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文学

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本のことや、文学のことについての記事を集めたマガジン。
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記事一覧

8四歩

将棋が大好きな男がいた。
彼には一緒に将棋をする友達が居なかった。
なぜなら、彼は将棋が強すぎて、誰も彼の相手をしたがらなかったからである。
彼は、もう既に10年近くは負けていない。
もっと強い相手と勝負がしたかった彼は、将棋ができる人造人間を作ることにした。

彼は、今まで時間を費やしてきた将棋の勉強をやめ、ひたすら医学書と工学書を読みふけった。
そしてついに彼は、人造人間をつくることに成功した

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戯曲『グラデン』

言葉は特殊なものなんだよ
なにが特殊なんですか
言葉はね、自分自身でしかそれをあらわせないという特徴をもっているのだよ、言葉とはね。do you understand ?
何を言っているんですか。それじゃあリンゴはリンゴ以外のもので説明できるというのかい
リンゴは赤いだろうが
赤くないリンゴはりんごじゃないとでも?りんごジャムはリンゴじゃないとでも?
りんごジャムはリンゴじゃないんじゃないか
じゃ

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戯曲「そうなの」

薄暗いところで

あなたって鬱なの?躁なの?どっちなの?
そうなんだよソースなんだよ
なにいってるかわからない
だからそうだってば
躁なの?
鬱だよ
あなたってほんとにわかんない
そうだね
躁なの
そうじゃない
そうじゃないの
違う違う、そうじゃ、そうじゃない
なにいってるのか全く分からないわ
もういいよ、躁でいいから
そうじゃないでしょ
ソースだよ
ソースはわかったから、真面目にはなしてるのよ私

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「絶賛か激怒しかいらない」これぞメフィスト賞|「メフィスト賞」岡本淳史&都丸尚史

「絶賛か激怒しかいらない」これぞメフィスト賞|「メフィスト賞」岡本淳史&都丸尚史

 中学生の頃、小説といえば「講談社ノベルス」しか読んでいなかった。といえば過言になるが、京極夏彦、森博嗣、清涼院流水、乾くるみ、殊能将之、舞城王太郎、西尾維新といった綺羅星たちを輩出した、このレーベルだけは特別だ――そんな「本読み」は、少なくないのではないだろうか。

 破天荒な作家たちを生み出した「メフィスト賞」もまた、破天荒な新人賞だ。賞金なし、〆切なし、下読みなし。公募新人賞というよりも持ち

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【作家志望のひと向け】純文学5大文芸誌の文学新人賞についてまとめてみたよ!

【作家志望のひと向け】純文学5大文芸誌の文学新人賞についてまとめてみたよ!

※5年ほど前にブログに書いた記事を2020年現在の情報へ修正したものです。当時、めっちゃバズったのでおそらく需要があるかとおもい、蔵出しすることにしました。

 むかし、ぼくは同人誌「らくせん」というものの編集長をして、文学フリマに参加したりしたことがある。そのせいか、公募しているいわゆる純文学系の文学新人賞の情報や応募作品、最終候補作品がぽろぽろと手元にやってきたりする。

 だいたい作品を送っ

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ちょい前の芥川賞受賞作「コンビニ人間」をようやく読んでみた感想

ちょい前の芥川賞受賞作「コンビニ人間」をようやく読んでみた感想

ちょっと前の芥川賞受賞作、村田沙耶香著「コンビニ人間」をようやく読みました。簡単に感想を綴ります。貧乏性で実際に貧乏なので、話題書は文庫になるまで or B00K OFFの100円棚に並ぶまで読まない一派です。なんだかんだB00K OFF好きなんですよね。。作家の方や出版業界には少し悪いですが、出世払いでつけといてください。。

主人公、かなり変わっています。マニュアルがあれば、それを模倣して生き

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エッセイストになるための7つの秘訣

エッセイストになるための7つの秘訣

2021年8月20日 更新
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こんにちは、エッセイストの君野ユウです。





現在、僕はnoteでエッセイ「日常の中の日常」(50記事)、「日常の中の日常2」(50記事予定)を掲載しています。フォロワー数も増え、少しずつですが有料のエッセイも購読していただいています。

そこで今回エッセイを書くために気をつけていること、エッセイストになるために行な

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言葉を正しく使うとは、正しく畏れること

言葉を正しく使うとは、正しく畏れること

言葉への反省しばし思うところがあり、自分自身の言語活動について見直していたのですが、どうも近頃、言葉への敬意と謝意、畏怖を失っていたということに思い至りました。
言葉を巧みに操れる、あるいは言葉によってなんでも伝えられると自惚れていましたが、言葉に対してそんな傲慢で失礼な話はありません。
そんな内省を経て、言葉の価値、尊さを久々に考えました。以下は、これまでと昨夜から今まで考えたことたちです。

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Webから応募できる小説新人賞まとめ|2021年上半期|monokaki編集部

Webから応募できる小説新人賞まとめ|2021年上半期|monokaki編集部

今まで私たちが経験したことのない、未曾有の危機であるコロナ禍の影響を受けまくった2020年。皆さんお元気でしょうか? もう気がつけば11月下旬です。
2021年の上半期がすぐにやってきます。生活環境の変化などあらゆる事柄が今まで通りにいかなかったことで創作活動が捗らなかった人も多いのではないでしょうか?
心機一転、新年に向けて執筆目標を立てて、次に進みましょう!

この記事では、以下の「3つの条件

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