有永 糸

ありなが いと と申します。 物書きになりたい会社員。語学留学を目指して英語勉強中。 …

有永 糸

ありなが いと と申します。 物書きになりたい会社員。語学留学を目指して英語勉強中。 書くことと読むこと、食べることが大好きです。

記事一覧

働くことを考える

気が付けば、働き始めてからもう10年が経過している。 高校生で初めてアルバイトを経験してから、受験の時期を除いてわたしはずっと働き続けてきた。 アルバイトを始めた…

有永 糸
1か月前
47

26歳を振り返る

先月、わたしは27歳になった。 いつの間にか、20代も後半に来てしまった。 学生時代のわたしにとって、27歳なんてものすごく大人で、誇りと自信をもってバリバリ働いている…

有永 糸
1か月前
34

身を焦がすような恋が 陽だまりの友情に変わる頃

電車に乗って、大切な友人がわたしの町に遊びに来てくれた。 前回わたし達の地元近くで遊んだとき、「次は小樽に行くね」と言ってくれたその約束を果たしてくれた。 昔から…

有永 糸
2か月前
45

それは最高の「青春」 ~映画『カラオケ行こ!』感想~

先月末、公開発表からずっと楽しみにしていた映画を観に行った。 歌が上手くなりたいヤクザ役を綾野剛さん、変声期に悩む合唱部の中学生役を齋藤潤くんが演じる映画、『カ…

有永 糸
2か月前
50

美しくて、あたたかくて、幸せだったある冬の日

わたしは冬が好きだ。 寒いし、暖房費も高くつくし、寒さを耐えるエネルギーを得るためにボリュームのあるものを食べたくなってしまうせいで気を抜くとすぐ体重が増えてし…

有永 糸
3か月前
48

今年のテーマ「愛」

先日、少し遅ればせながら初詣に行ってきた。 年始は仕事で忙しかったため、初売りの人出も少し落ち着いてきた頃に帰省し、母と一緒に何年ぶりかの地元の神社へ。 昨年の感…

有永 糸
4か月前
35

年の初めに思うこと

あけましておめでとうございます。 今年もどうぞよろしくお願いします。 2024年の幕開けは、わたしにとっては仕事の正念場だった。 みんなが休んでいる中、初売り戦争を乗…

有永 糸
4か月前
56

物への執着心を手放す

ぐるりと、部屋の中を見渡してみる。 散らかっているわけではないけどなんだか雑然として見えるのは、物が多いからだ。 子どもの頃から、物に囲まれた空間で生活してきた…

有永 糸
5か月前
31

反抗心は悪じゃない

わたしはわりと、「素直」と呼べる部類の人間だと自覚している。 他人の意見は尊重したいと常々思っているし、人の話はまずじっくり聞いて受け止めたいと思っている。誰か…

有永 糸
5か月前
41

思いやりの温度

心あたたまる出来事は、たったひとつあるだけでその日一日を素敵なものに変えてしまえる。 金曜日はそんな一日だった。どんよりとした冷たい曇り空の中、優しい光を放つあ…

有永 糸
6か月前
41

言葉にしなきゃ

思っていることを上手く言葉にできなくて、代わりに涙が出てきてしまう。 「しゃべる」ことへの苦手意識は、小学生の頃からずっとあった。 学校でせっかく友達ができても…

有永 糸
6か月前
27

「ムダ」って言われるのが大嫌い

「またそうやって、お金をムダにして…」 数日前に言われて、モヤモヤしてしまった言葉。何て返したらいいのか分からなくて、考えるのも嫌で、黙ってやり過ごしてしまった…

有永 糸
6か月前
22

「ふたり」って難しい。~ドラマ『いちばんすきな花』を見て~

フジテレビドラマ『いちばんすきな花』の第一話を見て、「分かるなあ、」と思った。 「ふたり」という人数に難しさを感じている主人公達の心の痛みに、深く共感している自…

有永 糸
7か月前
35

ワクワクとソワソワとウキウキの季節

ようやく、朝起きて窓を開けたとき部屋に流れ込む空気がひんやりと冷たく感じるようになった。 肌が確かに感じる気候の変化に、思わず笑みがこぼれる。 「わたしのいちば…

有永 糸
8か月前
43

夢のきっかけをくれた国

「ねえ、一緒にイギリス行かない?」 大学一年生の夏、知り合ったばかりの同級生に突然誘われた。 正直、かなり驚いたし、ためらいもした。だって、まだ二人きりで一緒に…

有永 糸
9か月前
49

香るしあわせ

わたしは、紅茶味のスイーツが大好きだ。 紅茶の茶葉が生地に混ぜこまれたクッキーやパウンドケーキ、紅茶味のクリームの乗ったケーキ、紅茶味のアイスクリーム……。 も…

