大滝瓶太

作家(✌︎˙˘˙✌︎)ぴすぴす。最近の仕事:特殊設定ミステリ試論(ミステリマガジン)、異常論文「ザムザの羽」(SFマガジン)、文理横断ブックレビュー「理系の読み方」連載(小説すばる)など。

大滝瓶太

作家(✌︎˙˘˙✌︎)ぴすぴす。最近の仕事:特殊設定ミステリ試論(ミステリマガジン)、異常論文「ザムザの羽」(SFマガジン)、文理横断ブックレビュー「理系の読み方」連載(小説すばる)など。

マガジン

  • 理系の読み方〜科学の視点で名著を楽しむ

    ■誠文堂新光社 担当編集より 文系と理系の間には埋めがたいギャップがある、と思っていました。 気が付いたら私は文系を選択していて、理系とは自分に縁のないものだと思っていました。 しかし、自然科学を片手に名著の核心に迫るプロセスを目撃して、考えを改めました。 実験(文字)を積み重ねて真理を追究するという意味では、じつは両者は近いところにある。 問題を解くように読書できたなら、物語の世界はどんどん広がっていきます。 手を引いてくれる人がいるから、スリリングな冒険もできてしまうのです。 より深く、より熱く、より自由に——。 作家、そして批評家でもある大滝瓶太によるサイエンティフィック・ロングエッセイをお楽しみください。

  • サッカー部がきらい。

    独断と偏見でリア充に言いがかりをつける卑屈なエッセイ集。

  • #RTした人の小説を読みに行く をやってみた

    アマチュア作家のネット上にある小説を読み漁って考えたことをまとめたエッセイ集。小説のことをひたすら考える。

  • 精読と実作のための文芸翻訳実践研究

    英語で書かれた小説を題材に、文章を解釈する翻訳プロセスを開示することで「文章を読む」ということを考える連載コンテンツです。英語学習や文章の精読だけでなく、小説の実作も視野に入れ、言語表現一般を幅広く扱います。

  • 短編集その1『皮を剥ぐにはうってつけの日』

    収録作品 ◼︎むらにつもるこえ(95枚) ◼︎干乾びた胎児(30枚) ◼︎皮を剥ぐにはうってつけの日(150枚)

最近の記事

  • 固定された記事

たつひこさんのこと。

 はじめてできた小説を書く友だちは「たつひこさん」というひとで、「たつひこ」という名前は旦那さんの名前なんだと教えてもらったのは、小説投稿サイトで何回かコメントをつけたあとだった。  いまでこそ小説を書く友だちというのは増えたのだけれども、いまもむかしも変わらないのは「書く」という営みだけが生命線ということ。書くのをやめたひとはたぶん自分でも気がつかないうちに小説を書くのをやめてしまっていて、いつの間にかいなくなってしまう。大学を卒業して会社勤めになって日々忙殺されるうちに

    • 【#理系の読み方 第6回】小説を〝読む〟(前編)──〝ノイズ〟がもたらす「知」

      『百年の孤独』を読み切れますか? いつもお読みいただきありがとうございます。なんとこの連載も今回から後半戦に入ります!  これまでは小説を読むに当たっての(ぼくの)基本姿勢についてできるだけ噛み砕いて解説することを心がけました。  ちょっとだけおさらいすると、『理系の読み方』には文芸表現を「自然現象」として捉えることはできないかというコンセプトがあります。  それを試みるために、前半戦ではどのような技術のもと文芸作品を読んでいくのかの土台を固めてきたのですが、軸にあるのは「小

      • 【#理系の読み方 第5回】小説を〝使いこなす〟(後編)──解ける謎と解けない謎

        小説の競技性はどこにあるのか? 前回は大まかに「ジャンルって何?」という話をしました。  要点だけ押さえておくとジャンルとは「恣意的な区分け」です。最初にジャンルがあり、その定義に従って作品が作られるということはなく、あくまでも最初にあるのは作品で、商業や批評の都合で検索性を上げるために区分けがなされているにすぎません。  ただ現代では文学ジャンルについて盛んに論じられ、その生態系の全体像がぼんやりと見えないでもないので、ジャンルありきでスタートする創作もあるでしょう。その場

        • 【#理系の読み方 第4回】小説を〝使いこなす〟(前編)──小説のジャンルとゲーム性

          〝良い小説〟は〝誰にでも読める小説〟なのか? 前回は「小説のかたち」について考え、どうやら我々は「小説っぽい雰囲気のものを小説と呼んでいる」という当たり前の事実がバカにできないほどの重大さを持っているのを確認できました。  起承転結など明快な展開を持つストーリーが文章で記されているものを小説と呼ぶひともいれば、文字が小説っぽく並んでいるだけで「小説っぽい」と感じるひともいます。この差異は個々人の「小説モデル」の違いに由来するもので、「小説とはこういうもの」という原理的な問題で

