大滝瓶太

作家(✌︎˙˘˙✌︎)ぴすぴす。最近の仕事:特殊設定ミステリ試論(ミステリマガジン)、異常…

大滝瓶太

作家(✌︎˙˘˙✌︎)ぴすぴす。最近の仕事:特殊設定ミステリ試論(ミステリマガジン)、異常論文「ザムザの羽」(SFマガジン)、文理横断ブックレビュー「理系の読み方」連載(小説すばる)など。

マガジン

  • サッカー部がきらい。

    独断と偏見でリア充に言いがかりをつける卑屈なエッセイ集。

  • #RTした人の小説を読みに行く をやってみた

    アマチュア作家のネット上にある小説を読み漁って考えたことをまとめたエッセイ集。小説のことをひたすら考える。

  • 精読と実作のための文芸翻訳実践研究

    英語で書かれた小説を題材に、文章を解釈する翻訳プロセスを開示することで「文章を読む」ということを考える連載コンテンツです。英語学習や文章の精読だけでなく、小説の実作も視野に入れ、言語表現一般を幅広く扱います。

  • 短編集その1『皮を剥ぐにはうってつけの日』

    収録作品 ◼︎むらにつもるこえ(95枚) ◼︎干乾びた胎児(30枚) ◼︎皮を剥ぐにはうってつけの日(150枚)

    • サッカー部がきらい。

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たつひこさんのこと。

 はじめてできた小説を書く友だちは「たつひこさん」というひとで、「たつひこ」という名前は旦那さんの名前なんだと教えてもらったのは、小説投稿サイトで何回かコメントをつけたあとだった。  いまでこそ小説を書く友だちというのは増えたのだけれども、いまもむかしも変わらないのは「書く」という営みだけが生命線ということ。書くのをやめたひとはたぶん自分でも気がつかないうちに小説を書くのをやめてしまっていて、いつの間にかいなくなってしまう。大学を卒業して会社勤めになって日々忙殺されるうちに

    • 『その謎を解いてはいけない』書評まとめ

      ありがたいことに発売5日で重版、その後もまた重版していただいた拙著『その謎を解いてはいけない』ですが、賛否両論(ちょっと否多め)をいただいています。 本格ミステリの面構え(真顔)をしながら「なんやねんこれ!」みたいなことをいっぱいしているのですが、ぼくとしては言葉と加害性、小説やミステリという表現形式についてにまつわるかなり真面目なタイプの小説だと思っています。 未読の方はぜひ読んでみてください。 ……というのはさておき、いろんな方がいろんな書評を公開してくださっているので

      • 【お知らせ】本が出ます

        こんにちは、大滝瓶太です。 今月下旬ごろ、私の初の単著『その謎を解いてはいけない』が実業之日本社より刊行されます。 表紙はこれです↓ 2018年に商業誌デビューして以来、雑誌やアンソロジーではちょくちょく短編を掲載してもらっていたのですが、単著はなかなか機会に恵まれず、もう出せないのでは……? と思っていたところでした。 「単著まだ?」という声にずっと答えられずにいたのを気にしていましたが、なんとか世に出せることとなり、ホッとしています。 (ずっと待ってくださった皆様、本当

        • 小説講評サービスの価格変更と「短編プラン」を追加しました

          今年から試験的にはじめた小説講評サービスですが、ありがたいことに10名のかたのご依頼をいただき、そのすべての納品を終えました。 いろんな働きのいろんな方のいろんな小説が読めて、ぼく自身も勉強になります。ミステリ、SF、純文学……とヴァリエーションが豊富で、とにかく楽しかったです。 新プランと価格表1件の稼働にどれくらいの時間と体力がかかるのか謎だったのですが、いったん落ち着いたいまの段階でプラン・価格を見直し、しばらくは以下のプランで受付します。 以前と比べ「長いものを

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        記事

          小説講評サービスの予約状況とスケジュールについて

          2月から試験的にはじめた「小説講評サービス」ですが、ありがたいことにたくさんの反響をいただいております! お送りいただいた原稿についての批評・アドバイスをまとめた書類をお返しする、というものです。感想だけだとピンと来ないケースもあると思うので、フィードバックと一緒に細かくプロットを分析したエクセルシートもお渡ししています。 詳細については上記リンクからご覧ください。 基本的に「月に5件」を定員とさせていただいています。 しかし3月末には新人賞の締め切りが多数あるため、それ

          小説講評サービスの予約状況とスケジュールについて

          先着3名に「小説の批評・アドバイス」サービスの割引きをします

          新しくはじめたサービスについては昨日のnote参照なのですが、せっかくかのでこういうことをはじめました。 ぜひぜひよろしくお願いします。

          先着3名に「小説の批評・アドバイス」サービスの割引きをします

          「小説実作のアドバイス」をはじめました

          ココナラというサイトでこんなサービスをはじめてみました。 ふだんは文芸誌で小説や批評を書いたりしているのですが、よくフォロワーの方から「読んで感想を頂けませんか?」という旨の連絡をいただきます。 かつてはTwitterで作品を募集してガツガツ読んで感想を公開するということもやっていて、ありがたいことに好評だったのですが、やはり現実的に継続は厳しいな……というところが本音でした。 というのも、読む時間の捻出や感想の文章をつくるコストがばかにならず、また仕事の発注も徐々に増え

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          ホラー初心者が読んでおもしろ怖かったホラー小説おすすめ5選

          トガり散らしていた時期の弊害 小説を書くにあたってそれなりには本を読んできた……とは思うのだけれど、人間がたかだか10年程度で読める本なんてせいぜい3000〜4000冊くらいなもので当然ながら網羅性は乏しい。  よって嗜好によって偏りが出てくるのは当然なわけですが、ぼくの場合は日本のエンターテイメント小説というものをほぼ読んできませんでした。特に20代の頃なんてひどくて「第三者に翻訳される程度の評価がない小説を読んだところでねぇ……」みたいなイキり散らしムーブをカマしていたわ