有永 糸
9か月前
51
働くことを考える

働くことを考える

気が付けば、働き始めてからもう10年が経過している。
高校生で初めてアルバイトを経験してから、受験の時期を除いてわたしはずっと働き続けてきた。

アルバイトを始めたきっかけは、自分でお小遣いを稼ぐためだった。毎週のように通っていたカラオケ代、友達とランチやカフェに行くためのお金、オシャレして出かけるための洋服代…。
学生生活を楽しく過ごすためには、自由に使えるお小遣いが必要だった。だからわたしは、

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26歳を振り返る

26歳を振り返る

先月、わたしは27歳になった。
いつの間にか、20代も後半に来てしまった。
学生時代のわたしにとって、27歳なんてものすごく大人で、誇りと自信をもってバリバリ働いている……なんてイメージしていたけど、実際はそんなに順風満帆ではなくて。

27歳のわたしは、10代のわたしがイメージしていたよりもずいぶん子どもだ。
性格も、癖も、人格も、それほど成長していない、とすら思う。

10年経ってもまだこんな

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身を焦がすような恋が 陽だまりの友情に変わる頃

身を焦がすような恋が 陽だまりの友情に変わる頃

電車に乗って、大切な友人がわたしの町に遊びに来てくれた。
前回わたし達の地元近くで遊んだとき、「次は小樽に行くね」と言ってくれたその約束を果たしてくれた。
昔から、絶対に適当なことを言わない子だった。嘘をつかず、真面目で、賢くて、しっかりと物事を考えてから言葉を口に出す子だった。
わたし達が出会った高校時代から10年経った今も、その誠実さはずっと変わらない。

自分が乗る電車の時間を、わたしに間違

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それは最高の「青春」 ~映画『カラオケ行こ!』感想~

それは最高の「青春」 ~映画『カラオケ行こ!』感想~

先月末、公開発表からずっと楽しみにしていた映画を観に行った。

歌が上手くなりたいヤクザ役を綾野剛さん、変声期に悩む合唱部の中学生役を齋藤潤くんが演じる映画、『カラオケ行こ!』だ。

綾野剛さんが大好きなわたしは、Xで映画の情報をずっと追いかけていた。
原作マンガを読んでしっかり予習してから観に行こうか迷ったが、前情報はほとんど入れずに観に行くことにした。

以前、大好きなマンガが映画化されて大喜

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美しくて、あたたかくて、幸せだったある冬の日

美しくて、あたたかくて、幸せだったある冬の日

わたしは冬が好きだ。
寒いし、暖房費も高くつくし、寒さを耐えるエネルギーを得るためにボリュームのあるものを食べたくなってしまうせいで気を抜くとすぐ体重が増えてしまうし、わたしの住む地域は特に、ほぼ毎日雪が降ってJRもよく遅延する。
それでもわたしは冬が好きだ。通勤や買い物の度にどれほど大変な思いをしても、そう言い続けている。

数日前、ちらちらと優しい雪が降るだけの、穏やかで気温も比較的高めの日が

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今年のテーマ「愛」

今年のテーマ「愛」

先日、少し遅ればせながら初詣に行ってきた。
年始は仕事で忙しかったため、初売りの人出も少し落ち着いてきた頃に帰省し、母と一緒に何年ぶりかの地元の神社へ。
昨年の感謝と今年初めのご挨拶、ささやかなお願いごとを心の中で唱えた後、楽しみにしていたおみくじを引きに行く。

もう10日も過ぎていたので巫女さんには会えなかったけど、2種類並んでいたおみくじを両方購入し、ドキドキしながら開封。

結果は「吉」と

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年の初めに思うこと

年の初めに思うこと

あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。

2024年の幕開けは、わたしにとっては仕事の正念場だった。
みんなが休んでいる中、初売り戦争を乗り切るため駆けずり回る。販売員とはそういう仕事だ。分かっていることだし、自分で選んだ仕事なのだから、まさか今さら文句なんて言えない。
でも、年越しに家族で過ごせないのは、やっぱり寂しいと思ってしまった。だから、今年の春頃からは、帰る

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物への執着心を手放す

物への執着心を手放す

ぐるりと、部屋の中を見渡してみる。
散らかっているわけではないけどなんだか雑然として見えるのは、物が多いからだ。

子どもの頃から、物に囲まれた空間で生活してきた。
母は買い物が大好きで、物を買っては溜め込むタイプだったから、その影響は決して小さくはないという気はしている。
雑誌でモデルさんが身に付けていて、友人の持ち物を見て、テレビで紹介されていて、ネットの広告をついクリックして……
日常に潜む

