竹書房

大森望『ベストSF2021』序

序新たな日本SF短編年間ベストアンソロジー《ベストSF》シリーズの第二巻となる『ベストSF2021』をお届けする。二〇二〇年(月号・奥付に準拠)に日本語で発表された新作の中から、「これがこの年のベストSFだ」と編者が勝手に考える短編十一編を収録している。  なによりも、本書は〝SF〞という概念の開発と拡張を目的として制作された――というのはウソですが(元ネタは樋口恭介編のアンソロジー『異常論文』の巻頭言)、結果的に、SFという概念の開発と拡張がなされていることは、おそらく

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2020年度短編SF推薦作リスト

『ベストSF2021』巻末の2020年度短編SF推薦作リストを公開します。大森望さんから来た候補作に作品を加え作成したものです。読書リストとして、書店で、あるいは電子書籍の購入時の参考にしていただければ。新たなSFとの出逢いがあることを願いつつ――。 2020年度短編SF推薦作リスト 去年発表された、収録作以外の30作ぐらいのおすすめ短編SFのリストを毎年巻末につけることにしました。サイエンス・フィクション、スペキュレイティヴ・フィクション、すこし不思議……それぞれちがった

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怪談連載【北海道の怖い話】by田辺青蛙 第5話「びちゃびちゃのちゃんちゃんこ」

『大阪怪談』『関西怪談』などを著した田辺青蛙が、北海道のご当地怪談を書きおろす実話怪談連載、第5話! 第5話 びちゃびちゃのちゃんちゃんこ 江別で家具職人をしている、松谷さんから聞いた話。 「親父の趣味がたき火だったんです。小さいころ山やら川の傍に行くと、かならずたき火でね。火を見ると心が落ち着くでしょ。夜の闇も寒い冬も、夏の最中に川から上がった時も、たき火があるだけで特別な感じがしたんです。  そんな親父の影響でね、俺も週末になるたびにキャンプ場でたき火をやりに行ってま

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賞金100万円!日本一の怪談コンテストが文庫に!『怪談最恐戦2021』四代目怪談最恐位・田中俊行の怪談を1話無料公開!

怪談最恐位 田中俊行ほかベスト4の書き下ろし収録 プロ怪談師、お笑い芸人、YouTuber、Vtuber、俳優、声優なども参戦! 選び抜かれた最恐最新怪談! あらすじ・内容日本一の怪談コンテスト〈怪談最恐戦2021〉。 怪談師はもとより、作家、芸人、俳優、声優、YouTuber、Vtuberほかネット配信者などフィールドや年齢性別を超えて集った精鋭が、日本で一番怖い怪談を語る者〈怪談最恐位〉の座と賞金100万円をかけて熾烈な戦いを繰り広げた。 今回はファイナルでの様々な意匠

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怪談連載【北海道の怖い話】by田辺青蛙 第4話「幽霊の銅像」

『大阪怪談』『関西怪談』などを著した田辺青蛙が、北海道のご当地怪談を書きおろす実話怪談連載、第4話! 第4話 幽霊の銅像 物凄い地吹雪がごおっと窓の外に吹き荒れているのが家の中にいても分かる。  手負いの大きな獣が唸り声をあげているようだなと思いながら、両手で抱えるようにカップを持ちすっかり温くなった茶を飲んでいると、この家の主のKさんがぽつりとこんな事を言い始めた。 「幽霊の銅像のことをご存じでしょうか?」  Kさんは遠縁の親戚にあたる人で、市役所に勤めていた経験からか様

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【実話怪談】切ってください

 友人のNは美容師をしている。Nは、どうしても忘れられないことがあると話した。 「予約も入れずに、急に店に来たんだよ」  来店した女性は、まるで濡烏のようなきれいなロングヘアーだった。その女性・Bさんは初めてくる客だ。 髪のカットに入る前に、客にはカウンセリングをすることになっている。 「どのようにカットしてほしいか希望はありますか?」  Nがそう尋ねると、Bさんは「少しだけ切ってください」と不愛想に答えた。美容師と話したくない客はけっこうな割合でいる。Nは気にせず

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朱天文『侯孝賢と私の台湾ニューシネマ』

1980年代に起きた新人監督らによる一種の映画運動〈台湾ニューウェーブ〉を脚本家の立場から担ってきた中心人物、朱天文(チュー・ティエンウェン)によるエッセイ集。あとがきにもある通り、回顧録ではなく当時書かれた同時代的文章が多く、彼女の経験に瑞々しく触れられる。 たとえばはじめて侯孝賢と出会った日、嫌なやつだったらどうしようと考えていると、侯孝賢が向田邦子好きだと知ってすっかり武装解除してしまう様子など微笑ましい。それをイメージさせる図録も豊富でとても可愛らしい一冊だ。 と

素人が麻雀を描いたら、おっぱいがイーピンになった『角刈りすずめ』

※本記事は、「マンガ新聞」にて過去に掲載されたレビューを転載したものです。(編集部) 【レビュアー/タクヤコロク】 僕が新卒で入った会社で求人広告の制作をしていた時のこと。尊敬していた上司にこんなことを言われた。 「ころく、分かるか?企画とは、対象をその人がどの視点から見るかで決まるんだよ。ここにエビフライがあるとする。これを横に向けて見せるとエビフライだと分かるが、エビフライがその人に向かってくるように奥行きがある風に見せた場合、見ている人にとっては丸っこくてこげ茶色

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怪談連載【北海道の怖い話】by田辺青蛙 第3話「シタキ」

『大阪怪談』『関西怪談』などを著した田辺青蛙が、北海道のご当地怪談を書きおろす実話怪談連載、第3話! 第3話 シタキ 札幌でバーテンダーを営むGさんから聞いた話。  寒い寒いと手を擦り合わせながら歩いている最中に温かそうなオレンジ色の灯りが目に入り、ふらりと店の中に入るとずらりと並んだ酒瓶の前でバーテンダーが一人、フルーツの皮を剥いていた。 「今開けたところなんです。外、今日もかなり寒かったですか」  背筋のピンとした声に張りのあるバーテンダーだった 。年齢は私より、少し

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怪談連載【北海道の怖い話】by田辺青蛙 第2話「花魁淵」

『大阪怪談』『関西怪談』などを著した田辺青蛙が、北海道のご当地怪談を書きおろす実話怪談連載、第2話! 第2話 花魁淵 今から十年くらい前に、とあるイベントで知り合った作家に初対面で「結婚しませんか?」と言われた。  なんとなく、一人が寂しいなと思っていた時期だったので少し考えてから別にいいかと思いその人と一緒になることに決めた。  相手方の親御さんにご挨拶をしに行こうということになり、その時初めて相手の生まれが北海道の札幌だということが分かった。  初めて行った札幌は冬の

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