇の動きを
見逃さなかった

ほんの少し口元が動いた

気のせいじゃ無い

君は夢の中で眠り続けている

悪い夢を忘れる事が出来ないまま

白く鋭利な刃の様な三日月

霞んで消えそうな星屑

闇に包まれた漆黒の夜

時は巡り時間は流れる

今は静かに太陽が燃える時を待つ

やがて生まれた
朝が眩しい陽の光を連れ

君を照らす

黒き羽根は光を帯び真白に輝く

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想い歌 《詩》

想い歌 《詩》

「想い歌」

きっと単純な事なんだ

空に雪が降る様に

君の嫌いなところと 
好きなところ数えてみた 

風を待つ花と月を呼ぶ夜と

君の声を待っている僕と
溢れ出した熱

僕の中の君と 君の中の僕と 

触れた指先 

毎年 
冬になると必ず同じ匂いがする

涙は暖かい事を知った

何処かで聴いた想い歌

もう直ぐクリスマスがやって来る

浅い夢 《詩》

浅い夢 《詩》

「浅い夢」

記憶の中の陽射に揺れる君の面影

世界中の時計を
巻き戻し夢の中で眠った

答えにはいつも形なんて無くて

何気ない
あの時の1秒に永遠を見ていた

僕がもっと強くなる事で
君が微笑んでくれるなら

この腕に君を…

浅い夢 

薄れてゆくはずの想いは

孤独と自由と柔らかな後悔と

君の髪の香り 
つまらない嘘で誤魔化した強がり

ふたりを繋いでいた大切なもの

確かに僕は君に恋を

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古の詩 《詩》

古の詩 《詩》

「古の詩」

古の詩 昼間の透けた月

咲き誇る花 本当の声

強く感じ強く願う 

静寂の中揺れる雅な風

答えなんて無くても問い続けた

美しき幻は光の淵に

汚れなき一途な想いは
運命の波動

未来へ向かう階段は君と手を繋いで

魔法にかけられた古の詩

時の狭間 
夢の中で抱きしめた人