        • 固定された記事

        たつひこさんのこと。

        • 【#理系の読み方 第6回】小説を〝読む〟(前編)──〝ノイズ〟がもたらす「知」

        • 【#理系の読み方 第5回】小説を〝使いこなす〟(後編)──解ける謎と解けない謎

        • 【#理系の読み方 第4回】小説を〝使いこなす〟(前編)──小説のジャンルとゲーム性

        マガジン

        • 理系の読み方〜科学の視点で名著を楽しむ
          7本
        • サッカー部がきらい。
          24本
        • #RTした人の小説を読みに行く をやってみた
          18本
          ¥800
        • 精読と実作のための文芸翻訳実践研究
          8本
          ¥800
        • 短編集その1『皮を剥ぐにはうってつけの日』
          3本
          ¥600

        記事

          【#理系の読み方 第3回】小説を「近似」する──〝よくわからない小説〟をどう読むか?

          なぜ片付けで夫婦喧嘩が起こるのか? 我が家は夫婦と子ども3人の5人家族で、妻は会社員をしています。コロナ禍以降、妻の会社でもリモートワークが導入されるようにはなったものの、基本的に出社をする仕事です。そのためほとんど外に出ることのない小説家が家事の多くを引き受けることになるのですが、それにより幾度となく血で血を洗う激しい戦闘が繰り広げられてきました。  妻のことを少しだけ紹介すると、彼女は〝理系〟です。メーカーで技術職やらなんやらかんやらをしていて、よそのひとから見ると我々ふ

          【#理系の読み方 第3回】小説を「近似」する──〝よくわからない小説〟をどう読むか?

          【#理系の読み方 第2回】小説を「発見」する──カフカ作品をどう読むか? 後編

          文〝芸〟とはなにか? 前回はカフカの短編小説『変身』を題材に、自然現象と小説の類似性についてのお話をしました。  「似ている」というのはなかなかバカにならなくて、たとえばAとBという、互いに異なる事象があったとして、おなじ方法論で分析できるケースがあります。「アナロジー」と呼ばれるものですね。いつも使えるわけではありませんが、自分がうまく思考できる範囲に物事を引きつける際に有効な手段です。もっとも、小説の「隠喩」を一般化するとアナロジーの技術に分類されるかもしれません。  よ

          【#理系の読み方 第2回】小説を「発見」する──カフカ作品をどう読むか? 後編

          【#理系の読み方 第1回】小説を「解く」──カフカ作品をどう読むか? 前編

           第1回で取り上げるのはフランツ・カフカです。  小説全般の話をするとき、ぼくは決まってカフカを最初に挙げるのですが理由はたくさんあります。まずカフカら現在活躍している世界中の小説家に影響を与えていますし、『変身』¹⁾はおそらく世界で最も有名な短編小説のひとつと言えます。さらに文章は平易で読みやすく、物語の筋は明瞭で、なによりとてもおもしろい。あまりにも有名な作家ゆえに敷居の高さを感じて敬遠しているひとも多いかもしれませんが、そういうひとはぜひ『変身』や『流刑地にて』という短

          【#理系の読み方 第1回】小説を「解く」──カフカ作品をどう読むか? 前編

          【第0回】わたしが「理系」だった頃

           理系だった日から十年が過ぎました。  ここでの「理系」とは、ぼくが工学系の大学院にいた頃を指します。二〇一四年三月、博士論文を書くことなく単位取得満期退学というかたちで大学を出て、同年四月から大阪の広告会社で営業職として働きました。それから二年ちょっとで退職してフリーランスで文筆業をはじめ、いろいろあって現在は小説家をしています。つい先日、実家(淡路島)の母親が、ぼくの中学の同級生(T君)のお母さんとスーパーで立ち話をしたところ「あんたんとこの子ども、理系やったんちゃうの?