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          小説がうまくなるにはどうしたら良いか? 小説の書き方がよくわかる本のオススメ5選

          ここ数年、メールやTwitterのDMで「小説のアドバイスが欲しい」「小説を読んでコメントをして欲しい」「小説ってどうやったら上手くなるのか?」という相談をちらほら受けています。 まだ単著も出ていない身としては、こういう相談をしていただけるほど頼っていただけるのは大変恐縮で、そしてありがたくもあります。 しかしながら、現在じぶんの書き仕事でパッツンパッツンになっているため、個別にお話を聞いてソレっぽい助言をするということはできない状況にあります。すみません。 とは言いつつ

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          小説家の仕事とは?

          ……というようなことをテーマにしたイベントをやります。 明日、21日(土)@梅田ラテラルです。 【小説家のお仕事〜「まで」と「から」〜】OPEN / 13:00START / 14:00 観覧:前売 ¥2,500/当日¥3,000 配信:¥2,500 ※入場順はLivePocket整理番号順→当日の順となります ※要1オーダー¥500以上 ※購入受付期間は6/4(土)まで。アーカイブは6/4(土)23:59まで視聴可能。 ※画質の調整が出来ますので、ご自宅の通信環境に合わ

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          「身体性」と自己組織化/加藤直人『メタバース さよならアトムの時代』書評

           SFの想像力とは、われわれが身をおく〝現実〟という世界で〝不可能〟とされる物事を科学技術によって実現可能なものにしてしまう力なのではないか。ぼくはそう考えている。そして作家はまず〝不可能〟へと思考を伸ばしていく──それは宇宙でありこの世界のなりたちであり、われわれ人間というものがどういう存在なのかであったりと、大きなテーマに行き着くことを余儀なくされる。 〝不可能〟が〝不可能〟であるゆえんは、対象の巨大さや抽象性ゆえかどうかはわからないけれど、そもそもまともに考えることじた

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          2021年に読んだ本ベスト10冊

          今年読んだ本でよかったヤツを10冊紹介しておきます。 1:滝口悠生『長い一日』 現代日本文学の現時点での到達点といえる作品。 2:鳥飼否宇『本格的──死人と狂人たち』 理系バカミスの傑作 3:井上真偽『恋と禁忌の述語論理』 名探偵多しとはいえ、「名探偵の推理を査読する名探偵」はこの作品でしか読めないでしょう。 4:佐藤究『テスカトリポカ』 2021年はこの作品なしに小説の話はできない年だったと思います。 5:宮内悠介『偶然の聖地』 小説の勝利を感じられる本

          2021年に読んだ本ベスト10冊

          スキルとしての「性格」

           性格が悪い、というのがコンプレックスだ。  そのくせ簡単に気を許してしまうので、ひとに会うとつい迂闊なことを言ってしまって、家に帰ってきてから、ああ、今日はあそこのあのタイミングであんなこと言うべきじゃなかったな……という脳内反省会が始まってしまい、ひどいときにはそれが寝て起きてもまだ続く。脳内会議は踊り、されど進まず、三日寝込んで家族と仕事先のひとに迷惑をかける。性善説は性格の悪さととにかく食い合わせが悪いので、性格が悪いならせめて他人に気を許さず性悪説を突き進むべきなの

          スキルとしての「性格」

          全体じゃない感情が全体になってしまう

           Twitterイキリ芸への消耗がほんとうにムダだなということを今さらおもったのだけど、じぶんの疲労というよりは友だちをかなり心配させていたというのがデカい。いろいろあって「やっぱ作家なんだから、作品でプレゼンス出さなアカンよな」という至極当然の結論へと落ち着き、SNSの発言で言葉を無駄打ちするのはちょっと控えようとおもった。で、なんか言いたいことがあるならば友だちとの雑談で済ませたり、あるいは日記としてここに書いていくのがいい気がした。  リアルタイムで吐き出される言葉は感

          全体じゃない感情が全体になってしまう

          自己組織化する物語/トマス・ピンチョン「ブリーディング・エッジ」の話

           世界中で猛威をふるう新型コロナウイルス感染症により我々の生活スタイルは一変した。マスクの着用が当然のエチケットとなり、人びとが物理的に対面することが躊躇われ、インターネットを使ったコミュニケーションが企業や教育機関でも一般化した一方、しかし作家というのは日々の生活で目立った変化がないことにふと気づく。ぼくなんかはひとりで小説を書き、本を読み、メールで編集者とやりとりをしてたまに電話やSkypeやZoomで話をするという生活をコロナ禍以前から続けていただけに業務面だけを見れば

          自己組織化する物語/トマス・ピンチョン「ブリーディング・エッジ」の話

          地続きの異世界を目指して──現実と虚構の濃度、その位置関係をめぐる金子薫試論

           結末を決めてから書き始めたわけではなかったが、本間にとってモイパラシアとは、その純粋さが昂じて死に魅せられることはあっても、必ずや生の側に踏みとどまり、何があろうと懸命に生きてゆくことを望むような少年であった。  ところが、かつて本間がその身に命を吹き込んだモイパラシアは、ソナスィクセム砂漠の南西部を走る貨物列車に轢かれ、いまや、ずたずたの轢死体と成り果てた。おそらくは線路に飛び込んだか、あるいは横になり列車が来るのを待っていたのであろう。原稿用紙の上には、列車によって切断

          地続きの異世界を目指して──現実と虚構の濃度、その位置関係をめぐる金子薫試論