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琥珀のグラス 《詩》

「琥珀のグラス」

物事の終わりは 
いつだってあっけないものだ

世界は一定の原理に従い

然るべき方向に流れて行く

僕は夢の中の

彼奴の事を探し求めている


夜の闇は当たり前だけど暗いんだ


彼の歌う詩は 

ひとりで聴くには悲しみが強すぎる

危うさが勝ち過ぎている

琥珀のグラスの中に想い出を留めた


僕が大切にしていたものは 
彼の記憶だと気が付いた

妙にくっきりとした形の月と風の音

生の余韻にとどめをさす様に

僕は傾けたウィスキーのグラスに

深い沈黙を添えた

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