          【第0回】わたしが「理系」だった頃

          『その謎を解いてはいけない』書評まとめ

          ありがたいことに発売5日で重版、その後もまた重版していただいた拙著『その謎を解いてはいけない』ですが、賛否両論(ちょっと否多め)をいただいています。 本格ミステリの面構え(真顔)をしながら「なんやねんこれ!」みたいなことをいっぱいしているのですが、ぼくとしては言葉と加害性、小説やミステリという表現形式についてにまつわるかなり真面目なタイプの小説だと思っています。 未読の方はぜひ読んでみてください。 ……というのはさておき、いろんな方がいろんな書評を公開してくださっているので

          『その謎を解いてはいけない』書評まとめ

          【お知らせ】本が出ます

          こんにちは、大滝瓶太です。 今月下旬ごろ、私の初の単著『その謎を解いてはいけない』が実業之日本社より刊行されます。 表紙はこれです↓ 2018年に商業誌デビューして以来、雑誌やアンソロジーではちょくちょく短編を掲載してもらっていたのですが、単著はなかなか機会に恵まれず、もう出せないのでは……? と思っていたところでした。 「単著まだ?」という声にずっと答えられずにいたのを気にしていましたが、なんとか世に出せることとなり、ホッとしています。 (ずっと待ってくださった皆様、本当

          【お知らせ】本が出ます

          小説講評サービスの価格変更と「短編プラン」を追加しました

          今年から試験的にはじめた小説講評サービスですが、ありがたいことに10名のかたのご依頼をいただき、そのすべての納品を終えました。 いろんな働きのいろんな方のいろんな小説が読めて、ぼく自身も勉強になります。ミステリ、SF、純文学……とヴァリエーションが豊富で、とにかく楽しかったです。 新プランと価格表1件の稼働にどれくらいの時間と体力がかかるのか謎だったのですが、いったん落ち着いたいまの段階でプラン・価格を見直し、しばらくは以下のプランで受付します。 以前と比べ「長いものを

          小説講評サービスの価格変更と「短編プラン」を追加しました

          小説講評サービスの予約状況とスケジュールについて

          2月から試験的にはじめた「小説講評サービス」ですが、ありがたいことにたくさんの反響をいただいております! お送りいただいた原稿についての批評・アドバイスをまとめた書類をお返しする、というものです。感想だけだとピンと来ないケースもあると思うので、フィードバックと一緒に細かくプロットを分析したエクセルシートもお渡ししています。 詳細については上記リンクからご覧ください。 基本的に「月に5件」を定員とさせていただいています。 しかし3月末には新人賞の締め切りが多数あるため、それ

          小説講評サービスの予約状況とスケジュールについて

          先着3名に「小説の批評・アドバイス」サービスの割引きをします

          新しくはじめたサービスについては昨日のnote参照なのですが、せっかくかのでこういうことをはじめました。 ぜひぜひよろしくお願いします。

          先着3名に「小説の批評・アドバイス」サービスの割引きをします

          「小説実作のアドバイス」をはじめました

          ココナラというサイトでこんなサービスをはじめてみました。 ふだんは文芸誌で小説や批評を書いたりしているのですが、よくフォロワーの方から「読んで感想を頂けませんか?」という旨の連絡をいただきます。 かつてはTwitterで作品を募集してガツガツ読んで感想を公開するということもやっていて、ありがたいことに好評だったのですが、やはり現実的に継続は厳しいな……というところが本音でした。 というのも、読む時間の捻出や感想の文章をつくるコストがばかにならず、また仕事の発注も徐々に増え

          「小説実作のアドバイス」をはじめました

          ホラー初心者が読んでおもしろ怖かったホラー小説おすすめ5選

          トガり散らしていた時期の弊害 小説を書くにあたってそれなりには本を読んできた……とは思うのだけれど、人間がたかだか10年程度で読める本なんてせいぜい3000〜4000冊くらいなもので当然ながら網羅性は乏しい。  よって嗜好によって偏りが出てくるのは当然なわけですが、ぼくの場合は日本のエンターテイメント小説というものをほぼ読んできませんでした。特に20代の頃なんてひどくて「第三者に翻訳される程度の評価がない小説を読んだところでねぇ……」みたいなイキり散らしムーブをカマしていたわ

          ホラー初心者が読んでおもしろ怖かったホラー小説おすすめ5選

          小説がうまくなるにはどうしたら良いか? 小説の書き方がよくわかる本のオススメ5選

          ここ数年、メールやTwitterのDMで「小説のアドバイスが欲しい」「小説を読んでコメントをして欲しい」「小説ってどうやったら上手くなるのか?」という相談をちらほら受けています。 まだ単著も出ていない身としては(注:2023年に出ました)、こういう相談をしていただけるほど頼っていただけるのは大変恐縮で、そしてありがたくもあります。 しかしながら、現在じぶんの書き仕事でパッツンパッツンになっているため、個別にお話を聞いてソレっぽい助言をするということはできない状況にあります。

          小説がうまくなるにはどうしたら良いか? 小説の書き方がよくわかる本のオススメ5選