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反抗心は悪じゃない

反抗心は悪じゃない

わたしはわりと、「素直」と呼べる部類の人間だと自覚している。

他人の意見は尊重したいと常々思っているし、人の話はまずじっくり聞いて受け止めたいと思っている。誰かからのアドバイスは有難く受け取って自分なりにやってみようと努力するように心がけてもいる。

悪く言えば「単純バカ」とも言えるけど、素直な方が人間関係、上手くいくことも多くて。相手の言葉を素直に受け取って、それに応えようと一生懸命やっている

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思いやりの温度

思いやりの温度

心あたたまる出来事は、たったひとつあるだけでその日一日を素敵なものに変えてしまえる。

金曜日はそんな一日だった。どんよりとした冷たい曇り空の中、優しい光を放つあたたかい光がそっと灯っているような。

その日は朝から雨が降っていて、天気も気分もパッとしない朝だった。
木曜日の楽しかった一日を過ぎた翌日だったから、尚更気分は上がらない。前日にできなかった掃除も、洗濯も、食料品の買い出しもしなければな

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言葉にしなきゃ

言葉にしなきゃ

思っていることを上手く言葉にできなくて、代わりに涙が出てきてしまう。

「しゃべる」ことへの苦手意識は、小学生の頃からずっとあった。
学校でせっかく友達ができても、自分から話題を作ることができなくて、話しかけてもらえるのを黙って待っているような子どもだった。

そのくせ、家に帰ると突然ものすごいおしゃべりになって、母にも、弟にも、近所の友達にも、うるさいくらいよくしゃべっていた記憶がある。その日あ

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「ムダ」って言われるのが大嫌い

「ムダ」って言われるのが大嫌い

「またそうやって、お金をムダにして…」
数日前に言われて、モヤモヤしてしまった言葉。何て返したらいいのか分からなくて、考えるのも嫌で、黙ってやり過ごしてしまった。

ふと気が付いた。
「ああ、わたし、『ムダ』って言われるのが嫌いなんだな」って。

無駄遣い、無駄話、無駄足……
「無駄」と付く言葉は非難の意図が込められて、誰かの間違いを責めたり、要領の悪さを貶すときに使われる。
「ムダなことしないの

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「ふたり」って難しい。~ドラマ『いちばんすきな花』を見て~

「ふたり」って難しい。~ドラマ『いちばんすきな花』を見て~

フジテレビドラマ『いちばんすきな花』の第一話を見て、「分かるなあ、」と思った。

「ふたり」という人数に難しさを感じている主人公達の心の痛みに、深く共感している自分がいた。

「二人組を作るのが苦手」とか、「一対一で人と向き合うのが怖い」とか、「初めましての方が上手く話せる」とか、自分が経験してきた人間関係のあれこれを思い出しては、「そうだよね」と頷きたくなる言葉ばかりだった。

こんなにわたしの

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ワクワクとソワソワとウキウキの季節

ワクワクとソワソワとウキウキの季節

ようやく、朝起きて窓を開けたとき部屋に流れ込む空気がひんやりと冷たく感じるようになった。

肌が確かに感じる気候の変化に、思わず笑みがこぼれる。

「わたしのいちばん好きな季節が近付いてきた。」
秋が来ると、いつもこんなふうに思って嬉しくなる。わたしは、一年の中でいちばん、冬が好きだ。冬のモコモコファッションが可愛くて好きだし、あたたかいお風呂に浸かって布団の中に潜り込むだけで幸せな気持ちになれる

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夢のきっかけをくれた国

夢のきっかけをくれた国

「ねえ、一緒にイギリス行かない?」

大学一年生の夏、知り合ったばかりの同級生に突然誘われた。
正直、かなり驚いたし、ためらいもした。だって、まだ二人きりで一緒に遊んだことすらない間柄だったし、わたしは海外旅行なんて行ったこともなかったから。

わたしたちがいた国際地域学科には、将来世界を舞台に活躍したいという夢を持っている人、海外留学や海外の大学院への進学を目指す人など、海外志向の学生は確かにた

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香るしあわせ

香るしあわせ

わたしは、紅茶味のスイーツが大好きだ。

紅茶の茶葉が生地に混ぜこまれたクッキーやパウンドケーキ、紅茶味のクリームの乗ったケーキ、紅茶味のアイスクリーム……。

もちろん、飲み物としての紅茶も好きだけれど、それがスイーツだともっとテンションが上がる。

思い返せば、わたしの紅茶愛は、託児所に預けられていた幼少期にまで遡る。

当時、託児所で毎日設けられていた「お昼寝の時間」。年少の子ども達は必ず寝

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